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14年9月19日、アリババ集団が米ニューヨーク証券取引所に上場を果たした。今回の新規(guī)株式公開で調達した資金はざっと250億ドル(約3兆円)となり、世界中の投資家たちの熱い視線を一手に集めた。寫真は2010年6月1日、記者會見する馬雲(yún)アリババ會長。
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今から4年半前の2010年6月1日、中國アリババ集団のネット通販同國最大手、淘寶網(wǎng)(タオバオ)と日本ポータルサイト最大手のヤフージャパンは、両社のサイトを接続して日中間で商品を相互に購入できるインターネット通販サイトを創(chuàng)設。アリババ集団の馬雲(yún)(ジャック?マー)會長とヤフーの孫正義會長が東京都內のホテルで共同記者會見した。孫會長は「日本と中國の経済規(guī)模は2020年には米國やEU(歐州連合)を抜いて世界一の規(guī)模となり、中國と日本を一つの経済圏にして協(xié)力すればさらに発展する」と強調。マー會長は「タオバオとヤフーが組めば両社が利益を享受できるウィンウィンの関係が築ける。中日両國の中小企業(yè)に進出の機會を提供したい」と語った。
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筆者はこの會見を取材したが、マー會長はもの靜かな印象で、その時はアリババが短期間に急成長して過去最大のIPO(株式公開)を演じることになるとは思いもよらなかった。
14年9月19日、アリババ集団が米ニューヨーク証券取引所に上場を果たした。今回の新規(guī)株式公開で調達した資金はざっと250億ドル(約3兆円)となり、世界中の投資家たちの熱い視線を一手に集めた。アリババ株の32.4%を保有するソフトバンクも追い風を受け、孫正義社長の総資産は166億ドル(約2兆円)となり、日本一の富豪に躍り出た。
◆創(chuàng)業(yè)4年目で売り上げ1兆円
創(chuàng)業(yè)わずか4年目の中國スマホ企業(yè)、小米(シャオミ)科技が世界を震撼させている。韓國サムスンや米アップル製品とほとんど同じ性能なのに、価格は最大約5分の1という激安スマートフォンを販売して倍々ゲームで急成長。ソニーを今期見通しで最終赤字に転落させ、スマホ世界首位の韓國?サムスン電子を大幅減益に追い込んだ。アップルも安閑としていられない。
米調査會社によるとシャオミのスマホ出荷臺數(shù)は14年4?6月期に約1500萬臺と、前年同期の3倍以上に拡大。主戦場の中國ではサムスン電子を抜きシェア1位となった。その後も成長の勢いは止まらず、7?9月期には1700萬臺超を販売し、世界シェアでサムスン、アップルに次ぐ3位に浮上。14年通年の販売臺數(shù)は當初目標の4000萬臺から約6000萬臺に拡大する見込みで、売上高は1兆円に達するとみられている。
シャオミは今年から中國以外の新興國に市場を拡大。インドを含め、ブラジル、ロシアなど年內に10カ國での販売を計畫。2015年には、14年の2倍近い1億臺超を世界で販売するという。実現(xiàn)すれば、サムスン電子、アップルに肉薄。その市場破壊力は計り知れない。
◆ファーウェイが幕張メッセで存在感
2014年10月、アジア最大の家電?IT(情報技術)見本市「CEATEC(シーテック)JAPAN2014」が幕張メッセ(千葉市)で開催された。外國勢(150社)で多かったのはアジアの國と地域。7割以上に相當する107社を占め、特に臺灣45社、中國35社、韓國13社、香港4社など東アジアの企業(yè)が多かった。
中でも中國の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は、最新スマートフォン「Asend」やタブレット端末の新機種など多くの新製品を派手にアピール。シーテックには3回目の出展だが、東芝、富士通、シャープ、NTTドコモなど日本の有力企業(yè)が隣接する中心エリアに、これら有力各社以上のスペースを使用して技術力を派手にアピール、多くの來場者を集めていた。
◆富豪ランキングでIT長者が半數(shù)占める
中國では2000年代前半から長らく、富豪ランキングトップ10には不動産業(yè)界の大物たちが顔を並べてきた。しかし、保有資産1000億円以上の富豪ランキングにIT業(yè)界の実業(yè)家たちが続々登場し、最近その半數(shù)に達した。
中國ではアリババ、検索エンジン大手のバイドゥ、メッセージアプリのテンセントがインターネット御三家といわれ、この3社の時価総額は合計50兆円に達する。米國で14年5月に上場したネット通信販売JDドットコムやシャオミの創(chuàng)業(yè)者が続く。付加価値の高いビジネスが期待できるIT業(yè)界に、中國の舊來の産業(yè)から人材が大きくシフト。今や中國內には2萬社近いベンチャー企業(yè)と1千に上る投資機関が存在、しかも増加する一方という。
中國のIT企業(yè)の活況は、巨大な中國市場と、政府による外資規(guī)制によってもたらされたのも事実だ。アリババの14年3月期の売上高は84億3600萬ドル(約9279億円)で、その86%を中國で稼ぐ。
中國國內でこそ存在感は圧倒的で、通販サイトのタオバオやTモールなどを通した流通総額は2960億ドル(約32兆5600億円)で、その仕組みを支える決済や金融サービスも拡大している。この成長ビジネスモデルが、歐米のIT企業(yè)が激しく競爭する海外でも通用するかどうか。未知數(shù)といえよう。
また、シャオミのビジネスモデルも、またすぐにまねされる運命にある。中國メーカーの中では現(xiàn)時點で最大手のレノボや華為技術(ファーウェイ)も、格安スマホを市場投入して対抗。インドで急成長するマイクロマックスなど、中國以外の新興メーカーも続々出てきそうだ。
激しい競爭は、価格下落とサービス向上につながるため、消費者の立場としては歓迎すべきことだ。しかし、かつてこの分野で獨壇場だった日本メーカーがこの大激震についていけなくなっているのも事実である。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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