2016年1月2日、中國(guó)が南シナ海?南沙諸島の人工島に建設(shè)した飛行場(chǎng)で試験飛行を行った。領(lǐng)有権を爭(zhēng)うベトナムが真っ先に抗議、続いて米國(guó)務(wù)省が「地域の緊張を高める行為だ」とし、領(lǐng)有権を主張する國(guó)に対し、さらなる埋め立てや飛行場(chǎng)建設(shè)、軍事化をやめるよう求めた。中國(guó)外交部の華春瑩報(bào)道官は、南沙諸島の永暑礁に完成した飛行場(chǎng)で試験飛行を行ったことを認(rèn)めた上で、「活動(dòng)は完全に中國(guó)の主権の範(fàn)囲內(nèi)の事情だ」と主張?！傅览恧韦胜し请yは受け入れない」と応じた。日本の岸田外相や中谷防衛(wèi)相も批判に加わったが、米國(guó)世論は冷めており、決め手に欠くのが現(xiàn)狀だ。

【その他の寫真】

習(xí)近平政権は南シナ海の巖礁の埋め立てを推進(jìn)、滑走路を建設(shè)、軍事施設(shè)を設(shè)置している。周辺國(guó)や米國(guó)などからの抗議をもろともせず、これらの活動(dòng)を停止していない。従來(lái)中國(guó)は南シナ海の島々が中國(guó)領(lǐng)であると主張しており、中國(guó)が強(qiáng)國(guó)になった現(xiàn)在、実力行使できるようになったという論理が中國(guó)國(guó)內(nèi)ではまかり通っている。もちろん國(guó)際社會(huì)では到底容認(rèn)できない獨(dú)斷的な考え方だが、埋め立て強(qiáng)行に対抗するパワーは周辺國(guó)になく、米國(guó)も実力行使阻止へ強(qiáng)引な政策はとらないと高をくくっているようだ。

米國(guó)は世界の成長(zhǎng)センター、東アジアを重視するリバランス政策に転じ、中國(guó)重視の政策をとってきた。米國(guó)がようやく重い腰をあげ、イージス駆逐艦を南シナ海に派遣、「航行の自由」作戦を展開(kāi)した。しかし米國(guó)は尖閣諸島の帰屬と同様、領(lǐng)土紛爭(zhēng)には介入せず、國(guó)連海洋法條約上の航行の自由原則の確認(rèn)を行っているにすぎない。

◆米國(guó)、中東?IS対策を重視

日本では「南シナ海問(wèn)題で米國(guó)は激怒した」といった報(bào)道が目立ったが、実態(tài)は異なるようだ。オバマ政権は、3カ月に2回以上のペースで南のシナ海?南沙諸島に米艦を送り込むとしながらも、10月に「ラッセン」を送ったまま動(dòng)きはなく、IS（イスラム國(guó)）対策に専念するために年內(nèi)の派遣を見(jiàn)送った。ISとの戦いに加えて、米國(guó)と対立するロシアが軍事的な活動(dòng)を加速していることも、オバマ政権の判斷に影響しているもようだ。

米世論調(diào)査機(jī)関「ピュー?リサーチ?センター」が、2015年12月に1500人の成人の米國(guó)人を?qū)澫螭趣工搿该{威認(rèn)識(shí)」についての調(diào)査を行ったところ、米國(guó)にとっての主要な脅威として挙げられたのは、IS（83％）、イランの核開(kāi)発問(wèn)題（62％）、北朝鮮の核開(kāi)発問(wèn)題（59％）の順。第4位に地球溫暖化と並んで、ようやく中國(guó)の臺(tái)頭が入った（49％）。米世論は冷めており、「中國(guó)問(wèn)題」は大統(tǒng)領(lǐng)候補(bǔ)の討論會(huì)でも大きな爭(zhēng)點(diǎn)になっていない。

