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世界の成長センター、東アジアを中心に地政學的な地殻変動が起きている。激動する國際?経済情勢を読み解いた上で、この地域が志向すべき道を探る。資料寫真。
世界の成長センター、東アジアを中心に地政學的な地殻変動が起きている。激動する國際?経済情勢を読み解いた上で、この地域が志向すべき道を探る。日本は日米同盟の強化や多くの國との「価値観外交」を展開しているが、近隣の中國と韓國とは微妙な関係が続く。一方で米國と中國は事実上「対立を?qū)澰挙墙鉀Qする関係」を維持?強化しようとしている。
國內(nèi)総生産(GDP)を指標とする國力は、日本が兄貴分で中國や韓國を支援する時代は終わり、今や中國が日本の2倍以上の大國に発展、韓國も日本を追い上げる構(gòu)図となった。日中韓3カ國の力関係が変貌した結(jié)果、各國のナショナリズムが歴史認識や領(lǐng)土が絡(luò)む問題の解決を困難にしている。
大規(guī)模な地殻変動の根幹となるのは「経済」である。韓國の対中接近も最大の貿(mào)易相手國である中國についた方が得とのリアリズムが背景。米國だけでなくドイツ、フランス、英國、東南アジア諸國なども世界最大の消費大國?中國のパワーを無視できない。中國主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)も12月末に57カ國が署名して正式に発足。南シナ海での領(lǐng)有権を巡り中國と係爭中のフィリピンやベトナムも調(diào)印した。中國は世界最大の消費市場を“売物”に産業(yè)協(xié)力や輸入拡大をアピール、積極的な首脳外交を展開している。
「中國の海洋進出を念頭に防衛(wèi)力を強化する」というフレーズが日本政府高官やメディアで多用される。日本の防衛(wèi)費も安倍政権下で増加し、28年度予算案では5兆円を突破した。日中両國が軍事的に張り合うだけでは東アジアの緊迫化は高まる一方となる。
世界の成長センターである東アジアで経済の相互依存を深めることこそが軍事衝突を防ぐ最大の抑止力になる。2度の世界大戦の教訓から生まれた共通経済市場であるEU(歐州連合)諸國の間では、「戦爭が起きると考えている國民はいない」(仏外交筋)という。
米中が冷戦時代の米ソのように鋭く対立しないのは両國間に経済相互依存が存在するためである。日本と中國との間にも國交正?;詠恧尉o密な相互経済関係がある。浙江省や上海市など経済発展が目覚ましい地方政府のトップを経験し、日本企業(yè)関係者との親交が深い習主席の本音は日本との共存共栄に持ち込むこと?!笇澣臻v係は改善すべきだ。日中の経済交流と民間交流を強化せよ」と発言している。
アジア太平洋の経済相互依存で、日本は絶好のポジションに位置する。大筋合意した米國主導の環(huán)太平洋経済連攜協(xié)定(TPP)と中國、韓國、東南アジアが加わる東アジア地域包括的経済連攜(RCEP)をともに推進し結(jié)合させればこの地域の繁栄と安全に繋げられる。日本が経済の相互依存よりも単純な軍事的安保優(yōu)先に傾斜すれば、世界の成長センター、アジア太平洋の繁栄を損ない、アベノミクスの足を引っ張ることにもなる。
日本の経済界は日中韓FTA(自由貿(mào)易協(xié)定)交渉の進展を待望しているが、中韓は両國FTAを抜け駆け的に発足させてしまった。日本の経済界は「中國市場を韓國に席巻されてしまう」と焦っている。中韓との関係改善を最優(yōu)先にするべきであろう。
カート?トン米首席國務(wù)次官補代理(経済擔當)は「中國はTPP(環(huán)太平洋連攜協(xié)定)への加入を前向きに検討しており、我々も意を強くしている」と指摘、中國のTPP加盟を歓迎する方針を示した。その上で、中國とは2國間投資協(xié)定交渉を進めており、締結(jié)されれば、「米中経済関係は透明性や予見可能性などが向上しさらに発展する」と強調(diào)している。
中國はアジアインフラ投資銀行(AIIB)構(gòu)想を、巧妙な形で打ち出してきた。経済大國として資金を出す一方で、第三世界のリーダーとして、既存の國際秩序の変更を迫るという、2つの矛盾したものを解決する手段が內(nèi)包されている。
◆アジアのベストシナリオは?
北朝鮮による核?弾道ミサイル開発や、中國の海洋(東シナ海?南シナ海など)での行動に対しては、「日米同盟」、「中國との互恵関係の重視」、「アジア諸國との連攜」の3本柱を中心にバランスよく展開していくことが現(xiàn)実的であろう。日本は政治と軍事では米國と連攜し、経済では中國と戦略的な互恵関係を深めるという複數(shù)の軸足をもつことを確認する必要がある。
アジアの將來シナリオとしては、ベストな「アジアの世紀」、ワーストな「アジアの破局」というシナリオが考えられる。日本?中國?韓國は、最悪の「アジアの破局」のシナリオを避け、「アジアの世紀」を?qū)g現(xiàn)させることがすべての関係諸國にとって最大の利益をもたらすという確固たる認識を持つべきだ。日本?中國?韓國は朝鮮半島の安定化をめざして、平和裏に経済成長?発展を図る必要がある。
安倍首相と中國の李克強首相、韓國の樸槿恵大統(tǒng)領(lǐng)が15年11月に3年半ぶりの日中韓首脳會談をソウルで開催。16年の日中韓首脳會談を日本で開き、再び定例化することで合意した。ようやく関係打開に向けた首脳レベルの具體的協(xié)議がスタートする。(八牧浩行)
<続く>
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
八牧浩行
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