八牧浩行 2016年2月8日(月) 8時(shí)15分
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北朝鮮が1月の核実験に続いて「ミサイル」を発射した。2002年の一般教書演説でブッシュ米大統(tǒng)領(lǐng)(當(dāng)時(shí))が、イラク、イラン、北朝鮮を、最も脅威となる國家「悪の樞軸」と非難したが、このうち北朝鮮だけが手つかずのまま放置され、核を保有するに至った。資料寫真。
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2016年2月7日、北朝鮮が1月の核実験に続いて「ミサイル」を発射した。2002年の一般教書演説でブッシュ米大統(tǒng)領(lǐng)(當(dāng)時(shí))が、イラク、イラン、北朝鮮を、最も脅威となる國家「悪の樞軸」と非難したが、この3カ國のうち、北朝鮮だけが手つかずのまま放置され、核を保有するに至った。各國の対朝経済制裁の強(qiáng)化は必至だが、何故このタイミングで強(qiáng)硬策に踏み切ったのか。日米韓をはじめ國際社會(huì)は強(qiáng)く非難、朝鮮半島の非核化方針に沿って北朝鮮を説得してきた中國もメンツを潰された格好だ。
【その他の寫真】
核兵器の小型化が実現(xiàn)すれば、北朝鮮は核ミサイルを手にしたことになる。北朝鮮は2012年に金正恩第1書記政権スタートして以來以來、緩やかな経済成長軌道をたどってきた。北朝鮮は社會(huì)主義経済を堅(jiān)持しながらも、工場など経済活動(dòng)の現(xiàn)場に権限を與え、一定の範(fàn)囲で自由な経済活動(dòng)を許してきた。また貿(mào)易全體の9割を中國が占めるなど、中國一辺倒の狀態(tài)が長く続いてきた。
◆「核トラウマ」にとりつかれた
金正恩氏が切望してきたのは、米國との直接交渉である。自らの権力基盤を固めるために米國からの武力行使を受けないという「體制の保証」が欠かせないためだ。同じ獨(dú)裁者だったイラク?フセイン大統(tǒng)領(lǐng)が米國の攻撃を受け、あえない最期を遂げたのは、「核兵器」を保持していたかったからだと、同氏は思い込む「核トラウマ」にとりつかれている。
米朝両國は1994年10月にジュネーブで「北朝鮮が核爆弾の原料となるプルトニウムの抽出が容易な黒鉛減速爐の建設(shè)?運(yùn)転を凍結(jié)する代わりに、米國が軽水爐(LWR)建設(shè)を支援し、完成まで代替エネルギーとして年間50萬トンの重油を供給する」との合意文書に調(diào)印した。しかし2012年4月に北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射を強(qiáng)行し、この米朝合意は破棄された。
その後、米國は一貫して「核放棄に向けた具體的な行動(dòng)」を要求し、北朝鮮側(cè)の対話要求を拒否。米國との交渉は、金正恩體制がスタートした12年初めから4年もの間、途絶えている。オバマ政権が一貫して北朝鮮との直接交渉を拒んでいるのが要因だ。非核化を目指す6カ國協(xié)議(日米中露韓と北朝鮮が參加)も7年以上開かれていない。
北朝鮮は1月の核実験後の聲明でも「核放棄は絶対あり得ない」と斷言した。17年1月までのオバマ大統(tǒng)領(lǐng)の任期中は「対米交渉は困難」と見て、「核保有」アピールの道を選択した可能性が高い。
國內(nèi)向けには、「水爆成功」を誇示し対米対決を強(qiáng)く打ち出せば、住民にさらなる耐乏を求めやすくなる。今年5月に36年ぶり開催される朝鮮労働黨大會(huì)に向け、國威発揚(yáng)のため國際的孤立を逆手にとる作戦だろう。
この結(jié)果、拉致問題をはじめとする日朝協(xié)議、南北間協(xié)議がストップするのは確実。安倍晉三首相は、14年5月に一部緩和した制裁を再び強(qiáng)化せざるを得なくなろう。南北関係の改善を進(jìn)めていた韓國の樸槿恵大統(tǒng)領(lǐng)も、対話中斷を余儀なくされる。
今後の北朝鮮情勢の焦點(diǎn)は、中國の習(xí)近平國家主席がどう対応するかである。中國政府は昨年10月、創(chuàng)建70年式典に劉雲(yún)山?政治局常務(wù)委員を平壌に派遣、核実験をしないよう正恩氏にクギを刺し、冷え込んだ中朝関係の改善を探り始めた矢先。通告もなく核実験に踏み切り、中國のメンツは潰された。金正恩體制の不安定化は避けたいところだが、中國が安保理決議や経済制裁などで具體的な行動(dòng)を取るかが注目される。日米韓3カ國をはじめとする國際社會(huì)は、中國が北朝鮮へ経済制裁で足並みをそろえるよう働きかけることになろう。
◆“未熟な指導(dǎo)者”ではない
一部の専門家は先入観に基づいて金正恩體制について脆弱性を指摘、恐怖政治が體制を不安定にすると分析するが、北朝鮮研究の政治と経済における第一人者である、鄭成長?韓國世宗研究所統(tǒng)一戦略研究室長は、「金正恩が即興的に軍事の人事を斷行し、軍部掌握を粛清のみに依存しているというのは事実と大きく違う」と指摘?!附鹫鳏舷却谓鹫諘r(shí)代に過度に肥大化し、高齢化した軍部の上層部を縮小し、世代交代を通じて若返りを図った。事なかれ主義に陥った勢力を遮斷し、軍紀(jì)を引き締めている」と明かす。
さらに、「金正恩の年齢だけを取り上げて、“未熟な指導(dǎo)者”と性急な判斷を下し、軍部改革での部分的な動(dòng)揺をもって不安定と論じるのは不適切である」と話す。金正恩は父親の金正日より緻密で、政治局會(huì)議など幹部たちを集めた會(huì)議を頻繁に開き、討論を経た後、決定することを好んでいる、という。
米國と中國にとって共通の最優(yōu)先課題は朝鮮半島の非核化。外交関係筋によると、米國は2013年末、「核開発を放棄して生き殘るか、核開発を続けて崩壊の道を歩むのか」との選択を北朝鮮に迫るべきだと中國に要請(qǐng)、原油の供給をストップするよう求めた。核開発継続や北朝鮮の親中派改革開放論者?張成沢氏の粛正などを問題視した習(xí)主席がこれに呼応。石油の供給を14年に入って極端に絞ったことが中國の貿(mào)易統(tǒng)計(jì)で明らかになった。
ほぼ同時(shí)期にトップの座に就いた習(xí)近平主席と樸槿恵大統(tǒng)領(lǐng)と蜜月関係にあり、慣行を覆し韓國を北朝鮮より先に訪問した。これに対し、北朝鮮?金正恩政権は、頼みの中國に袖にされたために、「拉致問題の解決」を呼び水に日本に接近した。経済支援が目的で、日本には拉致問題打開につなげようとの狙いがあった。その際、米國、韓國はもちろん中國までもが、日本の突出した経済制裁緩和への動(dòng)きを強(qiáng)く懸念したが、それも制裁再強(qiáng)化により元の狀況に戻ることになった。
姜英之?東アジア総合研究所理事長は「北朝鮮は、國際社會(huì)の制裁レベルを見極めながら、國威発揚(yáng)が目的の第7回労働大會(huì)(5月)を控え、再び対韓國融和策を持ち出し、中國との関係修復(fù)に全力を注ぐことになろう。米國に対しても何らかの秋波を送らざるを得ない」と見ている。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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