<コラム>韓國が社會の浄化を進める、違法行為の現(xiàn)場を押さえる「ランパラッチ」なる職業(yè)まで登場

木口 政樹    2016年11月10日(木) 15時0分

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賄賂など贈収賄が結(jié)構まかり通る韓國社會。こういうもののない國はないと思うし、中國やロシア、アフリカや南米各國など程度のひどい國も數(shù)々あると思うが、韓國もどちらかと言うとちょっとひどい部類に入ると思われる。寫真は韓國?ソウル。

賄賂など贈収賄が結(jié)構まかり通る韓國社會。こういうもののない國はないと思うし、中國やロシア、アフリカや南米各國など程度のひどい國も數(shù)々あると思うが、韓國もどちらかと言うとちょっとひどい部類に入ると思われる。

このような汚れた慣例を浄化しようとしてできたのが、日本で「接待禁止法」などと報じられている金英蘭(キム?ヨンラン)法だ?;镜膜摔涎Y金などでゆがみ切った社會を立て直そうというコンセプトである。正式には「不正の請託と金品などの授受の禁止に関する法律」という名稱で、普通には金英蘭法と呼ばれる。

この「愛稱」は、12年に金英蘭という元國民権益委員長が推進した法案であることに由來する。16年9月28日から施行されたこの法律について、ここではごく簡単に見てみたい。

例えば「接待」について。公職者やジャーナリスト、私立學校や幼稚園の役職員、私學財団の理事會などが職務関係者に対して3萬ウォン(約2700円)以上の食事のもてなしを受けると罰金を払わなければならない。あるいは、教授のいる研究室に學生がコーヒーを持ってやって來て、教授にそのコーヒーをどうぞと渡したとする。韓國ではこういう風習はよく見られるものだった。しかしこれも學生が何らかの「代価」を期待しての行為と見なされ、3萬ウォンには満たないけれど法に引っ掛かってしまうのだ。

個人的な話でちょっと恐縮だが、筆者も大學で教えている関係で研究室が與えられている。この研究室に學生らは時々やって來ては授業(yè)內(nèi)容に関する質(zhì)問をしたり、進路相談をしたり戀愛話をして帰って行ったりと、それはさまざまな「人生相談」をしにやって來る。學生がやって來る時には、ジュースとか缶コーヒーとかを持って來るのが普通だ。

筆者が學生の時、つまり日本にいた時には先生にコーヒーなどを持って行ってあげるというような行動はしたことがなかった。おそらく大部分の日本の學生は今でもそうだろう。そういう習慣がないのだからそれもむべなるかな、だ。

でも韓國はここがかなり違っていて、學生らが先生の所に行く時には何かを持って行くことがごく一般的なのだ。最近分かったことだが、そういうお國柄は日本に限らず韓國以外の國ではほとんど見られないということだ。先生に対するかなりの尊敬心というか尊重心といったものがここ韓國では伝統(tǒng)的にあるためだろうと思われる。學者を敬う社會なのである。

ところが今までのこういうほほ笑ましい場面も今や違法のレッテルが貼られ、紙コップ1杯のコーヒーさえも神経を使わねばならぬ対象になってしまった。學期の初めの頃に1萬ウォン(約910円)くらいのジュースセットや栄養(yǎng)ドリンクのセットを持って來る學生らもいたものだが、もはやこうした「贈り物」は受け取ることはできない。正直なところちょっと寂しいという感もあるが、筆者としては気が楽になったともいえる。

問題は食堂である。オフィス街の食堂は晝食時が書き入れ時だけれど、お客さんがパタリと來なくなってしまっている。特に多少高級な食堂は客足が70?80%ほども落ち込んでいるという。「接待」を受けているのではという誤解をされないために、そもそも食堂には行かない人が多いのだ。

金英蘭法の施行と前後して、「ランパラッチ」という造語が生まれた。金英蘭法の「蘭(ラン)」と「パパラッチ」が合わさった語で、金英蘭法を犯した人の寫真を撮る人のこと。接待を受けた人物が勘定を払ってもらっている時、そばで寫真をガシャッと撮るのである。それを申告すれば褒賞金がもらえる仕組みだ。面白いのはこのランパラッチを「養(yǎng)成」する學院まであるということ。しかも大盛況とのことだ。

人が3萬ウォン以上の接待を受けようがどうしようがどうでもいい、と筆者などは考えてしまうのだが、他人の「違反」を?qū)懻妞藚Г嵘旮妞筏平黏颏猡椁Δ趣いΔ浃椁猡い毪韦扦ⅳ?。卑しい行為だと思うけれど、それで収入になるのならやってしまおうというのであろう。なんとも冷ーっとしたものが胸のあたりを橫切るが、これも社會を浄化する上での副作用というものか。今は法が施行されてまだ間もなく試行錯誤の期間といえるが、1年くらいすれば少しは落ち著いてくるのだろうか。社會が浄化され食堂がまた客であふれる姿が返ってくるのだろうか。

■筆者プロフィール:木口政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。三星(サムスン)人力開発院日本語科教授を経て白石大學校教授(2002年?現(xiàn)在)。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール:木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星(サムスン)人力開発院日本語科教授、元白石大學校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

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