「嫌韓」「嫌中」本と「日本禮賛」本が一大ブームに、日本人「自信喪失」の裏返し?―アベノミクス行き詰まりも背景

八牧浩行    2015年5月5日(火) 7時(shí)16分

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日本の週刊誌や月刊誌、夕刊紙などは、韓國(guó)や中國(guó)をこき下ろす記事でいっぱい。経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強(qiáng)調(diào)したりする傾向も鮮明である。寫真は中國(guó)人観光客で溢れる東京?銀座。

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「中國(guó)崩壊の序章」「韓國(guó)ますます窮地に」…。日本の電車のつり広告や駅のキオスクなどで目にするのが週刊誌や月刊誌、夕刊紙などの大見出しだ。韓國(guó)や中國(guó)をこき下ろす記事が溢れている。樸槿恵韓國(guó)大統(tǒng)領(lǐng)や習(xí)近平中國(guó)國(guó)家主席を激しい口調(diào)で批判する論調(diào)のものから、これらの國(guó)々の民衆(zhòng)の「民度の低さ」をやゆするヘイトスピーチ的なものまで千差萬(wàn)別。特に経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強(qiáng)調(diào)したり、否定的な面だけをクローズアップしたりする傾向が鮮明だ。

その他の寫真

単行本や新書などの書籍でも同じパターン。書店の本棚の目に付くスペースは、いわゆる「嫌韓」「嫌中」本で溢れている?!赶印工韦郅ⅰ复簟埂肝辍工胜嗓未笪淖证猊骏ぅ去毪僳xり、隣國(guó)を嫌悪し侮辱する感情を読者に植え付け、煽りまくっている。ヘイトスピーチに代表される、外國(guó)人を排斥するデモや街宣活動(dòng)に共鳴する層に訴えかけて、購(gòu)入させようという意図も透けて見える。

今、多數(shù)の中國(guó)人観光客が來(lái)日し、家電、化粧品、日用品などの日本製品を爆買いしている。日本メーカーや流通観光運(yùn)輸業(yè)者は売り上げを伸ばし、日本政府も數(shù)少ない成長(zhǎng)分野として期待。隣國(guó)のパワーによって日本経済が救われている現(xiàn)実を直視すると、「嫌韓?嫌中」本が、いかに一方的で淺薄か分かる。その時(shí)々の空気を読んで売れそうな本を書き、出版する、商売上手な評(píng)論家やジャーナリストが多いのも、日本の現(xiàn)実だ。

◆出版?新聞不況の中で「貴重な金鉱脈」

「中國(guó)経済の崩壊論を10年前から上梓し、売れるので何回も改訂してきたが、なかなか崩壊しないので困っている。どうして崩壊しないのか」と、ある評(píng)論家から尋ねられ、評(píng)者の方が當(dāng)惑したことがある。この評(píng)論家はこの10年あまり、中國(guó)に行ったことがないという。知人の月刊誌編集者は「読者の多くは中國(guó)の急成長(zhǎng)ぶりに脅威を抱き、中國(guó)のマイナス情報(bào)を求めているので、勢(shì)いアラ探し的な記事が多くなる」と釈明した。ある週刊誌の編集幹部も「中國(guó)の悪い話を大げさに書くと、確実に部數(shù)がはける」と打ち明ける。出版?新聞不況の中で「嫌中」「嫌韓」論は「貴重な金鉱脈」として期待されているらしい。

新聞情報(bào)でも実態(tài)は正確には伝えられていない?!溉罩袑澚ⅳ虺à搿喊k信力』―中國(guó)報(bào)道最前線 総局長(zhǎng)?特派員たちの聲」(段躍中?編、日本僑報(bào)社刊)によると、「反日デモや大気汚染など注目されるテーマでは衝撃的な場(chǎng)面や深刻な內(nèi)容について詳しく報(bào)じている。だが、ストレートなニュースにならない等身大の中國(guó)、そして中國(guó)人の姿を伝える機(jī)會(huì)は非常に限られている」(大手新聞社元特派員)という。

ある全國(guó)紙記者は「中國(guó)崩壊論」がこの10年余り日本のメディアに浮上しては消えている現(xiàn)実を紹介した上で、こう著述する。「こうした中國(guó)崩壊論はどうしてたびたび浮上してくるのか??证椁褐袊?guó)が崩壊したら嬉しい』という日本國(guó)民のニーズがあるからではないか。そんな記事や本を読みたいという欲求が日本人の潛在意識(shí)の中にあるのかもしれない」。

◆中國(guó)経済、「好調(diào)」は短く、「不調(diào)」は長(zhǎng)く書け!

こうした日本の読者?視聴者の「ニーズ」を受けて、最前線の経済記者は、東京のデスクの「中國(guó)経済好調(diào)の記事は短く、不調(diào)の記事は長(zhǎng)く書け」との要求に悩まされると明かす。その結(jié)果として、紙面を飾る中國(guó)関連記事のほとんどは「中國(guó)経済不調(diào)」のトーンになりがちという。確かにGDP7%臺(tái)の伸びを「中國(guó)7%臺(tái)に減速、外需低迷響く」「力強(qiáng)さ欠く」といった見出しが躍る。ちなみに日本は0%臺(tái)に低迷しているにもかかわらず、である。2年前の13年春には「シャドーバンキング(影の銀行)崩壊」を理由とした「7月危機(jī)説」喧伝され、日本の新聞、雑誌に大見出しが繰り返し躍ったが、結(jié)局杞憂に終わった。

「嫌韓」「反中」本あるいは「ヘイト本」と呼ばれるジャンルが受け入れられる日本は異常だが、その延長(zhǎng)線上にある、「スゴイ日本」「日本は世界最高」といった最近の日本禮賛本?禮賛番組ブームも健全とは言えない。長(zhǎng)期不況が続き、鳴り物入りのアベノミクス(安倍政権の経済政策)も「円安株高」をもたらしたものの、恩恵を受けているのは株や不動(dòng)産を保有する富裕層に限られ、実際の庶民生活は実質(zhì)賃金が19カ月連続でマイナスとなるなど一向に豊かにならない。中國(guó)にも経済力でも追い抜かれ、世界政治における存在感も低下する一方。深層心理的に「自信喪失」の裏返しと分析する識(shí)者も多い。

見たくないニュースに目をつぶり、心地よいニュースに飛びつく…?,F(xiàn)実を直視せず、偏狹かつ恣意的な情報(bào)選択を繰り返して道を間違えた戦前の轍を踏んではならない。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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