八牧浩行 2015年5月15日(金) 10時58分
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米國と中國は、6月下旬の米中戦略?経済対話や9月に予定されている習(xí)近平國家主席の訪米などを通じて、さらなる提攜強(qiáng)化を推進(jìn)する。寫真はの米中首脳會談。
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4月下旬の日米首脳會談で日米安保の強(qiáng)化を確認(rèn)したことで、安倍首相は「日米同盟の歴史に新たな1ページを開いた」と胸を張るが、一方で米國は中國との間の関係の維持?強(qiáng)化にも腐心する。6月下旬の米中戦略?経済対話や9月に予定されている習(xí)近平國家主席の訪米などを通じてさらなる?yún)f(xié)議が展開される。
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ケリー米國務(wù)長官は16?17日に中國を訪問、習(xí)近平國家主席、李克強(qiáng)首相ら政府高官と會談する。會談では、4月末の日米首脳會談の結(jié)果を説明するほか、北朝鮮の核?ミサイル問題や南シナ海問題も話し合われる。6月下旬にワシントンで開催する米中戦略?経済対話や、9月に予定されている習(xí)主席の訪米について協(xié)議する予定。習(xí)主席の訪米に當(dāng)たっては國賓として厚遇される見通し。
4月に訪米した安倍晉三首相はオバマ米大統(tǒng)領(lǐng)と2時間以上會談。日米首脳會談で日米同盟の深化と辺野古への早期移設(shè)を推進(jìn)する方針を確認(rèn)した一方、TPP(環(huán)太平洋経済連攜)推進(jìn)でも合意。これを受けて安倍首相は共同記者會見で「日米同盟の歴史に新たな1ページを開いた。世界の中の日米同盟とも呼ぶべきものだ」と胸を張った。
◆米中、水面下で手を握り合う
しかし、米國は中國との間でも頻繁に意思の疎通を図っており、夏から秋にかけて米中対話のイベントが目白押しだ。習(xí)主席は14年11月のAPEC(アジア太平洋首脳會議)後、オバマ大統(tǒng)領(lǐng)を約5時間にわたって會談、翌日さらに正式な會談を行った。2日間で食事も含め10時間に及んだ會談後、両首脳は異例の共同記者會見を行い、溫暖化対策への取り組み、軍事衝突を回避するための危機(jī)管理策、テロ対策、北朝鮮の非核化、エボラ出血熱封じ込め策―など多岐にわたる合意事項を披露。このうち、溫暖化対策と軍事衝突防止策は畫期的成果であると強(qiáng)調(diào)している。
オバマ大統(tǒng)領(lǐng)はこの時の共同記者會見で、「米中協(xié)力はアジア重視戦略の核心である」と明言、従來より踏み込んだ表現(xiàn)で対中関係を重視する姿勢を示した。習(xí)主席は「我々は引き続き、『新しい形の大國関係』の構(gòu)築に力を注ぐことに同意した」と語り、「アジア太平洋地域の安全に中國と米國が協(xié)力して貢獻(xiàn)するべきだ」と力説した。
米國と中國の関係は一見対立しているように見えて、水面下で手を握り合っているのが実情。米國は、中國の海洋進(jìn)出やサイバー攻撃などを問題視し、國際政治経済の各種ルールの順守を中國に期待しつつも、「中國を封じ込めることはしない」(ケリ―國務(wù)長官)と明言している。中國での前回のAPEC開催は2001年。當(dāng)時、米國の8分の1、日本の3分の1の規(guī)模だった中國経済は、いまや日本の2倍以上に達(dá)し、OECD(経済協(xié)力開発機(jī)構(gòu))やIMF(國際通貨機(jī)関)によると米國を10年以內(nèi)に追い抜く見通し。中國の急速な臺頭は國際秩序の変革を迫り、米國もこれに関與せざるを得ない。
