2016年1月16日、臺(tái)灣の総統(tǒng)選挙が投開票され、與黨國民黨の朱立倫主席が「敗北宣言」し、最大野黨、民進(jìn)黨の蔡英文主席の當(dāng)選が確実となった。政権交代は8年ぶりで、初の女性総統(tǒng)が誕生する。蔡氏の総統(tǒng)就任は5月20日。

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蔡氏勝利の要因として、（1）現(xiàn)在の馬英九政権が経済政策で「成長率6％以上、失業(yè)率3％以下」などの公約を達(dá)成できず、住民の生活を著しく向上させられなかった、（2）自らを「臺(tái)灣人」と考え、「臺(tái)灣アイデンティティー」を重視する人々が中國への過度の依存を恐れた、（3）14年のヒマワリ運(yùn)動(dòng)による政治意識(shí)の変化―などが挙げられる。

中國への過度の依存に慎重な民進(jìn)黨が政権を奪取したことから、中臺(tái)の交流はやや停滯する可能性がある。ただ、臺(tái)灣海峽が緊張した2000?08年の陳水扁?民進(jìn)黨政権の時(shí)代に逆戻りすることはないとみられる。米國が「臺(tái)灣獨(dú)立」をけん制していることもあって、「民進(jìn)黨が勝っても、獨(dú)立に向かうことはない。むしろ大陸に接近していく可能性も考えられる」との聲も多い。蔡氏も「現(xiàn)狀維持」を掲げ、馬政権の対中融和路線を引き継いで現(xiàn)実的な対応をしていく考えを示している。

経済的に大陸に大きく依存している點(diǎn)もその背景となっている。15年1?9月の臺(tái)灣と中國（香港?マカオ含まず）の貿(mào)易総額は866億ドルで、臺(tái)灣にとって中國は最大の貿(mào)易相手國だ。米フォーブス誌によると、輸出に占める対中依存度が高い國?地域は、オーストラリア（34％）、臺(tái)灣（26％）、韓國（25％）、チリ（23％）、日本（19％）の順。同時(shí)期に、中國から臺(tái)灣を訪問した観光客は311萬人で、外國人旅行者の41％を占めている。

蔡氏はかつて民進(jìn)黨政権を率いた陳氏に比べ理性的と見られている。新年早々テレビ討論會(huì)に出席した蔡氏は最大の爭點(diǎn)である中臺(tái)関係について、「リスク管理の思考を持ちつつ、両岸（中臺(tái)）の経済貿(mào)易の交流を続けたい」と語った。

蔡氏は昨年6月、米戦略國際問題研究所（CCIS）の講演で　「多くのアジアの國々がいまだ獨(dú)裁主義に苦しむなか、臺(tái)灣にいる私たちは民主主義を大変誇りに思うと同時(shí)に、これまで勝ち取ってきた社會(huì)的?政治的な権利と個(gè)人の自由を大事に持ち続けるつもりだ」と強(qiáng)調(diào)。その上で、「中國と建設(shè)的な対話を推進(jìn)する一方、そのプロセスは民主的で透明なものであると確約する。経済的恩恵は公平に共有される」と述べている。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。