世界中で中國(guó)が展開(kāi)しているしたたかな経済外交を侮ることはできない。15年中に創(chuàng)設(shè)されるアジアインフラ投資銀行（AIIB）がその先兵になる。新興6カ國(guó)によるBRICS銀行設(shè)立と併せ、日本や米國(guó)が「既存の國(guó)際金融秩序への挑戦」と警戒する中、中國(guó)が世界の盟主としての座を狙う戦略が進(jìn)行している。

【その他の寫(xiě)真】

◆AIIB參加國(guó)急増の前兆はあった

中國(guó)が主導(dǎo)するアジアインフラ投資銀行（AIIB）の參加申請(qǐng)メンバーが52カ國(guó)?地域に達(dá)した。東南アジア諸國(guó)連合（ASEAN）10カ國(guó)、主要7カ國(guó)（G7）の英國(guó)、ドイツ、フランス、イタリア、米同盟國(guó)の韓國(guó)、オーストラリア、主要新興國(guó)のロシア、インド、ブラジルなどのほか、オランダ、ノルウェー、エジプト、トルコ、イスラエル、臺(tái)灣までもが雪崩を打つように參加を申請(qǐng)した。

その前兆はあった。中國(guó)に対抗しようとする考えが根強(qiáng)い日本にとっては不愉快な話なのであまり報(bào)じられなかったが、昨年11月の20カ國(guó)?地域（G20）首脳會(huì)議終了後、16年のG20議長(zhǎng)國(guó)に中國(guó)が決まったことが発表されると、中國(guó)國(guó)內(nèi)のメディアは「中國(guó)は日本に圧勝した」と大きく報(bào)道した。日本も議長(zhǎng)國(guó)に名乗りを上げていたが、結(jié)果はG20メンバーの大半が中國(guó)を支持してしまったのである。

安倍政権の「中國(guó)包囲網(wǎng)づくりが奏功し東南アジア諸國(guó)や豪州などがサポートしてくれる」と期待した政権幹部の落膽は大きかった。貿(mào)易投資面で中國(guó)に依存するアジアや歐州の大半の國(guó)は、自國(guó)の利益を最優(yōu)先し、最大規(guī)模の貿(mào)易相手國(guó)かつ消費(fèi)市場(chǎng)である中國(guó)と向きあう。アジア太平洋地域の政治経済力學(xué)は経済規(guī)模が拡大する中國(guó)に大きく傾きつつあるのは否めない。

こうした中、中國(guó)がアジアのインフラ整備に乗り出す。14年11月、北京でのAPECで、中國(guó)政府は「一帯一路」構(gòu)想をぶち上げた?！敢粠∫宦贰工?、インフラ整備で海と陸の両方のシルクロードと経済圏を構(gòu)築するという構(gòu)想だ。中國(guó)は、西に延びる「海と陸の新シルクロード」を提唱し、関係各國(guó)と道路、鉄道、港灣の整備を進(jìn)めている。20を超える國(guó)と地域をこの計(jì)畫(huà)に巻き込もうとしており、既に個(gè)別に交渉を進(jìn)めている。

ADBの試算によると、急成長(zhǎng)するアジアでは、経済成長(zhǎng)を支えるために、2010年から2020年までに必要なインフラ整備費(fèi)は約8兆ドル（約1000兆円）に上るとされている。このニーズを狙って中國(guó)が主導(dǎo)したのがAIIBだ。さらにブラジル、ロシア、インド、中國(guó)、南アフリカの新興5カ國(guó)（BRICS）は「BRICS開(kāi)発銀行」の設(shè)立でも合意している。これらに加えて、中國(guó)は400億ドル（約4兆8000億円）を拠出して、シルクロード沿いの各國(guó)のインフラ整備などを支援する基金創(chuàng)設(shè)を表明した。

◆シルクロード沿いに鉄道建設(shè)を計(jì)畫(huà)

現(xiàn)在、世界貿(mào)易の8割は海上輸送が使われているが、鉄道輸送は海上輸送や空輸に比べ速度や環(huán)境面で優(yōu)位性が高い。ところが鉄道のレール幅が異なるため、中國(guó)から歐州へ貨物を運(yùn)ぶ際に何度も積み降ろしを行わなければならず、多くの日數(shù)を要する。中國(guó)と歐州を結(jié)ぶ貨物鉄道路線としては現(xiàn)在、浙江省義烏市―スペイン?マドリード路線、重慶―ドイツ?デュイスブルク路線、北京―ハンブルク路線などがあるが16日?21日もかかる。

このため中國(guó)政府はシルクロード沿いに新たな鉄道の建設(shè)を計(jì)畫(huà)。既に関係する各國(guó)と新たな鉄道建設(shè)に関する交渉を進(jìn)めており、高速鉄道を採(cǎi)用する可能性があるという。この鉄道建設(shè)プロジェクトは中國(guó)政府が擔(dān)當(dāng)、鉄道建設(shè)と引き換えに資源を得るバーター方式を採(cǎi)用する。中國(guó)では新たな鉄道會(huì)社を新設(shè)して経営管理を行うことも計(jì)畫(huà)している。

中國(guó)は現(xiàn)在、東南アジアや中央アジア、中?東歐諸國(guó)、アフリカ、中南米など世界各地で高速鉄道建設(shè)プロジェクトを推進(jìn)。インドでの受注にも積極的に取り組んでいる。こうした中、中國(guó)の2大鉄道車両メーカー、中國(guó)南車集団と中國(guó)北車集団が15年中に合併する。新會(huì)社は地下鉄車両で世界シェアの約50％を占める最大手となり、日米歐大手との受注競(jìng)爭(zhēng)に挑む。

◆ユーラシア経済圏、北極圏にも注力

中國(guó)は、東アジアから中東、ロシア、ヨーロッパにまたがる「ユーラシア経済圏」構(gòu)想や南シナ海からマラッカ海峽、インド洋、地中海を経由する「海のシルクロード」構(gòu)想も打ち出している。北極圏も重要視し、デンマークなど沿岸5カ國(guó)に急接近。地球溫暖化に伴い、北極海を中心とした海上輸送ルートの地球規(guī)模での開(kāi)発が進(jìn)められている。北極海周辺の石油埋蔵量は世界の8分の1、天然ガスは4分の1に達(dá)するとの試算もあり、資源開(kāi)発競(jìng)爭(zhēng)も激化しそうだ。

これら一連の動(dòng)きは、AIIBとも強(qiáng)くリンク、ユーラシア?シルクロード構(gòu)想に関係する國(guó)の大半が雪崩を打つ形でAIIBへの參加に名乗りを挙げており、注視が必要だ。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。