中國では6月末から7月中旬にかけては湖北、湖南、江西など南部各省で、7月下旬には河北省など北部各省で水害被害が相次いでいる。中國では民政分野の問題が発生すれば首相が前面に出て指導(dǎo)する方式が定著していたが、今回の全國規(guī)模の水害では習(xí)近平主席の存在感が目立つ狀態(tài)が続いている。

中國の國家主席は英語では「president」と訳されていることでもわかるように、國家元首であり政権の最高指導(dǎo)者だ。さらに國家主席は共産黨トップの総書記と中央軍事委員會主席とを兼任することになっており、軍事?武力部門と政権黨においても最高指導(dǎo)者という、極めて強(qiáng)い権限を持っている。

一方の首相は「行政組織の責(zé)任者」の位置づけで、國家主席と比べて地位はかなり低い。しかし江沢民政権下の1998年から03年まで在任した朱鎔基首相の時代に、経済や民政分野の具體的問題に対しては、首相が前面に立って指導(dǎo)し、國家主席は首相を「立てる」方式が定著した。

次の胡錦濤政権でも同様で、経済や民政、さらに四川大地震（08年）や高速鉄道事故（11年）の際にも、現(xiàn)地に飛んで陣頭指揮をする溫家寶首相の姿がクローズアップされた。

習(xí)近平政権でも當(dāng)初は同様で、特に経済問題については李首相の活躍が目立った。しかし16年春ごろからは、習(xí)近平主席の経済問題についての発言が目立つようになった。そのため、習(xí)主席と李首相の「対立説」が出た。個人的な思想の違いや確執(zhí)が原因ではなく、習(xí)主席が抱える共産黨內(nèi)の経済擔(dān)當(dāng)部門と李首相の手足である國務(wù)院（中國中央政府）の経済官僚の意見が対立し、“親分”同士の関係が難しくなったとの見方だ。

中國共産黨中央も國務(wù)院も北京市中心の故宮博物院の西側(cè)にある「中南?！工群簸肖欷敕蟮貎?nèi)にあるが、共産黨中央の建物は中南海の南寄り、國務(wù)院は北寄りなので、両者が対立しているとして「南北院戦爭」などの言い方も出たほどだ。

経済政策について、李克強(qiáng)首相と國務(wù)院の官僚は內(nèi)需拡大を重視し、そのための規(guī)制緩和を加速しようとしている。いわゆる「リコノミクス」だ。

共産黨の経済専門家は、李克強(qiáng)首相が通貨供給量を増やしたことなどを厳しく批判。5月9日には共産黨機(jī)関紙の人民日報が、「リコノミクス」を事実上、厳しく批判する論説を掲載した。

6月末からの全國的な洪水?土砂災(zāi)害多発については、人民日報が7月24日付で、「1カ月に3度語った。習(xí)近平はこのように言った」と題する記事を掲載。一連の被害に対して、習(xí)近平主席自らが、関係者を叱咤激勵して対策を指導(dǎo)している狀況を強(qiáng)調(diào)した。

中國で洪水対策は通?！缚购椤工群簸肖欷?。インターネット検索大手のグーグル（中國語版）で日本時間24日午後7時、「李克強(qiáng) 抗洪」の2語でニュース検索してみたところ、ヒットした記事は9萬6000本だった。一方、「習(xí)近平 抗洪」で検索するとヒットは16萬1000本。洪水対策でも習(xí)近平主席の存在感が極めて強(qiáng)く、李克強(qiáng)首相は“影が薄い”という異常な狀態(tài)が続いている。（7月31日寄稿）

■筆者プロフィール：如月 隼人

日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァＨ毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ?！钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。

■筆者プロフィール：如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿ァＨ毡兢藨盲皮椁鲜长伽毪郡幛司幖浾撙蚣跇I(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する。「中國の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報を発信。

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