八牧浩行 2016年5月6日(金) 9時10分
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タックスヘイブンで現(xiàn)地法人の設立?運営?管理をしていたパナマの法律事務所から漏洩した、「パナマ文書」が世界を震撼させている。ICIJが世界各國の指導者や資本家らが設立した會社などが絡んでいることを明かしたが、実態(tài)はベールに包まれている。資料寫真。
タックスヘイブン(租稅回避地)で現(xiàn)地法人の設立?運営?管理をしていたパナマの法律事務所「モサック?フォンセカ」から漏洩した、いわゆる「パナマ文書」が世界を震撼させている。國際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が、一部を暴露、世界各國の指導者や資本家らが設立した會社などが絡んでいることが明かされたが、実態(tài)はベールに包まれている。5月10日にも公表が予定されており、その行方が注目されている。
稅金逃れのため設立された現(xiàn)地會社の所有者の実名やその活動內容など、絶対に明るみに出ないはずだった機密情報が2.6テラバイト(紙に印刷するとトラック1000臺分)も流出してしまったというのだ。
タックスヘイブンとは、金融?サービス業(yè)などの所得に対し、無稅または低稅率しか課していない國や地域のこと。中米パナマやカリブ海の英領ケイマン諸島など小國や島が多い。タックスヘイブンでの法人設立を支援していたパナマの法律事務所の內部資料が流出。キャメロン英首相、プーチン露大統(tǒng)領、習近平中國國家主席ら各國指導者や著名人の名前が飛び出した。直接関わっていたアイスランド首相が辭任するなど國際社會に大きな衝撃を與えている。パナマ文書には、この法律事務所が1萬5600社のペーパーカンパニーの設立にかかわった記録があり、スイスのUBS、クレディスイス、英國のHSBCなど有力銀行も関係していたという。
タックスヘイブンに対しては、多國籍企業(yè)や富裕層の自國での課稅逃れや、麻薬組織のマネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されているとの批判が集中。経済協(xié)力開発機構(OECD)は稅率や法制度の透明性を基準にタックスヘイブンのブラックリストを策定し、是正を促している。
OECDのグリア事務総長は4月12日、日本記者クラブでの記者會見でタックスヘイブンに関する「パナマ文書」について、「(発覚により)透明性に向かう動きが強まる」と強調。パナマ政府が、OECDが推進する租稅回避防止策に協(xié)力すると明かした上で、近く対策會議を開く方針を表明した。
かかわったといわれる人たちは、「合法である」と釈明しているが、専門家によると、実際はすべてが合法ではない。パナマなどタックスヘイブンに資金を預けたり會社を設立したりすることは合法だが、日本など主要國は日本居住者が全世界で得た所得に対して課稅し、二重課稅については申告の段階で調整する「全世界課稅方式」をとっている。日本の居住者は、タックスヘイブンを含めた國外で所得を得れば、日本の稅務當局へ申告しなければならない義務があり、適正に納稅されていなければ「脫稅」になる。
2014年から國外財産調書が導入され、5000萬円を超える國外財産を保有する居住者は、その保有する財産の中身を記載して稅務署に提出する義務を負うこととなった。故意の不提出や虛偽記載には、1年以下の懲役刑が科せられる。ところが國外財産調書の提出者は極めて少數(shù)で、未提出者が相當存在すると言われているが、実態(tài)は不透明だ。當局がパナマ文書を解読すれば実態(tài)を把握することが可能となるかもしれない。
4月中旬にワシントンで開かれた20か國財務相會議(G20會合)は「自動情報交換の仕組み」づくりで合意。日本の居住者がタックスヘイブンを含む外國に口座を開設すれば、その情報(口座殘高、利子、配當など)が自動的に各國の稅務當局に送られてくる仕組みを構築することになった。2017年までに55カ國?地域が交換を始めることで合意、日本は2018年までに交換することになっている。
4月のG20會合での聲明は、「特に法人及び法的取極めの実質的所有者情報に関し、金融の透明性及び全ての國?地域による透明性に関する基準の効果的な実施に付した高い優(yōu)先性を再確認する」と明記。これまではアンタッチャブルだった「実質的所有者」情報の透明性を求めている?!该摱?、腐敗、租稅回避、テロ資金供與、マネーロンダリングの目的で悪用されることを防止するため」とされている。今後、「國際的実質的所有者」情報の交換に向けて作業(yè)が開始される。
10日にも公表されるパナマ文書に関する報告には、400あまりの日本人や日本企業(yè)の名が含まれているとされ、正確な検証と徹底的な追及が望まれる。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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