2016年7月1日、中國広東省の烏坎（ウカン）村。12年春、共産黨政権下では異例の直接選挙で村長（村民委員會主任）などを選んだ「民主化の村」として國外でも知られている。それから4年余、公安當(dāng)局が村長を突然、拘束。村民が抗議運(yùn)動に立ち上がるなど、混亂が深まっている。

烏坎村は人口約1萬3000人の漁村。11年9月、長く村に君臨していた地元共産黨幹部が村の土地使用権約27ヘクタール分を開発業(yè)者に勝手に売卻したことに村民が強(qiáng)く反発。道路にバリケードを設(shè)置して武裝警官隊と激しい衝突を繰り返すなど、大きな騒動に発展した。この間、村民は臨時の自治組織を立ち上げ、地元黨幹部らを追い出した。

公安當(dāng)局に拘束された村民代表が不審死する事件も発生し、村民による抗議活動は拡大。當(dāng)局側(cè)は村への電気?水道を止め、食料の持ち込みを許さないなどの措置を取り、封じ込めを図ったが、村民は「籠城戦」で対抗し、騒動は12月にかけても続いた。

海外メディアが大々的に報道する中、事態(tài)は當(dāng)時の広東省黨委員會副書記が収拾に乗り出して決著。村民の行為は不問とされた。さらに翌年2月に村民8000人の直接投票による村自治組織「村民委員會」、3月には村長の選挙が行われ、共産黨一黨獨(dú)裁が続く中國での民主化の試金石として世界から注目を集めた。村長には林祖戀氏が當(dāng)選し、14年に再選。林氏は村の黨書記でもある。

香港メディアなどによると、林氏らは土地問題がいっこうに解決しないため、6月19日に村民大會を計畫。上級政府への直訴も予定していたが、前日に公安當(dāng)局が林氏を収賄容疑で拘束した。拘束劇は武裝警察隊が村を取り囲んだ狀態(tài)で自宅にいきなり踏み込む電撃的なもので、公安當(dāng)局は集會などを阻止しようと先手を打ったとみられる。

20日には「林氏が罪を認(rèn)めた」と発表され、21日には林氏が「法律の知識に乏しく無知で、下請け業(yè)者の選定、資産購入の過程で巨額の謝禮を受け取った」などと供述する動畫が公開された。村民の多くは「無理やり言わされた」と「冤罪（えんざい）」を主張。動畫を村の中學(xué)校で授業(yè)中に閲覧させたことから、村民の不信感はむしろ高まっているという。

村長拘束に抗議する村民數(shù)千人は集會を開催。中國國旗の五星紅旗、共産黨旗や橫斷幕を掲げて連日、村內(nèi)を回り、「私たちの書記を返せ」「土地を返せ」などとスローガンを叫び、大量に動員され厳戒態(tài)勢を敷く警官隊とにらみ合い、緊張が高まった。

日本メディアによると、公安當(dāng)局は外國人記者が村に入ることを阻止するために周辺道路を閉鎖。その後、取材は認(rèn)められたものの、當(dāng)局者が同行した。中國からの獨(dú)立運(yùn)動が続くチベット自治區(qū)や新疆ウイグル自治區(qū)並みの気の使いようだ。（編集/日向）