八牧浩行 2016年3月5日(土) 3時20分
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『反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正體』(新潮選書)を刊行した森本あんり國際基督教大學教授が、米大統(tǒng)領選の底流にある変化と継続について講演。數(shù)々の暴言を繰り返している不動産王?トランプ氏が各州予備選で支持を集めている背景を分析した。
2016年3月2日、『反知性主義:アメリカが生んだ「熱病」の正體』(新潮選書)を刊行した森本あんり國際基督教大學教授が、米大統(tǒng)領選の底流について、日本記者クラブで講演した?!弗幞伐硣长吮冥蜃鳏盲埔泼瘠蚓啢岢訾弧埂弗ぅ攻楗嘟掏饯稳雵蚪工护琛埂溉毡兢渲袊蜻丹韦幛埂工胜嗓缺┭预蚶Rり返している不動産王ドナルド?トランプ氏が各州予備選で支持を集め、共和黨の候補者選びで優(yōu)位を固めている。米大統(tǒng)領には似つかわしくないキャラクターとされるが、米國民は何故このような人物に熱狂するのか?
同教授は、米政治には転換期に「反知性主義」が登場する伝統(tǒng)があると指摘。トランプ現(xiàn)象は「米國內外での指導力に陰りが見える中で、何も変えられない政治エリートに対する大衆(zhòng)の反発の表れ」と分析した。また「この世の成功は神の祝福の証し」という米國獨特のキリスト教の3段論法に裏打ちされ、自力で富と名聲を築いたトランプ氏のような人物がキリスト教保守派の支持も得られている、と解説した。発言要旨は次の通り。
米政治には転換期に「反知性主義」が登場する伝統(tǒng)がある。それは単なる大衆(zhòng)迎合のポピュリズムではなく、権力と結びついた知的エリートに対する大衆(zhòng)の反発である。古くは、ドル紙幣に肖像として使われ、今でも人気の高い19世紀前半のジャクソン大統(tǒng)領が代表的。戦後もアイゼンハワー大統(tǒng)領、レーガン大統(tǒng)領、ジョージ?ブッシュ大統(tǒng)領など、大衆(zhòng)の支持を得たいわば政治素人が、「主流派」の知的エリートを下して政治をリセットする歴史が繰り返されてきた?!弗去楗螗赚F(xiàn)象」も、米國內外の指導力に陰りが見える中で、何も変えられない政治エスタブリッシュメントに対する大衆(zhòng)の反発の表れかもしれない。
知性そのものではなく、知性と権力との結びつきへの反発や、知的特権階級への「異議申し立て」とも言える。また誰もが平等にゼロから出発して自分の力で成功する「アメリカン?ドリーム」への回帰と見ることもできる。
トランプ人気は「この世の成功は神の祝福の証し」という米國獨特のキリスト教の論理にも裏打ちされている。(1)神は従う者を祝福する、(2)自分は成功している、(3)従って自分は神に認められている―という単純な「三段論法」に依拠している。それ故に自力で富と名聲を築いたトランプ氏のような人物がキリスト教保守派の支持も得られている。キリスト教の伝道集會のような大統(tǒng)領予備選の形式も、トランプ氏への熱狂につながっている。
政治の素人だったジャクソン大統(tǒng)領は、19世紀の連邦國家形成期の米國だったからこそ成功したが、國際情勢が複雑化し、米國の爛熟期である現(xiàn)代で、同様の成功は保証されない。トランプ氏が仮に當選すれば軍事大國の最高司令官になるが、軍と衝突する恐れがあり危険だ。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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