2016年6月1日、「もうひとつの日中韓」をテーマに編成された弦楽四重奏団が日本記者クラブで演奏と會(huì)見を行った。米國(guó)の名門オーケストラ、フィラデルフィア管弦楽団に所屬する日中韓米出身のメンバーで、同管弦楽団の來(lái)日公演を機(jī)に「共通言語(yǔ)」音楽の力で、政治的な対立を乗り越えたい、などと訴えた。

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會(huì)見の冒頭、奏でられたのは、ボロディン弦楽四重奏曲第2番第3楽章「夜想曲」、ベートーベン弦楽四重奏曲11番「セリオーソ」の2曲。妙なるメロディーが會(huì)見場(chǎng)の高い天井に響き渡った。

記者會(huì)見に臨んだ団員は、中國(guó)?上海から米國(guó)に音楽留學(xué)したイン?フーさん（第1ヴァイオリン）、日系2世のエイミー?大城さん（第2ヴァイオリン）、地元フィラデルフィア出身で韓國(guó)系のマービン?ムーンさん（ビオラ）、米國(guó)人で妻は臺(tái)北出身のデレク?バーンズさん（チェロ）。4人とも著名音楽コンクール入賞経験のあるトップ奏者である。フィラデルフィア管弦楽団のアリソン?ヴァルガモア事務(wù)局長(zhǎng)兼CEOも同席した。

「日中韓3カ國(guó)は政治的なハーモニーを何故奏でられないのか」との記者の質(zhì)問(wèn)に対し、父が沖縄、母は福島出身の大城さんは「父母の時(shí)代に日米が戦い、厳しい歴史があったことは理解しており、物心ついたときから考えていた」と回答?！杆阶陨恧先障得讎?guó)人だからといってネガティブな扱いをされたことはなく、オープンに受け入れられた。國(guó)と國(guó)との垣根を簡(jiǎn)単に飛び越えられるのは音楽家の特権かもしれない。戦爭(zhēng)を音楽によって乗り越えることができるということを多くの著名な音楽家から學(xué)んだ」と心情を語(yǔ)った。

母國(guó)中國(guó)で3歳半からヴァイオリンを習(xí)い始め、大學(xué)卒業(yè)後に渡米したフーさんは「音楽は共通言語(yǔ)なので、人々を近づける武器となる。我々の願(yuàn)いは紛爭(zhēng)ではなく平和だ」と強(qiáng)調(diào)。その上で、「考え方が違う中で、対立を解消するためには歩み寄る意思が大切だ。是非もっとコンサートに行って音楽を聴いてもらいたい。人々の中に、何かよい変化が起きると思う」と訴えた。

ムーンさんは「（困難に直面しても）違ったアプローチの方法を探ることが大事。蕓術(shù)は天國(guó)に一歩近い神聖な世界で、人類の真の聲に近い。厳しい狀況にあればある程、蕓術(shù)や音楽は役に立つ」と持論を展開した。

フィラデルフィア楽団は1900年に創(chuàng)設(shè)。73年に米國(guó)のオーケストラとして初めて中國(guó)で演奏するなどアジアで活動(dòng)の輪を広げてきた。今回のアジア公演參加メンバーのうちアジア系は全體の4分の1弱の25人。この日の記者會(huì)見は、今年のアジアツアーにちなんだもので、どこに行っても訪問(wèn)國(guó)の言語(yǔ)が話せる団員がいることは財(cái)産となるという。

ヴァルガモアCEOは「メンバーそれぞれが文化大使だと考えている」とキッパリ。「音楽の分野も技術(shù)の進(jìn)化は目覚ましいが、直接迫力のある音楽を聴く素晴らしさに取って代わることはできない。音楽文化がアジアや世界の人たちの絆を強(qiáng)固にする」と力を込めた。今年は日本公演のほか、中國(guó)でも長(zhǎng)期公演、來(lái)年にはモンゴルに行って演奏する予定という。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。