八牧浩行 2016年8月7日(日) 8時10分
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「米國第一」を掲げる共和黨大統(tǒng)領(lǐng)候補トランプ氏は保護貿(mào)易政策により、米國の企業(yè)と労働者を守ると言明している。米國では大統(tǒng)領(lǐng)に與えられた権限はきわめて大きく、大統(tǒng)領(lǐng)に當(dāng)選した場合、保護貿(mào)易措置を発動するとみられる。資料寫真。
共和黨の大統(tǒng)領(lǐng)候補トランプ氏は「米國第一」を掲げ、保護貿(mào)易政策により、米國の企業(yè)と労働者守ると言明している。大統(tǒng)領(lǐng)に當(dāng)選した場合、米國では大統(tǒng)領(lǐng)に與えられた権限はきわめて大きいため、これをフル活用し貿(mào)易制限など保護貿(mào)易措置を取るとみられる。
米國には「國際緊急経済援護法」「國家安全貿(mào)易法」などがあり、行政府が議會の承認を要しないで、貿(mào)易制限措置を取ることができる法律上の権限が多くある。大統(tǒng)領(lǐng)は容易に保護手段に訴えることが可能だ。
米國の輸入相手國は中國、カナダ、メキシコ、日本、ドイツの順。世界の生産拠點として臺頭した中國が斷トツで、北米自由貿(mào)易協(xié)定(NAFTA)加盟國のカナダ、メキシコが続く。中國などからの輸入を制限する措置を取る可能性が高い。
米國ではNAFTAによって労働者の職を奪われたと見られている。トランプ氏が大統(tǒng)領(lǐng)になれば、脫退や見直しに向けた交渉を求めることもあり得る。NAFTAはカナダ、メキシコと米國による自由貿(mào)易協(xié)定。この協(xié)定をきっかけに米國からメキシコへの投資が増え、メキシコから米國、カナダへの輸出が伸びた。トランプ氏はメキシコからの輸入増や不法移民を抑えるため「メキシコとの國境に壁をつくる」との過激発言を繰り返している。壁を?qū)g際に作るのは困難だが、NAFTAからの脫退や見直しは「壁」になり得る。6か月前の事前通告で脫退が可能だ。
米上院が「通貨操作法」を承認したが、1994年以降、米財務(wù)省が「通貨操作國」としての認定を行った例はない。しかし認定が行われれば米國は一方的に関稅を課すことができるようになる。貿(mào)易相手國は米國に対し、予測困難な市場と考えるようになるだろう。
世界経済にとって大きなリスクになるのは、「対米外國投資委員會」の運用。中國の対米投資は今年200億?300億ドルに達しており、トランプ氏は厳しい態(tài)度で臨む構(gòu)えだ。國家安全保障面からの対米外國投資の規(guī)制は、今後議會の法的な動きを含め、強化される可能性もある。
貿(mào)易面で大統(tǒng)領(lǐng)が採用できる手段は、広範(fàn)囲で、貿(mào)易政策や為替政策調(diào)整で産業(yè)政策を追求しようと思えば、輸入制限や関稅引き上げを含め、その実現(xiàn)は可能。しかし、この措置は貿(mào)易相手國の報復(fù)的措置を招くことになり、世界経済の失速につながる。
米國の第2四半期のGDP成長率が年率換算で1.2%と大きく減速したが、その主因は3期連続の減少だった。その要因について、シンクタンク幹部は「大統(tǒng)領(lǐng)選での候補者の主張を通じて、貿(mào)易?國際投資を巡る閉鎖色の強い政策が現(xiàn)実味を帯びていることを、米國の経営者たちが、認識し、投資や貿(mào)易が拡大を抑制したためではないか」と分析している。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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