中國(guó)の首都、北京ではここ數(shù)年來(lái)、違法ラジオ局が暗躍し、醫(yī)薬品の販売目的で、法律では禁じられている自主制作のCMを放送するなどして、2014年3月からこれまで50以上の違法ラジオ局が摘発されていることが分かった。

違法ラジオ局の電波で他のラジオ番組が電波ジャックされているほか、旅客機(jī)の通信も妨害されるなど、一歩間違えば大きな航空機(jī)事故につながる可能性もあるとの指摘も出ている。

北京紙「新京報(bào)」が獨(dú)自ネタとして報(bào)じたもので、同紙記者が昨年末から1月下旬までのほぼ1カ月間、小型高性能ラジオをもって周波數(shù)を変えながら、違法ラジオ局を探して出しては、當(dāng)事者に取材した。

それによると、これらの違法ラジオ局の設(shè)備などをそろえるのに5000元（約10萬(wàn)円）もあれば足りるということで、ほぼ北京市民の月収分だ。

違法ラジオ局の電波は半徑10km圏內(nèi)に屆くため、北京市郊外にラジオ局を設(shè)置しても、市中心部には十分屆くという。

ある違法ラジオ局開(kāi)設(shè)者は「薬の売り上げは3カ月で80萬(wàn)元あった」と語(yǔ)っており、十分、元手はとれることになる。

しかも、警察関係者によると、違法ラジオ局はマンションの1室でも広さは十分なだけに、見(jiàn)つかる可能性が極めて低いのが現(xiàn)狀だ。このため、現(xiàn)在、北京市內(nèi)だけで、100以上もの違法ラジオ局が暗躍しているという。

彼らの売っている薬品は強(qiáng)精剤が主な商品で、漢方薬を主な成分とした「中國(guó)製のバイアグラ」だ。朝鮮ニンジンとか、鹿の角などが成分と謳っているものもあるが、ほとんどが偽物とみられる。実際、これらの偽薬を飲んで、死に至るなど深刻な被害も出ている。

しかし、まれに本物にもぶつかることもあり、しかも、本物に比べてかなり安いだけに、中高年男性の関心が高いのも事実。違法ラジオ局の放送では、これらの商品名を連呼し、安いことを印象付け、「いまから1時(shí)間は地下鉄×號(hào)線の××駅の×番出口にいる」などと販売場(chǎng)所を指定。短時(shí)間で場(chǎng)所を移動(dòng)し、警察の追及を逃れるなど、手が込んでいる。

しかも、これらの違法ラジオ局は、結(jié)果的に同じような周波數(shù)の本物のラジオ番組を電波ジャックすることにつながるだけに、社會(huì)的な被害も出てくることになる。さらに、深刻なのは、航空機(jī)の通話の周波數(shù)と近い場(chǎng)合、正常な通話が妨害されるケースも出ており、「今後、大きな事故につながる可能性も指摘されている」と同紙は警告している。

警察は今年に入って、実行犯グループ7人を逮捕しているが、焼け石に水の狀態(tài)だ。

◆筆者プロフィール：相馬勝

1956年、青森県生まれ。東京外國(guó)語(yǔ)大學(xué)中國(guó)學(xué)科卒業(yè)。産経新聞外信部記者、次長(zhǎng)、香港支局長(zhǎng)、米ジョージワシントン大學(xué)東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大學(xué)でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現(xiàn)在ジャーナリスト。著書(shū)は「中國(guó)共産黨に消された人々」（小學(xué)館刊＝小學(xué)館ノンフィクション大賞優(yōu)秀賞受賞作品）、「中國(guó)軍300萬(wàn)人次の戦爭(zhēng)」（講談社）、「ハーバード大學(xué)で日本はこう教えられている」（新潮社刊）、「習(xí)近平の『反日計(jì)畫(huà)』―中國(guó)『機(jī)密文書(shū)』に記された危険な野望」（小學(xué)館刊）など多數(shù)。