「新常態(tài)」に移行した中國(guó)経済は引き続き世界経済に大きなインパクト（強(qiáng)い影響）を及ぼしている。國(guó)家戦略備蓄の積み増しを背景に、今年の原油輸入量は過(guò)去最高水準(zhǔn)を記録し、原油価格の下支え要因になっている半面、メタル（非鉄金屬）取引所の亂立は市場(chǎng)かく亂要因になり兼ねない狀況だ。獨(dú)立行政法人石油天然ガス?金屬鉱物資源機(jī)構(gòu)（JOGMEC）がこのほど東京都內(nèi)で開(kāi)いたセミナーで、森永正裕北京事務(wù)所長(zhǎng)が報(bào)告した。主な要旨は以下の通り。

◆15年の成長(zhǎng)率は目標(biāo)の「7．0％」前後を維持か？

「新常態(tài)」は昨年5月、習(xí)近平國(guó)家主席が河南省を視察したときに使った言葉。成長(zhǎng)率の低下を容認(rèn)して、むしろ成長(zhǎng)の質(zhì)を高めていこうという趣旨だ。普通の國(guó)は法律ができて政策だが、中國(guó)は上の人が何かをしゃべると政策になる?！感鲁B(tài)」はその典型的な例だ（今年3月の全國(guó)人民代表大會(huì)では「新常態(tài)」をキーワードとする政府活動(dòng)報(bào)告が採(cǎi)択された）。

2014年の中國(guó)の経済成長(zhǎng)率は7．3％と前年の7．7％から鈍化した。減速の主な要因は（1）地方政府を中心とした投資の減速（2）第2次産業(yè)（製造業(yè)）の伸び悩み（3）世界経済の回復(fù)の遅れによる輸出の下押し圧力―の3點(diǎn)だ。とりわけ、やみくもな不動(dòng)産開(kāi)発に伴い巨額の銀行借り入れで資金繰りが苦しくなったことと中央政府による反汚職摘発で地方政府がほぼ機(jī)能停止?fàn)顟B(tài)に陥ったことが大きく響いた。

今年前半の経済成長(zhǎng)率（第1、第2四半期とも7．0％）は、金融セクターが下支えた。中心は個(gè)人の株式取引だ。個(gè)人の株式投資用新規(guī)口座開(kāi)設(shè)數(shù)（上海証券取引所＋深せん証券取引所の合計(jì)）が昨年暮れから急増した。昨年7月までは毎月100萬(wàn)戸以下だったが、12月には約410萬(wàn)戸、今年4月は約1580萬(wàn)戸に上った。5月、6月も高水準(zhǔn)だった。

今年後半は予算法改正により直接債券発行が認(rèn)められた結(jié)果、地方政府の資金繰りが改善した上、李克強(qiáng)首相が地方政府に対し、必要なプロジェクトの早期実施を促し、実施しない場(chǎng)合は罰する懲罰制度を?qū)毪筏郡长趣堑胤秸瑒?dòng)き出しており、地方財(cái)政支出も戻ってきた。國(guó)家発展改革委員會(huì)の公表では、今年1?9月に交通インフラ関連84件9906億元を筆頭に合計(jì)218件1兆8131億元の固定資産投資（都市部の設(shè)備投資と建設(shè)投資の合計(jì)）プロジェクトが認(rèn)可された。

この結(jié)果、今年第3四半期の成長(zhǎng)率は6．9％とやや鈍化したものの、15年通年では何とか目標(biāo)値の「7．0％」前後を維持するのではないか。

◆國(guó)家戦略備蓄を背景に原油輸入は過(guò)去最高に

中國(guó)は石油（原油）戦略備蓄（SPR）を進(jìn)めており、石油市場(chǎng)に大きな影響を與えている。同國(guó)の備蓄計(jì)畫(huà)は03年4月にスタート、04年3月から第1期備蓄基地整備計(jì)畫(huà)が始まった。備蓄基地整備は第3期まで公表されている。

