世界人口の約4分の1、約19億人にのぼるイスラム教徒。マレーシアやインドネシア、パキスタン、バングラディッシュ、中央アジア諸國(guó)などアジア圏には10億人近くが暮らしている。このうち中國(guó)のムスレムは新疆ウイグル自治區(qū)を中心に約2000萬(wàn)人に達(dá)する。経済成長(zhǎng)と人口増加が著しく有望な市場(chǎng)と目され、日本國(guó)內(nèi)でもその需要を取り込む動(dòng)きが活発化している。イスラム教徒は人口伸び率が高く、世界人口に占める割合は15 年後には3人に1人まで増えると予測(cè)されている。

【その他の寫(xiě)真】

こうした中、日本を訪れるイスラム教徒が、東南アジア5カ國(guó)の観光ビザ発給要件緩和もあって急増している。ところが日本をはじめとする非イスラム國(guó)で、イスラム教徒は常に食の問(wèn)題に悩まされる。イスラム教の戒律で、不浄なものとされる豚由來(lái)の食べ物やアルコール類(lèi)を含む食品を口にできないからだ。加工食品を購(gòu)入する際は成分表示を確認(rèn)し、時(shí)にはメーカーに直接問(wèn)い合わせるなど苦労が絶えない。

◆豚肉?アルコールはご法度

イスラム教徒の多い國(guó)々では消費(fèi)者の不安を和らげるため、販売されている食品などがイスラムの教えにのっとった健全なもの（ハラール）であるかを第3者機(jī)関に認(rèn)定してもらう「ハラール認(rèn)証制度」が普及している。食品の含有成分のほか、牛、鶏、羊などの豚肉以外の食肉であっても適切に処理されたかどうか、商品が豚肉と一緒に保管?輸送されていないかなど細(xì)かな規(guī)則が定められている。ハラール認(rèn)証はイスラム圏への輸出販売やサービスを行う際の“通行手形”となっており、多くの日本企業(yè)が厳しい條件をクリアし、イスラム圏でビジネスを展開(kāi)している。

ハラール認(rèn)証の認(rèn)定機(jī)関は日本國(guó)內(nèi)にも存在。その一つがNPO法人「日本ハラール?yún)f(xié)會(huì)」だ。世界的に権威のあるマレーシア政府のハラール認(rèn)証機(jī)関(JAKIM)やシンガポール政府などから日本での認(rèn)証機(jī)関として認(rèn)可され、イスラム教徒市場(chǎng)への関心の高まりから、國(guó)內(nèi)で認(rèn)証を受ける日本企業(yè)が相次いでいる。

同協(xié)會(huì)は（1）イスラム法で合法かつ、健康?衛(wèi)生的な食の提供を行う、（2）各業(yè)界のエキスパートと連攜し経済活性化、異文化交流に寄與する―の2點(diǎn)を目的としている。協(xié)會(huì)の幹部は「東京オリンピック?パラリンピックの2020年開(kāi)催に向けて外國(guó)人を呼び込もうと関心が高まった。全國(guó)の食品取扱店?業(yè)者の方々が協(xié)賛している」と語(yǔ)る。

現(xiàn)在、同協(xié)會(huì)のハラール認(rèn)証を取得している企業(yè)は食品、化粧品、醫(yī)薬品など約70社。倉(cāng)庫(kù)、日本通運(yùn)な運(yùn)輸會(huì)社や倉(cāng)庫(kù)會(huì)社も含まれている。研修會(huì)も毎月東京と大阪で交互に開(kāi)催され、多くの企業(yè)や官庁?fù)?dān)當(dāng)者が參加。この研修により毎年約500人が受講証明を取得する。

◆ハラール事業(yè)は歐米でも急拡大

世界ではハラール産業(yè)はもはや珍しい分野ではなく、マレーシアやサウジアラビアなどイスラム圏の國(guó)々はもちろん、米國(guó)、歐州、オーストラリア、ブラジルなど非イスラム圏でも年々支持されているという。

マレーシアで2006年から毎年開(kāi)催される「世界ハラールフォーラム」は、多くの非イスラム圏の各代表が出席し、世界中のハラール事業(yè)の動(dòng)きについて話し合う場(chǎng)となっている。日本ハラール?yún)f(xié)會(huì)も參加し、情報(bào)交換や今後の事業(yè)展開(kāi)について協(xié)議する。大阪で10月に開(kāi)催される「アジア?フードショー2015」にも出展し、ハラール商品展示、ハラール和食実演などでハラールをアピールする予定。

日本製ハラール商品の対外アピールは必要不可欠。協(xié)會(huì)の持つ海外でのネットワークを利用し、海外でのメディア媒體への掲載、展示會(huì)、國(guó)際會(huì)議出席の際は日本製ハラール製品のアピールを協(xié)會(huì)のちらしやホームページ上で紹介しているという。

◆成田空港やイオンモールに禮拝所

イスラム教徒にとって、気軽に祈禱できるモスク教會(huì)やイスラム禮拝所が極めて少ないのが悩みの種だったが、誰(shuí)でも使える祈禱室やハラール食事メニューを用意するイスラム教徒向けのサービスが急速に拡大している。千葉市美浜區(qū)の「イオンモール幕張新都心」の4階に設(shè)置された禮拝所には、備え付けの水場(chǎng)があり、手足を洗う。天井にはメッカの方角を示す表示。イスラム教徒たちが靜かに祈りを捧げていた?！?日5回の禮拝はムスリムの義務(wù)なので、こうした施設(shè)はありがたい」という。

成田空港や東京駅から車(chē)で30分。幕張新都心は國(guó)際會(huì)議場(chǎng)「幕張メッセ」を核に、千葉県が國(guó)際化を目指して開(kāi)発を進(jìn)めてきた街だ。外資系企業(yè)の拠點(diǎn)が多く、外國(guó)人の姿が目立つ。近くの神田外國(guó)語(yǔ)大の食堂やホテルスプリングス幕張レストランでも「ハラール食」を提供している。

成田空港は世界の100以上の都市に就航し、イスラム圏の人の出入國(guó)も多い。イスラム教徒用の禮拝室が、昨年2室新設(shè)され、計(jì)4室となった。全メニューがハラール認(rèn)証を受けたうどん店と天ぷら店も空港內(nèi)にオープンした。成田空港に近い「酒々井プレミアム?アウトレット」（千葉県酒々井町）も、訪日外國(guó)人の利用増加をにらみ、ハラール対応の和食店も新設(shè)した。

少子高齢化で人口が減少する日本では、経済成長(zhǎng)戦略の一環(huán)として、外國(guó)人訪日客や居住者を増やすことが急務(wù)。イスラム圏からの観光客の潛在力は、爆買(mǎi)いで有名な中國(guó)人観光客に匹敵すると期待されている。イスラム教徒にとって居心地の良い環(huán)境づくりが望まれる。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。