2017年6月27日、東京大東洋文化研究所の松田康博教授が、臺(tái)灣の蔡英文政権の誕生が中臺(tái)関係や東アジア情勢(shì)に與える影響について日本記者クラブで講演した。「蔡英文総統(tǒng)は原則を重視し、同じく原則を重んじる中國(guó)習(xí)近平政権と正面からぶつかる」としながらも、雙方とも「現(xiàn)狀維持」を掲げ柔軟に対応するとの見(jiàn)通しを示した。

その上で、蔡政権は「繁栄と自立」のジレンマに陥ると分析。「繁栄を求めれば中國(guó)とうまく付き合わなければならず、自立を志向すれば、臺(tái)灣は孤立する懸念がある」と指摘した。馬英久前政権は繁栄を優(yōu)先、対中経済関係を改善したが、若者層にはその恩恵が及ばなかった、と評(píng)した。

松田教授によると、習(xí)主席、蔡総統(tǒng)はともに、「中國(guó)は一つ」を掲げているが、「統(tǒng)一への過(guò)程」と見(jiàn)る共産黨政権と、「臺(tái)灣は獨(dú)立した存在」と認(rèn)識(shí)する民進(jìn)黨政権とでは中身が異なる。それでも、「ナショナリズム（臺(tái)灣アイデンティティ）が強(qiáng)まり、直接対峙しているので、蔡政権はよほどミスをしない限り、2期8年は続く」という。

また、柔軟かつ実務(wù)を重んじる蔡英文氏は、中國(guó)を刺激して米國(guó)の同意が得られなかった陳水扁民進(jìn)黨政権時(shí)代と異なり、中國(guó)を挑発するような行動(dòng)は控えると予測(cè)。蔡氏は現(xiàn)行憲法を尊重すると表明するなど獨(dú)立を志向しない考えを明らかにしており、現(xiàn)実路線(xiàn)を歩むと見(jiàn)る。

松田教授は「米國(guó)も中國(guó)に國(guó)連など外交面や経済面で協(xié)力を求めざるを得ないので、臺(tái)灣を?qū)澲袪恐撇牧悉趣工搿芭_(tái)灣カード”を使うことはないだろう」と語(yǔ)った。

さらに、南シナ海などの領(lǐng)有権問(wèn)題に関し、蔡氏は「中華民國(guó)の領(lǐng)土は守る」と明言しており、中國(guó)と同様、西沙諸島や太平島などの領(lǐng)有権を主張することになるとの見(jiàn)方を示した。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長(zhǎng)、常務(wù)取締役編集局長(zhǎng)等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國(guó)、アフリカ、中東、アジア諸國(guó)を取材。英國(guó)?サッチャー首相、中國(guó)?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見(jiàn)。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問(wèn)。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國(guó)危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國(guó)為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。