2015年5月15日、中國(guó)の北京市政府は今月6日、市內(nèi)全域で露天の焼き肉販売を禁止する通達(dá)を出した。中國(guó)ではウイグル族など中東系の少數(shù)民族の名物料理であるシシカバブの販売も禁止となる。この理由として、市當(dāng)局は「PM2．5（微小粒子狀物質(zhì)）の原因となっているため」と説明している。

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しかし、露天での飲食業(yè)による大気汚染は全體の5?10％となっており、ネット上では「PM2．5の主要な原因は劣悪なガソリンによる自動(dòng)車(chē)の排気ガスだ。露天商を取り締まるのは弱いものイジメだ」との聲が上がっている。

北京市當(dāng)局は「これから夏にかけて、大気汚染がひどくなる時(shí)期であり、PM2．5対策のために、露天の焼き肉販売を禁止する」と発表し、市內(nèi)中心部の33の焼き肉の露天商のほか、クレープなど他の66の露天商の営業(yè)許可を取り消した。今後は市郊外の露天商にも取り締まりを拡大していく予定だ。

これに、抵觸した場(chǎng)合、違反者に200元（約4000円）から、最大で2萬(wàn)元（約40萬(wàn)円）の罰金が科せられる。

しかし、中國(guó)環(huán)境保護(hù)省によると、市內(nèi)のPM2．5の主要原因は石炭を燃料とする工場(chǎng)からの煤煙と、自動(dòng)車(chē)の排気ガス。煤煙が全體の40％で、自動(dòng)車(chē)の排ガスは25％を占めている。

これに対して、露天商の出す煙は全體の5?10％となっている。

呉暁青（ウー?シャオチン）同省次官も「自動(dòng)車(chē)の排気ガスや工場(chǎng)からの煤煙は都市の濃霧?光化學(xué)スモッグの重要原因であり、低空で排出される極小微粒子の多くは有毒?有害物質(zhì)であり、人の健康を著しく損ねる」と指摘しているほどだ。

製鉄などの中國(guó)のほとんどの工場(chǎng)では、煤煙が多く出る中國(guó)産の安価な石炭を使用しているほか、一般市民も冬場(chǎng)の暖房に、これらの石炭を加工した練炭を燃料としているため、煤煙がひどい。

さらに、中國(guó)で売られているガソリンも、歐米の基準(zhǔn)の5?10倍の排気ガスを出すことが知られており、中國(guó)製ガソリンの基準(zhǔn)の厳格化が叫ばれている。

しかし、ガソリンは中國(guó)石油天然ガスグループなど大手國(guó)有企業(yè)3社が獨(dú)占している狀態(tài)で、基準(zhǔn)を厳しくすれば、新たな石油精製設(shè)備を?qū)毪筏胜堡欷肖胜椁胜?。その?chǎng)合、「膨大なコスト高となり、企業(yè)の利益がなくなる」との予測(cè)も出ており、政府も二の足を踏んでいる狀態(tài)だ。

このようななかでの北京市政府による焼き肉販売の露天商の取り締まりだけに、ネット上では「典型的な弱いものイジメ。國(guó)有石油會(huì)社を優(yōu)遇しないで、劣悪ガソリンを取り締まる法が先だ」との意見(jiàn)が多く書(shū)き込まれている。

◆筆者プロフィール：相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外國(guó)語(yǔ)大學(xué)中國(guó)學(xué)科卒業(yè)。産経新聞外信部記者、次長(zhǎng)、香港支局長(zhǎng)、米ジョージワシントン大學(xué)東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大學(xué)でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現(xiàn)在ジャーナリスト。

著書(shū)は「中國(guó)共産黨に消された人々」（小學(xué)館刊＝小學(xué)館ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞受賞作品）、「中國(guó)軍300萬(wàn)人次の戦爭(zhēng)」（講談社）、「ハーバード大學(xué)で日本はこう教えられている」（新潮社刊）など多數(shù)。