アベノミクスは破たんの方向に進んでいる=日本國債の外國人保有比率が急上昇、“大慘事”も―法政大教授が警告

八牧浩行    2016年7月5日(火) 4時50分

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30日、水野和夫法政大教授は記者會見で、アベノミクスについて「事態(tài)は悪化しており、破たんの方向だ」と言明。日本の財政健全化の意志が弱いとみれば、外國人投資家はそれにつけこんで、「大慘事を引き起こすことで利益の極大化を図る」と警告した。

2016年6月30日、水野和夫法政大教授は、納稅者の立場から稅制を論議する民間稅調(diào)が日本記者クラブで行った會見で、安倍政権の経済政策アベノミクスについて「事態(tài)はますます悪化しており、破たんの方向に進んでいる」と語った。國債発行殘高に占める外國人保有比率が上昇しており、日本の財政健全化の意志が弱いとみれば、外國人投資家はそれにつけこんで、「大慘事を引き起こすことで利益の極大化を図る」と警告した。

水野教授はマクロ経済、國際金融を文明史論的な視野から見た著作で知られ、『資本主義の終焉と歴史の危機』『人々はなぜグローバル経済の本質(zhì)を見誤るのか』など多くの著作がある。

発言要旨は次の通り。

國債発行殘高に占める外國人保有比率が上昇している。日銀「資金循環(huán)勘定」によると、16年3月末時點で外國人は日本國債を110兆円保有し、國際発行殘高1075兆円のうち10.2%を占めている。最近のボトムは2002年3月の3.5%だったから、この14年間で3倍近くもシェアが高まった。外國人保有比率が何%になったら國家債務(wù)危機が起きると決まっているわけではない。日本政府は新興國の経済低迷リスクがあるという理由で財政再建計畫を先送りしたが、その一方で外國人投資家の日本國債売りによる國債利回りの上昇リスクを、日本は抱えたことになる。

インフレや経済成長率とは関係なしにリスクプレミアム(リスクに応じて期待する上乗せ収益)が上昇し國債利回りが上昇すれば、手が付けられないことは2011年以降のギリシャ危機で証明済みだ。ギリシャの場合、2008年の時點で外國人保有比率は8割を超えた。日本はまだ10%臺なのでギリシャと違って安心とは言えない。日銀が保有している364兆円(シェア33.2%)を除くと、外國人保有比率は15%にまで既に高まっている。日銀の異次元金融の出口が見えない中で日本銀行の國債保有殘高は前年比で3割強増加しているため、外國人投資家が従來と同様前年比で10%増やしたら、市場における実質(zhì)的なシェアは1年で約3%ポイント上がり、2年後には実質(zhì)的なシェアは2割を超える。

消費稅の引き上げの是非は、もはや景気回復(fù)の妨げになるという次元を超えた問題になっている。國債市場で外國人投資家がある一定のシェアを握れば、日本の破綻などおかまいなしに國債売りを仕掛けることで巨額の利益を得ることが可能となってしまう。2005年8月、ニューオリンズを襲ったハリケーン?カトリーナのときに保守派がとった行動を、ナオミ?クライン(カナダの著名ジャーナリスト)は「大慘事便乗型資本主義(ショック?ドクトリン)」と稱している。

日本は財政健全化の意志が弱いとみれば、外國人投資家はそれにつけこんで、大慘事を引き起こすことで利益の極大化を図る。そうした行動は倫理的には當(dāng)然非難されるべきものだが、「パナマ文書」でみられたように租稅回避は違法でないということで各國政府はいまのところ有効な手段を講じていない。

21世紀(jì)は良くも悪くも「犬の尻尾(金融経済)が犬(実物経済)を振りまわす」金融優(yōu)位の時代となった。世界的な危機は瞬時の國境を超える資本移動によって起きるのであって、稅率の引き上げで起こるものではない。國家の危機はなにも戦爭だけではない。仮に集団的自衛(wèi)権で日本の安全を高めたとしても、消費稅引上げ延期は外國人にどうぞ「大慘事」を引き起こしてくださいと宣言しているようなものだ。

もし消費稅を引き上げたくないなら、法人稅の稅率を現(xiàn)政権発足時の稅率に戻すべきだ。それでも足りない稅収部分は租稅特別措置の見直しで補填する必要がある。21世紀(jì)は格差がますます拡大する方向にある。主権者として、我が國の稅財政のあるべき姿を考え、日本社會を安定した社會に変えるべきだ。

事態(tài)はますます悪化しており、安倍政権の経済政策アベノミクスは破たんの方向に進んでいる。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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