第1期で整備されたのは鎮(zhèn)海（浙江?。?、黃島（山東?。?、大連（遼寧?。⒅凵剑ㄕ憬。─?基地で設(shè)備容量は1640萬(wàn)立方メートル（約1億0300萬(wàn)バレル）。第2期と第3期の設(shè)備容量は各2680萬(wàn)立方メートル。07年12月の鎮(zhèn)?；丐蚱で肖辘嘶丐渭趧?dòng)は始まっている。中國(guó)國(guó)家統(tǒng)計(jì)局が昨年11月20日、初めて公表したSPRは1243萬(wàn)トン（約9200萬(wàn)バレル）だった。

中國(guó)の原油輸入量は増加してきている。13年は2億8000萬(wàn)トン、14年は3億0800萬(wàn)トンと初めて3億トンを超えた。今年も4月と7月が月次で3000萬(wàn)トンを超えており、年間輸入量は前年を上回る過(guò)去最高水準(zhǔn)を記録する見(jiàn)通しだ。

中國(guó)は石油価格の下落を利用して「爆買(mǎi)い」的に輸入をしているとの指摘があるが、輸入自體は増えているものの、備蓄基地ができたときに輸入量がどっと増えたとは感じられない。やや亂暴な考察だが、原油生産量と輸入量の合計(jì)から原油加工量（製油所で加工される消費(fèi)量）を引いた差はプラスで、その一部が備蓄に回っているものと思われる。

14年12月から15年3月までの4カ月間をとってみると、原油生産量と輸入量の合計(jì)は1億8100萬(wàn)トン（13億2700萬(wàn)バレル）。原油精製量1億6800萬(wàn)トン（12億3000萬(wàn)バレル）を引いた1300萬(wàn)トン（9700萬(wàn)バレル）が増加し、その一部がSPRに回ったとみている。

◆メタル取引所が亂立、主體は個(gè)人投資家

中國(guó)ではここ2?3年の間にメタル取引所があっという間に幾つも設(shè)立されて、マーケットに大きな影響を與えている。従來(lái)からある上海期貨交易所（上海市、1990年11月開(kāi)業(yè)）や無(wú)錫不銹鋼交易中心（江蘇省無(wú)錫市、2006年11月開(kāi)業(yè)）に加えて、11年には泛亜?dòng)猩饘俳灰姿?yún)南省昆明市）と南方稀貴金屬交易所（広東省深せん市）、12年には天津貴金屬交易所（天津市）、上海有色金屬現(xiàn)貨交易中心（上海市）、13年湖南有色金屬交易所（湖南省長(zhǎng)沙市）、14年には包頭希土産品交易所（內(nèi)モンゴル自治區(qū)包頭市）と陝西有色金屬交易中心（陝西省西安市）が開(kāi)業(yè)した。

このうち泛亜?dòng)猩饘俳灰姿扦辖衲?月、資金が枯渇し、投資家に資金を返還できなくなって個(gè)人投資家による抗議行動(dòng)が起こった。現(xiàn)在、ほとんど取引がストップしていると言われる。

包頭市はレアアース（稀土類(lèi)）の一大産地。報(bào)道ベースでは、包頭希土産品交易所では今年、20萬(wàn)トンの取引がされると予測(cè)されている。今年の世界全體のレアアース需要は10萬(wàn)トンちょっとなので、世界需要の2年分の取引が1年間で行われる狀況になっている。

メタル取引所で取引しているのは個(gè)人投資家がほとんだ。それも今年になって口座を開(kāi)設(shè)した人たちばかりなので、知識(shí)も経験もない中で飛びついて取引をしている。グルーバルでみたらかなり危険な狀況が生まれている?，F(xiàn)在は非鉄金屬の國(guó)際需給に影響していないが、今後どうなるかについては注視していく必要がある。（長(zhǎng)澤孝昭）