<コラム>罵り言葉に見る、日中の価値観の相違、「えげつない表現(xiàn)」で民族の価値観が分かる

如月隼人    2016年9月26日(月) 14時(shí)10分

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外國語を?qū)W習(xí)しはじめると、少なくとも一定の年齢以上の人なら、その言葉の「汚い表現(xiàn)」に興味を持つものではなかろうか。「そんな下品な表現(xiàn)は覚えたくない」という人は、そもそも語學(xué)の學(xué)習(xí)に向かないでは、とも思えてしまう。資料寫真。

外國語を?qū)W習(xí)しはじめると、少なくとも一定の年齢以上の人なら、その言葉の「汚い表現(xiàn)」に興味を持つものではなかろうか?!袱饯螭氏缕筏时憩F(xiàn)は覚えたくない」という人は、そもそも語學(xué)の學(xué)習(xí)に向かないでは、とも思えてしまう。

中國語にもさまざまな「下品なことば」があるのだが、罵り言葉として代表的なものに「ツァオ?ニー?マー」がある?!弗磨ˉ工嫌⒄Zの「f○ck」に相當(dāng)?!弗拴`?マー」は、「あなたの母」。つまり「ツァオ?ニー?マー」で、英語の「f○ck your mother」に相當(dāng)する。

ついでにご説明するが、「f○ck your mother」と「ツァオ?ニー?マー」の意味は、まったく同じではない。英語の場(chǎng)合には文法的に言えば命令形なので、ののしる相手に対して「母親と人道的に許されない行為に及んでしまえ」と言っていることになる。中國語の場(chǎng)合の隠れた主語は「我(ウォー)=私)」とみるのが妥當(dāng)だ。つまり、「自分がお前の母親を○○してやる」ということになる。

こんな罵り言葉を知ると、日本人の多くは「なんと、えげつない表現(xiàn)だ」、「あまりにも汚い言い方」とあきれてしまうことになる。私もそうだった?!袱嗓Δ?、そうとは言えないようだ」と気づくのは、中國人の友人のS君との會(huì)話がきっかけだった。

私がS君に、「中國人は、実に汚い表現(xiàn)を日常的に使っている」と批判すると、彼は「日本語にも罵りの言葉はあるだろう」と反論した。もちろん、ある?!袱郡坤?、性に絡(luò)めた罵り言葉は、まったくないとは言わないが、少ない」と彼に説明した。S君は半信半疑だ?!袱饯欷袱?、日本語の罵り言葉を教えてくれ」と言い出した。

私は例としてまず「馬鹿野郎」を挙げた。実は中國で「馬鹿野郎」という日本語表現(xiàn)は、よく知られている。日中戦爭(zhēng)をテーマにしたテレビドラマなどで、日本兵が「バカヤロ」を連発するからだ。中國のテレビドラマなので、中國人の役者が扮する日本兵もたいていのシーンで中國語で話しているが、その部分だけは日本語風(fēng)に「バカヤロ」だ。

「ドラマに出てくる日本兵は『バカヤロ』と怒鳴って相手を毆る」ということで、中國人の間でも「バカヤロ」が罵り言葉であることも、よく知られている。しかし、日本語學(xué)習(xí)者でなければ、「バカヤロ」の意味は分からない。S君は英語に堪能だが、日本語は知らない?!格R鹿野郎」についても、「それはどういう意味なんだ?」と言った。

そこで中國語に訳した。S君はきょとんとしている。「なぜ、それが罵り言葉なのか」と言い出した。そこで、追加でもう1つ教えることにした?!袱猡盲趣窑嗓ちRり言葉に『クソくらえ』というのがある」と。

S君は再び「意味の解説」を求めた。そこで、「糞くらえ」を直訳した。S君は思いっきり顔をしかめた。そして「日本人は、なんと汚い言い方をするのだ」と呻くように言った。

