昨年初めから、2、3カ月に1回北京など中國(guó)の都市を訪れているが、このところ思うのは、中國(guó)人観光客のマナーがアップしてきたということだ。

【その他の寫真】

羽田空港で北京行きの旅客機(jī)に乗り込む際、私の前に10人くらいの中國(guó)人観光客が並んでいた。その後、知り合いとおぼしき數(shù)人の中國(guó)人観光客が姿を現(xiàn)したので、これまでの経験から「割り込まれても仕方がないか」と半ば諦めかけた。ところが、私の前にいた中國(guó)人女性が、彼らに「後ろ、後ろ」と聲をかけて、手を後方に振って、最後尾に並ぶように指示したのだ。

これも私の體験だが、都內(nèi)のある有名なラーメン店で1時(shí)間ほど並び、「もうすぐだな」と思っていたところ、私の前にいた中國(guó)人とおぼしき男性が攜帯電話で仲間に連絡(luò)して、10人くらいの中國(guó)人グループが突如、姿を現(xiàn)し店側(cè)とトラブルになったのを目撃したことがある?？崭郅扦庾蚰辍⑼袱瑜Δ圣暴`スで、割り込まれたこともあったが、今回の場(chǎng)合は様変わりだ。

ネット上では列の中國(guó)人観光客のマナーの悪さが話題になっていることもあって、「汚名返上」とばかり、マナーアップを心がけている旅慣れた中國(guó)人観光客も少なくないようだ。実際、日本を訪れる中國(guó)人観光客への有効期限3カ月のビザ発給條件は年収10萬(wàn)元（約200萬(wàn)円）で住宅もしくは自動(dòng)車の財(cái)産証明をもつ富裕層が主。いわば「特権階級(jí)」だけに、今後、マナーアップは急速に進(jìn)んでいくのではないか。

昨年、日本を訪れた外國(guó)人観光客は1200萬(wàn)人を超え、そのうち中國(guó)大陸からの観光客は300萬(wàn)人を占めている。今年は500萬(wàn)人を超えるとの予測(cè)もあり、日本にとっては無(wú)視できない存在になっている。

日本の大手ディスカウントショップのなかには、中國(guó)人観光客の誘致に本腰を入れて取り組んでいるものも少なくない。ある企業(yè)は今年初め北京事務(wù)所を開設(shè)し、初代所長(zhǎng)に日本語(yǔ)が堪能で、日本の國(guó)內(nèi)事情に精通している北京の日本旅行専門會(huì)社の社長(zhǎng)を起用した。

また、関東の自治體のなかには、中國(guó)からの団體を受け入れ、ホテルなどの宿泊施設(shè)の他、會(huì)議場(chǎng)なども斡旋する事業(yè)を始め、北京に拠點(diǎn)を作り、やはり日本事情に精通した中國(guó)人の代表を任命しているという。

北京でそれらの代表に話を聞くと、「日本に旅行したいと思っている中國(guó)人は非常に多い。入國(guó)の條件が緩和されれば、訪日客はすぐに1000萬(wàn)人を超えるだろう。われわれも彼らに日本でのマナーを教えるので、日本人が不快になるケースは少なくなってくるに違いない」と話す。

いま、中國(guó)経済は「バブル崩壊」だとか、「失速が著しい」といわれるが、個(gè)人のレベルでの落ち込みはそれほど大きくはなく、購(gòu)買意欲は衰えていない。

中國(guó)経済が悪い狀態(tài)だからこそ、逆に日本企業(yè)や自治體はこれまで以上に、?1000萬(wàn)人爆買客?の市場(chǎng)を開拓するために今後はむしろ中國(guó)に積極的に打って出ることも必要となってくるのではないか。

◆筆者プロフィール：相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外國(guó)語(yǔ)大學(xué)中國(guó)學(xué)科卒業(yè)。産経新聞外信部記者、次長(zhǎng)、香港支局長(zhǎng)、米ジョージワシントン大學(xué)東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大學(xué)でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現(xiàn)在ジャーナリスト。著書は「中國(guó)共産黨に消された人々」（小學(xué)館刊＝小學(xué)館ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞受賞作品）、「中國(guó)軍300萬(wàn)人次の戦爭(zhēng)」（講談社）、「ハーバード大學(xué)で日本はこう教えられている」（新潮社刊）、「習(xí)近平の『反日計(jì)畫』―中國(guó)『機(jī)密文書』に記された危険な野望」（小學(xué)館刊）など多數(shù)。