夕食後はいつも近所の公園で音楽を聴きながらジョギングしている。このところ、懐中電燈を使って路上で何かを探している人が増えていることに気付いた。もちろん「ポケモンをゲット」している人々ではない。一體何をやっているのだろうと思い、ある日、2人の年配者に聲を掛けてみた。返って來(lái)た言葉は「セミの幼蟲ですよ」。近くに行ってみると、おばあちゃんはアスファルトの上をはっているセミの幼蟲を拾い上げ、道路橫にある木の上に乗せて「かわいそうだけど…地下に長(zhǎng)い間いたのに、あと數(shù)日間しか生きられない」。なるほど?！副摔椁膝ⅴ攻榨ˉ毳趣紊悉爽F(xiàn)れたセミの幼蟲をお手伝いしていたのか」とこれまでの謎が解けた。

【その他の寫真】

私が「日本人は昆蟲や動(dòng)物に対して細(xì)やかで優(yōu)しいな」と感じたのは數(shù)年前のことだ。當(dāng)時(shí)、私は日系企業(yè)の北京事務(wù)所で働いていた日本人の女性スタッフと知り合いになった。彼女は中國(guó)に滯在していた時(shí)、野良貓を拾ったのだが面倒を見る人がみつからず、結(jié)局自分で飼うようになった。そして、任期が満了になるころ、貓を日本に連れて行くことを決意。一度本人に聞いた話によると、貓の狂犬病予防注射、採(cǎi)血、日本の農(nóng)林水産大臣が指定する検査施設(shè)への血液送付、狂犬病に対する抗體価測(cè)定などさまざまな手続きをしなければならないらしく、中國(guó)人の私でもどうすればよいのか分からなかった?？冥摔悉筏胜盲郡笩o(wú)理だろう」と思った。

あれから約半年がたった頃、彼女と會(huì)った?！肛垽悉嗓Δ筏郡?？」と聞くと「日本に連れてきましたよ。今は家族と一緒に暮らしています」とのこと?！袱饯Δ扦工?。じゃあ、中國(guó)の貓が日本の餌に慣れればいいですね」と冗談を言った覚えがある。

私と同じ年頃の人、特に都市部で暮らす一般の中國(guó)人にとって、過(guò)去に家庭でペットを飼う余裕はほとんどなかった。すべてが供給制という社會(huì)背景の中、住宅の面積は狹い上、夫婦共働きのためペットの面倒まで見切れないのだ。自分も小學(xué)生の時(shí)、親に警察犬用の犬を飼ってもらおうと長(zhǎng)い間おねだりしたことがあったが、結(jié)局、聞き入れてはもらえなかった。農(nóng)村部出身の方なら飼う機(jī)會(huì)があるかもしれないが、一般的には食用とされる。だから、責(zé)任を持って貓の面倒を見る彼女は、私と同年代の人にしてみれば「すごいな」と思える存在だ。

日本で1980年代後半のバブル景気の頃あたりからペットブームが始まったのと同じように、2000年以降、中國(guó)の景気は良くなり、暮らしにゆとりができた人々の目がペットに向けられるようになった。ペットは家族の一員と認(rèn)識(shí)する人が増え、動(dòng)物保護(hù)の意識(shí)が強(qiáng)まったと感じる場(chǎng)面は多くなった。

私が少しうれしいのは、長(zhǎng)い歴史を持つ広西チワン族自治區(qū)の「犬肉祭」に近年、國(guó)內(nèi)から批判が殺到し、運(yùn)営できない狀況に追い詰められたこと。中國(guó)人の意識(shí)が変わったからこの行事が問(wèn)題視されたのだ。しかし、一方でいまだに野生動(dòng)物の密猟はかなりの範(fàn)囲で起きている?！感陇筏r(shí)代には新しい価値観を持って行かなければならないが、先進(jìn)國(guó)の日本ですらペットの飼育放棄などの問(wèn)題は頻発している。中國(guó)は社會(huì)全體で動(dòng)物保護(hù)意識(shí)を高めていかなければならない」と走りながら考える私。

ふと視線を足元に移すと、そこには薄暗い中、もぞもぞと動(dòng)くセミの幼蟲の姿があった。道路の上を光のある方向に向かって一生懸命はっている。私は幼蟲をゆっくりと手のひらにのせ、近くの木の上にそっと乗せた。

■筆者プロフィール：呂厳

4人家族の長(zhǎng)男として文化大革命終了直前の中國(guó)江蘇省に生まれる。大學(xué)卒業(yè)まで日本と全く縁のない生活を過(guò)ごす。23歳の時(shí)に急な事情で來(lái)日し、日本の大學(xué)院を出たあと、そのまま日本企業(yè)に就職。メインはコンサルティング業(yè)だが、さまざまな業(yè)者の中國(guó)事業(yè)展開のコーディネートも行っている。1年のうち半分は中國(guó)に滯在するほど、日本と中國(guó)を行き來(lái)している。興味は映畫鑑賞。好きな日本映畫は小津安二郎監(jiān)督の『晩春』、今村昌平監(jiān)督の『楢山節(jié)考』など。

■筆者プロフィール：呂 厳

4人家族の長(zhǎng)男として文化大革命終了直前の中國(guó)江蘇省に生まれる。大學(xué)卒業(yè)まで日本と全く縁のない生活を過(guò)ごす。23歳の時(shí)に急な事情で來(lái)日し、日本の大學(xué)院を出たあと、そのまま日本企業(yè)に就職。メインはコンサルティング業(yè)だが、さまざまな業(yè)者の中國(guó)事業(yè)展開のコーディネートも行っている。1年のうち半分は中國(guó)に滯在するほど、日本と中國(guó)を行き來(lái)している。興味は映畫鑑賞。好きな日本映畫は小津安二郎監(jiān)督の『晩春』、今村昌平監(jiān)督の『楢山節(jié)考』など。