列車が昆明駅を出発すると間もなく、丘陵に風(fēng)力発電の風(fēng)車が並んでいるのが目に入る。そして大理に近づくと、大理でも山の稜線に沿って多くの発電用風(fēng)車が設(shè)置されている。また大理から200キロ余離れた剣川県でも町に近い丘陵地に建設(shè)されている。雲(yún)南省は多くが山間區(qū)域で、山上から見下ろすと大半の平地は山に囲まれた盆地が伸びた形であることが分かる。このため風(fēng)力を利用した発電には山の上に発電設(shè)備を設(shè)置するのが有効であることは明瞭だ。この地域で近年風(fēng)力発電プロジェクトが比較的盛んに進(jìn)められていることは知ってはいたが、これほどとは思ってもみなかった。

【その他の寫真】

中國の風(fēng)力発電は、風(fēng)力資源の豊富な內(nèi)モンゴル、甘粛省、新疆ウイグル自治區(qū)といった西北、河北省、遼寧省といった華北、その他では山東省等に集中している。しかし近年中國政府は風(fēng)力発電の地域分散を図るために、洋上風(fēng)力発電や西南地域での建設(shè)を奨勵(lì)しているようである。このため雲(yún)南省の風(fēng)力発電も大きな伸びを示している。同省で最初の風(fēng)力発電が作られたのが2008年12月で、15年11月時(shí)點(diǎn)では発電容量は08年比で70倍となっているそうだ。特に15年にはその內(nèi)の約42％が建設(shè)されている。このため15年の風(fēng)力発電の地域別比率では、他地域の比率にほとんど変化がないかやや減少しているなか、西南地域での全國に占める比率は14年の10％から14％へと高まっている。これは中國の再生可能エネルギー政策で、16年から20年まで風(fēng)力発電の買い取り価格を引き下げる計(jì)畫を発表されたが、雲(yún)南省の屬する四類（地域別にIからIV類に分けてそれぞれ買い取り価格の引き下げ価格を設(shè)定）地域の引き下げが小さいことと、値下げ前の駆け込みが起こったためと思われる。実際16年に入ると反動(dòng)減が起こっている。

11月16日からモロッコで行われた2020年以降の地球溫暖化対策「パリ協(xié)定」批準(zhǔn)國による締約國會(huì)議では協(xié)定脫退を主張するトランプ米次期大統(tǒng)領(lǐng)の當(dāng)選により、米國の今後の動(dòng)きに大きな懸念が寄せられた。パリ協(xié)定では、それまで協(xié)定參加に拒否を続けていた地球溫暖化ガスの排出量で世界1位と第2位の中國、米國が初めて削減目標(biāo)を掲げて參加したばかりだというのにだ。

中國が排出ガス削減に義務(wù)を負(fù)う協(xié)定に參加したのには幾つかの理由が考えられよう。第一には中國の環(huán)境汚染自體が深刻な狀況に陥っており、積極的な環(huán)境改善への方針が図られていること。第二には、國內(nèi)の環(huán)境技術(shù)や産業(yè)が発展してきたことで、外部からの圧力をバネに、環(huán)境保護(hù)産業(yè)を育てたいとの意図もあろう。また米國との関係では対立や立場の違いが多いが、環(huán)境問題への取り組みでは手を組むことのできる數(shù)少ない分野であったこと等が考えられよう?！傅厍驕嘏悉扦盲沥ⅳ菠馈工胜嗓趣贰⑹郡涫亭胜苫剂悉沃匾暏浈`ルド産業(yè)重視の傾向が見られるトランプ新米大統(tǒng)領(lǐng)だが、世界の潮流である溫暖化対策に背を向ける政策を進(jìn)めるなら米國の再生エネルギー産業(yè)は益々取り殘され、中國は太陽光や風(fēng)力発電産業(yè)でその存在を確たるものとしていることとなるかもしれない。

ただその中國も環(huán)境問題では課題は山積みだ。エネルギーミックス一つを取っても改善はなかなか容易ではない。石炭依存度が高く、一次エネルギー全體で約7割、火力発電の約8割が石炭による発電で、自動(dòng)車と並び石炭使用が大気汚染最大の原因とされている。このため中國では「第13次五カ年（2016?2020年）」計(jì)畫の最終年に當(dāng)たる2020年の石炭火力発電容量を1100ギガワット以內(nèi)に抑えると同時(shí)に20ギガワットの老朽設(shè)備を淘汰する一方、非化石燃料のエネルギー全體に占める比率を15％（15年時(shí)點(diǎn)では12％）に引き上げる計(jì)畫だ。このため五カ年期間中の火力発電の伸びは4．1％以下となる半面、太陽光発電を21．2％増、風(fēng)力を9．9％増、原子力を16．5％増とする目標(biāo)を立てている。

このことから中國の風(fēng)力発電建設(shè)は來年以降再度回復(fù)に向かうものと思われる。ただ日本でも話題となるが、再生可能エネルギーは送電網(wǎng)への接続が問題で、中國でも送電網(wǎng)に乗らないまま放棄される比率が依然高いようで、國は繰り返し改善を指示しているようだ。

■筆者プロフィール：畝田 宏紀(jì)

1956年岡山県倉敷市に生まれ、現(xiàn)在東京在住。神戸市外語大中國語科卒。大學(xué)在學(xué)中、改革開放政策が始まる直前の1978年に中國に留學(xué)。香港駐在11年と中華圏での滯在歴は計(jì)15年。金融業(yè)界に30年間従事し、主に大中華圏をはじめアジアでのビジネスが長い。特に最近までの13年間は中國経済、産業(yè)、企業(yè)分析に従事。興味は金融、経済にとどまらず、歴史、文化、言語など幅広い分野にわたる。

■筆者プロフィール：畝田 宏紀(jì)

1956年岡山県倉敷市に生まれ、現(xiàn)在東京在住。神戸市外語大中國語科卒。大學(xué)在學(xué)中、改革開放政策が始まる直前の1978年に中國に留學(xué)。香港駐在11年と中華圏での滯在歴は計(jì)15年。金融業(yè)界に30年間従事し、主に大中華圏をはじめアジアでのビジネスが長い。特に最近までの13年間は中國経済、産業(yè)、企業(yè)分析に従事。興味は金融、経済にとどまらず、歴史、文化、言語など幅広い分野にわたる。