　12月の地球溫暖化対策に関する「パリ協(xié)定」では、米中が協(xié)力し、參加各國(guó)をリードしたことが合意につながった。パリ協(xié)定は、1997年の京都議定書以來(lái)18年ぶりの世界的な溫暖化対策の枠組みで、米中の連攜が世界全體を動(dòng)かした初の成果と言える。

　毎年米中交互に開(kāi)かれる米中戦略?経済対話は、米中両國(guó)の主要閣僚や政府?経済界が経済や安全保障分野の懸案、國(guó)際的な課題について意見(jiàn)交換する大規(guī)模會(huì)議で、毎年米中交互に開(kāi)催されている。昨年7月に米國(guó)で開(kāi)催された対話では、閣僚や政府関係者、経済界のトップクラス1000人近くが出席。中國(guó)側(cè)は400人以上の代表団を送り込んだ。この米中戦略対話では、溫室ガス削減問(wèn)題、米中投資協(xié)定、人民元の國(guó)際化など約200項(xiàng)目で合意したほか、6つの大掛かりなプロジェクトを立ち上げ、民間部門が技術(shù)協(xié)力を推進(jìn)することで一致した。

米國(guó)との間には、日本にはこのような定期的な戦略的大規(guī)模対話はない。オバマ大統(tǒng)領(lǐng)と習(xí)近平主席の會(huì)談は年に數(shù)回、長(zhǎng)時(shí)間開(kāi)催されており、米中は互いの立場(chǎng)を暗黙裡に理解し合う「阿吽（あ?うん）」の関係にあるとの見(jiàn)方も多い。筆者は昨年も、中國(guó)を取材旅行したが各地で米國(guó)企業(yè)が立地し、米ブランドのビルが林立、アメリカ人であふれていた。

米國(guó)にとって最大の課題は巨額の米政府債務(wù)と経常赤字の縮減であり、破綻を避けるためには、軍事費(fèi)の削減と、世界最大の中國(guó)消費(fèi)市場(chǎng)の取り込みが不可欠。中國(guó)は米國(guó)の最大の輸出相手國(guó)である。これに加えて、中國(guó)は米國(guó)債を1兆3200億ドル（約160兆円）も保有、外貨準(zhǔn)備も3兆8000億ドル（約460兆円）と世界最大である。オバマ大統(tǒng)領(lǐng)は「米中協(xié)力はアジア重視戦略の核心だ」と明言している。

一方、中國(guó)も経済発展の途上にあり、大掛かりな軍事紛爭(zhēng)になれば、世界制覇の可能性が吹き飛ぶことから、米國(guó)と本気でコトを構(gòu)える気はない。

◆米中は安全保障でも連攜

安全保障面でも米軍と人民解放軍の協(xié)力関係にある。昨秋も上海近海において米中合同軍事演習(xí)を行い、米ハワイ諸島沖で今年夏に行われる米海軍主催の環(huán)太平洋合同演習(xí)（リムパック）に中國(guó)海軍が參加する予定だ。陸軍同士も非常時(shí)支援訓(xùn)練などで米中が協(xié)力、空軍同士の交流もスタートしている。

中國(guó)も、米國(guó)と厳しい対立があっても衝突せず、対話で解決する「対立的共存」方針のもと、米中が互いに干渉せずに利益を追求する世界を志向している。國(guó)內(nèi)向けには対立姿勢(shì)を見(jiàn)せつつ、米國(guó)と経済相互発展と武力不使用を改めて確認(rèn)し合っているのが実情だ。

米國(guó)と同様、日本にとっても中國(guó)は最大の貿(mào)易相手國(guó)。2萬(wàn)2000社が進(jìn)出し、日本人21萬(wàn)人が中國(guó)に滯在している。日米中が力を合わせて世界の成長(zhǎng)センター、東アジアのさらなる繁栄に向け努力することが肝要だ。軍事に頼らない平和的な手段で他國(guó)の尊敬を得た方が、外交も経済もスムーズに機(jī)能する、結(jié)果として國(guó)家の安全保障を高めることになることをひたすら辛抱強(qiáng)く訴えるべきであろう。（八牧浩行）

＜続く＞

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。