この一件で、罵り言葉には習(xí)慣性の問題が大きいと、改めて感じた。使い続けているうちに、言葉が本來持つ意味の「強(qiáng)烈さ」は薄れてしまうわけだ。逆に、初めて知った時(shí)には驚いてしまう。日本人が「ツァオ?ニー?マー」を知った時(shí)と同様の「衝撃」をS君は感じたに違いない。

さて、考えねばならないのはここからだ。中國人はなぜ、性に絡(luò)んだ罵り言葉を使うようになり、日本人は別の表現(xiàn)を選んだか、ということだ。しばらく考えているうち、分かってきた。

相手を罵る目的は要するに、相手の人格を「破壊」することだ。とすれば、その社會(huì)に屬する人々が最も重視する価値観に反していると、相手を貶めることを目指す。

中國人が選んだのは「親子関係」の問題だった。中國人は家や血縁を極めて重視する。だからこそ、相手の母親を辱めることが、相手に対する最大の侮辱と発想した。ちなみに中國語では「我孫子(ウォー?スンヅ)=私の孫」という言い方も、他人を侮蔑する表現(xiàn)だ。家系上で、自分よりずっと下の世代に屬すると斷言することは、中國人にとっては相手を「取るに足らない存在」と表明していることになるからだ。

日本語の場(chǎng)合はどうなのだろう。「馬鹿野郎」は相手の能力不足を表明する言い方だ。同様な罵り言葉としては「たわけ」などもある。さらに興味深いのは「糞くらえ」、「糞ったれ」などだ。日本人は古くから「清浄さ」を価値観の中心に據(jù)えてきた。だからこそ、これらの言い方が「侮蔑のために有効な表現(xiàn)」と感じられたと、私は考える。

ちなみに、英語や歐米語にある「f○ck your mother」のたぐいの表現(xiàn)だが、相手の性に関連する倫理感を否定する言い方だ。このあたりはやはり、キリスト教が土臺(tái)にある、彼らの発想によるものと、考えてよいと思う。

逆説な言い方にはなるが、中國人は家と血縁、さらにそれらを生み出す性の問題に、極めて厳格な規(guī)範(fàn)を設(shè)けたからこそ、「ツァオ?ニー?マー」という罵り言葉が定著した。

もちろん日本人も、それらに倫理上の価値を置いている。ただ、日本人は「穢れ」を忌避する感情が極めて強(qiáng)いがゆえに「糞くらえ」が罵り言葉として定著したと思う。

ちなみに、內(nèi)モンゴルなど中國領(lǐng)內(nèi)に住むモンゴル人は「ヒー?オクスン」という罵り言葉をよく使う。中國人(漢族)との交流が多くないモンゴル國では、使われない。

「オクスン」は「f○ck」と同意(過去形)だ。この場(chǎng)合の「ヒー」に特に意味はなく「Oh!」と同様とされる。中國語の「ツァオ?ニー?マー」と同様の表現(xiàn)を使うようにはなったが、そのまま直訳すると「あまりにもえげつない」という中國領(lǐng)內(nèi)のモンゴル人の感覚を反映した表現(xiàn)と理解できる。このあたりからも、罵り言葉が定著するメカニズムを察することができる。(9月26日寄稿)

■筆者プロフィール:如月隼人

日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)したが、何を考えたか北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。「中國の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。

■筆者プロフィール:如月隼人

1958年生まれ、東京出身。東京大學(xué)教養(yǎng)學(xué)部基礎(chǔ)科學(xué)科卒。日本では數(shù)學(xué)とその他の科學(xué)分野を勉強(qiáng)し、その後は北京に留學(xué)して民族音楽理論を?qū)煿?。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業(yè)とするようになり、ついのめりこむ。毎日せっせとインターネットで記事を発表する?!钢袊慰諝荨工蛘i者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記事を執(zhí)筆。中國については嫌悪でも惑溺でもなく、「言いたいことを言っておくのが自分にとっても相手にとっても結(jié)局は得」が信條。硬軟取り混ぜて幅広く情報(bào)を発信。

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