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柯隆?富士通総研主席研究員が日本記者クラブで講演した。中國政府は、投資中心から消費、資源エネルギー中心から効率化中心へ、量より質重視への構造転換を図っている、と指摘。GDP成長率について「実態(tài)は5%ぐらい」との見方を示した。
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2015年9月、中國経済が変調をきたし、世界の金融市場が動揺している中で、中國経済に詳しい専門家2人が日本記者クラブで講演した。中國?南京市出身の柯隆?富士通総研主席研究員は、中國政府は、投資中心から消費、資源エネルギー中心から効率化中心へ、「量より質」重視への構造転換を図っている、と指摘。GDP成長率について「実態(tài)は5%ぐらい」との見方を示した。また中國の中央と地方を合わせた公的債務総額はシャドーバンキングなど隠れ債務を合わせ、GDPの2倍以上に達していると分析した。柯隆氏の発言要旨は次の通り。
【その他の寫真】
景気減速の中で、中國政府はオーソドックスな金融政策(金利と預金準備率操作)を繰り返し実施した。金融緩和により大幅に円安が進んだアベノミクスにヒントを得たものだ。為替レートの切り下げは輸出製造業(yè)の価格競爭力の強化に寄與する。
中國の景気後退を考えれば、人民元レート引き下げはやむを得ないことだが、政府がいきなり発表するのは問題。先進國では経済政策の変更は唐突に実施するのではなく、政策當局が繰り返し市場と対話しながら、市場と投資家の動向を見極めた上で政策を実施する。行き過ぎた円高が是正され、FRB(米連邦準備制度理事會)のイエレン議長は利上げを実施するかどうかを判斷するために、繰り返して市場にメッセージを送っている。
しかし、社會主義の政治指導者は選挙を経験していないため、記者會見が苦手である。ポリシーメーカーが市場と対話せずに、唐突に政策を実施するから、市場に大きなショックを與えてしまう。
中國経済が緩やかに減速していくことは自然の姿と思われる。中國政府は、投資中心から消費、資源エネルギー中心から効率化中心へ、量より質重視への構造転換を図るとしている。中國政府はGDP成長目標を「7%」とし、今年1?3月期も4?6月期も、発表された実績は7%だった。しかし実態(tài)は5%ぐらいではないかと私は見ている。
中國の中央政府と地方政府などの公的債務はシャドーバンキングなどの隠れ債務を合わせ、GDPの2倍以上に達している。公共工事は需要がなければできず、これまでのようにバンバンつくるというわけにはいかない。來年から始まる13次5か年計畫を一部前倒しすることも検討され、現(xiàn)在1萬8000キロの高速鉄道を5萬キロに延長する方針も打ち出されている。しかし、中國政府は著しく遅れている醫(yī)療?福祉の分野に力を入れるべきである。
中國人民元切り下げを発端とした世界市場の混亂が続いているが、G7(7カ國財務省?中央銀行総裁會議)、G20(主要20カ國財務省?中央銀行総裁會議)などでの國際的な対応が不十分ではないか。今や中國の問題は中國だけにとどまらない。國際的な協(xié)調が重要であり、日中韓首脳會議の一刻も早い開催を望みたい。(八牧浩行)
「<どうなる中國経済(2/2)>世界全面株安、「中國がすべての発生源ではなく、ダメージは日本や東南アジアの方が大きい」―津上俊哉?シンクタンク代表」に続く。
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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