11月の米大統(tǒng)領(lǐng)選挙と議會選挙の行方が注目されている。米有力政治筋によると、大統(tǒng)領(lǐng)選は民主黨のヒラリー?クリントン候補が圧勝するのは確実。共和黨のトランプ候補は支離滅裂な過激発言が多く、一般的な有権者の多くは拒否反応。共和黨の組織も分裂狀態(tài)にあるという。

同筋によると、大統(tǒng)領(lǐng)選と同時に行われる下院選挙は、共和黨が大勢を占める可能性が大きい?，F(xiàn)在よりも保守的な議員が増えると見られ、クリントン氏は大統(tǒng)領(lǐng)になっても、共和黨の抵抗に遭うのは必至。共和黨を束ねるライアン議長は次期大統(tǒng)領(lǐng)選挙への出馬に意欲的で、クリントン氏と妥協(xié)しないと見られる。特に國內(nèi)政策では、このような勢力関係を背景に現(xiàn)狀維持的な色彩が濃くなるという。

対外分野では、クリントン氏はオバマ大統(tǒng)領(lǐng)の基本路線を継承するが、獨自性も打ち出す。特にロシア、中國、イランなどの勢力拡大の動きに対しては、強い姿勢で臨むことになる。環(huán)太平洋連攜協(xié)定（TPP）の先送りも避けられないと同筋は見ている。

一方、米同盟國との協(xié)力を明確に打ち出すと予想。特に日韓などアジアの同盟國に対しては、安全保障問題により深くかかわることを約束すると見ている。

中東政策では、サウジアラビアやイスラエルなど従來親米國だった國々との関係修復(fù)に乗り出し、安全保障も明確にすることになる。一方でIS（イスラム國）やアルカイダなどテロ組織には強硬路線を探るという。

同筋は、現(xiàn)狀ではトランプ候補が大統(tǒng)領(lǐng)になる確率は、25％程度と低いが、なっても金融?株式市場への影響は限定的と分析する。むしろ、トランプ氏が唱えている（1）環(huán)境規(guī)制や金融規(guī)制の緩和は、鉱業(yè)エネルギー業(yè)界や銀行業(yè)界にはメリットが大きい、（2）個人、法人に対する減稅は設(shè)備投資や消費に追い風(fēng)となる。

貿(mào)易政策でも中國への一括関稅、北米貿(mào)易協(xié)定（NAFTA）の廃止、メキシコ國境での壁建造などの早期実現(xiàn)は制度上困難と見ている。

同筋は、トランプ氏勝利の場合の最大のリスクは安全保障面にあると強調(diào)。米國が歐州、アジア、中東はじめ世界でこれまで長年推進してきた対外基本政策を覆そうというもので、大きな撹亂要因となると懸念している。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。