アベノミクス八方ふさがり?日銀「マイナス金利」裏目に、BISが痛烈批判=G20も円安誘導(dǎo)策をけん制―「円高株安」へ逆流

八牧浩行    2016年3月9日(水) 3時30分

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世界的な金融資本市場の混亂が止まらない。日本企業(yè)の業(yè)績の悪化を懸念する「日本株売り」が目立ち、日経平均株価は1萬6000円臺でのさえない動きが続く。円も1ドル=110円臺前半に高騰、景気の先行きに暗い影を投げかけている。寫真は東京?新橋のサラリーマン。

世界的な金融資本市場の混亂が止まらない。日本企業(yè)の業(yè)績の悪化を懸念する「日本株売り」が目立ち、日経平均株価は一時1萬5000円を割り込んだ後、1萬6000円臺にもどしたもののさえない動きが続いている。円も一時1ドル=110円臺前半に急騰し、景気の先行きに暗い影を投げかけている。

円安が日本企業(yè)の収益を押し上げ株高につなげる」というのが、アベノミクスの一枚看板だが、運(yùn)用リスクを避けようとする動きが急拡大し、世界経済の先行き不透明感から市場は動揺している。2月下旬に上海で開催されたG20財務(wù)相會議で自國通貨を切り下げる「通貨安競爭を避ける」方針が再確認(rèn)され、日本が円高阻止に向けた為替介入や追加の金融緩和に踏み切りづらくなるとの見方も広がった。

 

◆金融関連株が急落

イエレン米連邦準(zhǔn)備理事會(FRB)議長が議會証言で、3月の追加利上げを先送りする方針を示唆したため米経済の減速が改めて認(rèn)識され、外國為替市場では、「ドル高?円安」のシナリオが崩れた。FRBは昨年12月、9年ぶりの利上げに動く一方、日銀は今年1月末、歐州中央銀行(ECB)、スイス中央銀行などに続いてマイナス金利の導(dǎo)入を決めた。ところが、金融政策の方向性の違いとマイナス金利の副作用で市場は混亂に陥り、景気を支えるはずの金融政策が機(jī)能しにくくなっている。

 

日本ではマイナス金利の導(dǎo)入決定以降、円相場が1ドル=121円臺から110円臺前半に急伸。日経平均株価は一時1萬4000円臺に下落した。円高?株安が急速に進(jìn)んだ一因は、民間の資金需要が乏しい中、金利をゼロ以下に引き下げても借り手は増えず、逆に企業(yè)や家計は「タンス預(yù)金」を抱え込んでしまい「日本はデフレに逆戻りしかねない」という心配が広がったためだ。

 

マイナス金利になると、國債価格は今よりも値上がり(利回りは低下)するから値幅取り狙いのマネーが殺到する。日米の10年物國債価格はすでに急騰している。歐州や日本では、収益環(huán)境の悪化懸念から金融関連株が急落。ドイツ銀行など歐州有力銀行にも、財務(wù)狀況に対する不安がくすぶっている。歐州ではマイナス金利を?qū)毪筏皮夥ㄈ讼颏辟Jし出しはあまり伸びていない。住宅価格の高騰が続き、個人向け住宅ローンは伸びているが、資金運(yùn)用面では個人はマイナス金利導(dǎo)入後も「貯蓄から投資へ」のお金の流れは見えない。民間企業(yè)もバランスシート上に余剰キャッシュを抱えながらも、使途を決められずに困惑しているのが実情という。

野村アセットマネジメントなど資産運(yùn)用大手はMMF(マネー?マネージメント?ファンド)の運(yùn)用をやめ、資産を投資家に返卻する方針である。マイナス金利により安定した利回りを確保できなくなったためだ。MMFを扱う全11社が償還する見通しで、一時は殘高が20兆円を超えた人気投資信託が事実上、姿を消す。MMFは一時小口投資家の人気商品だっただけにマイナス金利がもたらした「誤算」と言える。

世界各國の中央銀行で構(gòu)成する國際決済銀行(BIS)は3月6日発表の四半期報告書で金融緩和の副作用を指摘。マイナス金利について「家計と企業(yè)がどのように行動するのか非常に不透明だ」と言及。政策効果などに「多くの疑問が殘る」と痛烈に批判した。BISは各國中央銀行の金融緩和が市場の混亂の要因になったと分析。歐州で銀行株などが急落したのは「低金利で銀行の利ざや大きく縮減するとの連想が働いたため」とし、特に日銀のマイナス金利の導(dǎo)入でこの傾向が広がった」と指摘している。日本でも多くの金融機(jī)関から「マイナス金利は明らかに経営に打撃を與える」(大手地銀會長)など怨嗟の聲が聞こえる。

◆企業(yè)収益に陰り、「春闘」にも暗雲(yún)

企業(yè)の収益にも陰りが出てきた。三菱重工業(yè)、パナソニック、日立製作所、新日鉄住金、ファナック……。3月期決算企業(yè)の4?12月期決算発表では、通期の利益見通しを下方修正する企業(yè)が目立った。多くの企業(yè)が理由として掲げるのが(1) 資源価格の下落(2) 中國景気の減速 (3)米アップルiPhoneの生産減―の3 點。これに加えて、適正レートとされる119円を大きく上回る円高により、今3月期の経常利益の伸び悩みは必至だ。

 

15年10?12月期の國內(nèi)総生産(GDP)は改定値でも前期比年率1.1%減となった。1?3月も、海外経済の減速や消費(fèi)低迷で下振れる恐れもあり、今年度通期でマイナスに沈む可能性もある。企業(yè)の生産や設(shè)備投資が鈍い上に、春闘賃上げも伸び悩み、GDPの約6 割を占める個人消費(fèi)の回復(fù)にももたつきがみられる。2月の景気ウオッチャー調(diào)査によると、街角景気の実感を示す現(xiàn)狀判斷指數(shù)は前月比2.0ポイント低下の44.6だった。悪化は2カ月連続。飲食や小売りなどの家計動向や、企業(yè)動向、雇用関連の全項目で指數(shù)が低下した。內(nèi)閣府は街角景気の基調(diào)判斷を1年3カ月ぶりに引き下げた。

構(gòu)造改革など成長戦略の推進(jìn)が望まれるところだが、いまひとつ切り札に欠ける。景気刺激策も財源不足から機(jī)動的に展開しづらいのが実情。アベノミクスはまさに正念場を迎えている。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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