米中は大規(guī)模な閣僚級戦略?経済対話を毎年開催しており、昨年7月上旬に北京で開催した戦略?経済対話には多くの主要閣僚とイエレンFRB(連邦準(zhǔn)備制度)議長ら百人以上が出席、(1)中國は事情により為替介入を削減する一方、米FRBは金融緩和の対外的影響に配慮する、(2)情報技術(shù)合意を拡大し、相互投資協(xié)定について交渉を進(jìn)展させる、(3)エネルギーや大気汚染、地球溫暖化問題での協(xié)力―などで合意した。
今年の米中戦略対話は6月下旬にワシントンで開かれる。これには中國の主要閣僚や人民銀行総裁、主要企業(yè)首脳らが訪米、米閣僚らと様々な事象について協(xié)議、協(xié)力強(qiáng)化で合意する。中國主導(dǎo)のアジアインフラ投資銀行(AIIB)も議題となる見通し。
中國は米國と厳しい対立があっても衝突せず、対話で解決する「対立的共存」方針のもと、米中が互いに干渉せずに利益を追求する世界を志向している。國內(nèi)向けには対立姿勢を見せつつ、米國と武力不使用を改めて確認(rèn)し合っているのが実情だ。
◆軍事、サイバーでも連攜
米國は14年夏に米ハワイ諸島沖で行われた米海軍主催の環(huán)太平洋合同演習(xí)(リムパック=2年に1度開催)に中國を初めて招待、同國は駆逐艦や病院船など4隻を派遣した。ハワイでは海軍だけでなく、陸軍同士も非常時支援訓(xùn)練などで米中が協(xié)力、空軍同士の交流もスタート。演習(xí)や訓(xùn)練は今後も続けられる。
米中にとって共通の外交課題は朝鮮半島の非核化。外交関係筋によると、両國は金正恩第一書記の専橫的な政治を問題視しており、ともに「核開発を放棄して生き殘るか、核開発を続けて崩壊の道を歩むのか」との選択を北朝鮮に迫っている。中國が対北朝鮮支援を極端に絞ったことが明らかになった。習(xí)主席は樸槿恵韓國大統(tǒng)領(lǐng)と蜜月関係にあり、米中は「韓國による朝鮮半島統(tǒng)一」の方向に舵を切ったとの見方さえ出ている。
昨年末、ソニーの米映畫子會社の新作上映がサイバー攻撃などで中止に追い込まれた問題で、米國は中國に協(xié)力を要請、王毅?中國外相はケリー米國務(wù)長官との電話で、北朝鮮のサイバー攻撃を批判、協(xié)力を約束した。このほか、米國は手を焼いているイスラム國、イラン、アフガニスタンなどの問題でも中國に連攜強(qiáng)化を要請している。
日本では米國の「アジア重視」表明や米軍の「太平洋回帰」を「対中包囲網(wǎng)の一環(huán)」と捉える向きが多いが、米政府は「対中封じ込めは行わない」と明言。米國にとって最大の課題は巨額の米政府債務(wù)と経常赤字の縮減であり、破綻を避けるためには、軍事費(fèi)の削減と、世界最大の貿(mào)易相手國である中國の消費(fèi)市場のさらなる取り込みが不可欠。これに加えて、中國は米國債を1兆3200億ドル(約160兆円)も保有、外貨準(zhǔn)備は3兆8000億ドル(約460兆円)と世界最大である。「米中協(xié)力はアジア重視戦略の核心だ」とオバマ大統(tǒng)領(lǐng)が明言したように、米國の「アジア重視」は「中國重視」と置き換えることができ、日米同盟強(qiáng)化の裏で、米中連攜は引き続き継続している。
國連広報局に30年以上勤めた植木安弘?上智大學(xué)教授は、「東アジアでは米國と中國が拮抗するようになっている」と指摘、「G2と言えるような國際政治構(gòu)造が成立しつつあり、日本の外交が問われている」と強(qiáng)調(diào)している。アジア政治に詳しい大庭三枝?東京理科大教授は「米國は中國を経済的にも安全保障的にも無視できない相手とみなし、同盟國?日本に対すると同様に重視している」と分析。日本は日米同盟を基礎(chǔ)としつつ中國との関係強(qiáng)化を図るべきだと提言している。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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