情報(bào)機(jī)器大手?富士通のパソコン部門が中國のレノボに買収されることになった。5年前のNECに続くもの。11年前には米IBMのパソコン部門を買収しており、この結(jié)果レノボのパソコンシェアは世界一の座を不動(dòng)のものとし、國內(nèi)シェアも4割超となる。

「FMV」ブランドのパソコンを手がける富士通にとって、販売不振のパソコンはここ數(shù)年悩みの種だった。スマートフォン（スマホ）に押され、數(shù)年前まで年間1500萬臺(tái)規(guī)模だった國內(nèi)パソコン市場(chǎng)は昨年、1000萬臺(tái)程度まで縮小。加えて中國や臺(tái)灣のメーカーが勢(shì)力を拡大。15年時(shí)點(diǎn)で國內(nèi)2位だが、世界シェアは1％臺(tái)にとどまっている。15年度のパソコン事業(yè)は100億円超の赤字を計(jì)上した。

このため富士通はパソコン事業(yè)で単獨(dú)で生き殘るのは難しいと判斷。レノボに主導(dǎo)権を渡し、主力のIT（情報(bào)技術(shù)）サービス事業(yè)などに経営資源を集中する。パソコン事業(yè)を巡っては、2011年にレノボ主導(dǎo)でNECと日本市場(chǎng)の事業(yè)を統(tǒng)合し、レノボNECホールディングスを設(shè)立。國內(nèi)シェア首位を確保している。レノボと富士通はこれとは別の會(huì)社でパソコン事業(yè)を國內(nèi)展開するが、將來の両社統(tǒng)合の可能性もある。

「FMVシリーズ」は一時(shí)高いシェアを誇ったが、主力商品だったために単獨(dú)の生き殘り策にこだわり、再編が先送りされた。ソニーから獨(dú)立したパソコン會(huì)社や東芝のパソコン部門との統(tǒng)合も志向したが、3社の思惑が一致しなかった。

　一方、レノボは買収策を積極的に展開。相手企業(yè)のブランド力や技術(shù)力を生かし事業(yè)やシェアの拡大につなげた。歐州では獨(dú)パソコン大手のメディオンを買収。米國ではモトローラの攜帯端末事業(yè)を傘下に収め、「モト（Moto）」ブランドで特色のある攜帯端末を開発している。

中國は約14億人の巨大人口を背景に世界最大の消費(fèi)市場(chǎng)に成長、小売総額は実質(zhì)9．7％増と2ケタ成長に迫る勢(shì)い。世界最大のパソコン?スマホ市場(chǎng)でもあり、レノボはこの巨大國內(nèi)市場(chǎng)を起爆剤に、世界中で事業(yè)展開、パソコン分野で世界トップの座を不動(dòng)のものとしている。今後も事業(yè)規(guī)模を生かし、部品調(diào)達(dá)や製造のコストを削減して収益性を向上させる方針だ。

◆アジア最大IT見本市、中華圏のプレゼンス高まる

中國や臺(tái)灣などのメーカーのプレゼンスの高さは、世界各地のIT（情報(bào)技術(shù)）見本市でもうかがえる。10月上旬に千葉市?幕張メッセで開催されたアジア最大級(jí)の「CEATEC（シーテック）JAPAN2016」。あらゆるモノがネットにつながる「IoT（インターネット?オブ?シングス）」に関する総合展示會(huì)「未來を見據(jù)えた新ビジネスモデルを発信する場(chǎng)」として注目されたが、ここでも中華圏企業(yè)が目立った。

海外出展者數(shù)は24カ國?地域から195を數(shù)え、前年より44増加した。うちアジア地域は12カ國?地域の140と大半を占めた。國?地域別では中國（51）、臺(tái)灣（38）、韓國（16）の順。

中國の通信機(jī)器大手、華為技術(shù)（ファーウェイ）有限公司（本社?深セン）は、最新スマートフォン「Asend」やタブレット端末の新機(jī)種など多くの新製品を展示。シーテックには5回目の出展だが、日立製作所、パナソニック、三菱電機(jī)、富士通、NEC、NTTなど日本の有力企業(yè)が隣接する中心エリアに、これら有力各社と同等のスペースを使用して技術(shù)力を誇示していた。臺(tái)灣大手メーカー?鴻海精密工業(yè)の傘下に入ったシャープも出展していたが、やや狹いスペースで生彩を欠いた感は否めなかった。

◆表彰されたレノボ?パソコン

隣接するエリアにはレノボが大きなスペースを使ってパソコンやスマホを色彩豊かにアピール。レノボのパソコンは、優(yōu)秀な家電?IT（情報(bào)技術(shù)）製品に贈(zèng)られる「シーテック?アワード」に選ばれた。表彰されたタブレット型パソコン「ヨガブック」は、畫面とキーボードが360度回転する。厚さは9．6ミリ、重さも690グラムと、世界最薄最軽量を?qū)g現(xiàn)した。キーボードを全面タッチパネルにしたため超薄型が可能となった。誤入力を防ぐよう振動(dòng)で感觸を伝え、キーボードが利用者のくせを自分で補(bǔ)正する。

　汎用品化したパソコンは機(jī)能の向上より、部品をいかに安くできるかに企業(yè)経営者の関心が注がれる。事業(yè)統(tǒng)合によるパイの拡大によって、コスト削減や効率化が図られるが、多くの企業(yè)は統(tǒng)合を先送りしてきた。その理由として、IT業(yè)界コンサルタントは（1）パソコンの花形時(shí)代の責(zé)任者が経営トップになった、（2）會(huì)社のロゴが付いたパソコンはブランド宣伝効果があるとされるため、厳しく採算性を追求しない風(fēng)潮があった―の2點(diǎn)を挙げる。

シーテック見本市では、小型無人機(jī)「ドローン」で世界最大シェアを占める中國メーカーDJIのブースでは新鋭機(jī)が飛行デモンストレーションを行い、多くの來場(chǎng)者を惹きつけていた。デジタル電子分野での中華圏企業(yè)の快進(jìn)撃が當(dāng)面続くことになりそうだ。（八牧浩行）

■筆者プロフィール：八牧浩行

1971年時(shí)事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財(cái)界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會(huì)見。東京都日中友好協(xié)會(huì)特任顧問。時(shí)事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機(jī)ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン（フルマラソン12回完走＝東京マラソン4回）、ヴァイオリン演奏。