このような病名が適當(dāng)かどうか知らない。いま世界的に隣の國(guó)に対する排他的な言説が増え、不寛容な差別的言語(yǔ)を吐き捨てる人が多くなっている。そこで私はこれを「隣病」と命名してみた?！　　?/p>

今年のベストセラー「天才」(石原慎太郎著)の主人公田中角栄には數(shù)々の名言があるが、ここでは「隣に蔵が建つと腹が立つ」を第一としたい。歐米でも、隣が庭を手入れせずに雑草をはやしていると文句を言うくせに、とかく「隣の芝は青く見(jiàn)える」ようだ。

私自身も自分の土地を買って間もなく、隣との境界線に建つ塀が気になってしょうがなかった。境界線をはみ出していたからだ。お隣一家が地方勤務(wù)中、自宅點(diǎn)検のために一時(shí)的に帰ってきた時(shí)、「塀が私の土地まではみ出しているのですが」と話をしたところ、「前の土地所有者と境界線の真上に塀を立てる約束をした」と説明され、疑念は直ちに解消した。

私が新潟に転勤すると、お隣は福井の鯖江から新潟のダイセル新井工場(chǎng)の総務(wù)部長(zhǎng)となってきた。彼が姫路勤務(wù)になると私どもは夫婦で呼ばれ姫路城見(jiàn)物、四國(guó)までのドライブを楽しませてもらった。そしてお互いが漸く自分が建てた家に落ち著いてくると、いわゆる「塩の貸し借り」のような類から食事やおかず交換、もらい物のお裾分けまでひっきりなしである。また女房達(dá)は臺(tái)所の窓から、時(shí)には庭の塀越しに、「井戸端會(huì)議」を楽しんでいる。まさに「遠(yuǎn)くの親戚より近くの他人」である。

◆行き過(guò)ぎた金融自由化が世界的危機(jī)に

しかし世界を見(jiàn)るといまやグローバライゼーションという言葉が消えかけようとしている。國(guó)境を越えた人、物、金の動(dòng)きを抑え込もうとする政治的動(dòng)きも強(qiáng)まっている。21世紀(jì)初頭から世界経済発展の牽引車と期待されてきたBRICSという5文字も死語(yǔ)になろうとしている?！　?/p>

その背景を考えると、第一にソ連邦崩壊以降、米國(guó)が傲慢に世界に押し付けてきたワシントンコンセンサスと稱する過(guò)度の金融自由化至上主義が遂に行き詰まってきたことがある。私自身は今なお、アジア通貨危機(jī)とそれに続く我が國(guó)の信用危機(jī)に際し、クリントン政権下のサマーズ財(cái)務(wù)官らが強(qiáng)く押し付けて自國(guó)資本の利益を優(yōu)先した自由化政策に、いまなお許しがたい憤怒を覚えている。ジョージ?ソロスらのヘッジファンドによる他國(guó)通貨と金融機(jī)関アタックがそれである。

しかしこの行き過(guò)ぎた金融自由化は、結(jié)局米國(guó)にサブプライム問(wèn)題を引き起こし、米國(guó)発世界金融危機(jī)にまで発展した。これはまた世界中の貧富の格差を途方もなく拡大し、米國(guó)內(nèi)にも今年の大統(tǒng)領(lǐng)選挙に見(jiàn)られるように、貧富の格差拡大に加えて、深刻な人種間対立と政治的分裂國(guó)家を作ってしまった。

◆米イラク攻撃失敗が招いた中東緊迫化

第二は、J．W．ブッシュのイラク攻撃の失敗である。9．11の同時(shí)多発テロは確かに米國(guó)本土が初めて爆撃の危機(jī)に曬されたと米國(guó)および世界を震撼させるものであった。アルカイダをやっつける。その拠點(diǎn)のアフガニスタンをやっつける。ここまでは誰(shuí)もが許容できる報(bào)復(fù)戦爭(zhēng)であったかもしれない。しかしJ．W．ブッシュは父ブッシュ時(shí)代に、クウェート攻撃を仕掛けてきたサダム?フセインに矛先を向けイラクへと進(jìn)攻した。サダムは拘束され、処刑されたが、米國(guó)が非難していた大量破壊兵器は遂に見(jiàn)つからなかった。

フセインから変わったイラク政権はイランに近いシーア派であり、サダム時(shí)代権力を握っていたサウジに近いスンニ派は権力機(jī)構(gòu)から追い出された。彼らはイラク國(guó)內(nèi)で反抗を続けるとともに、シリアの內(nèi)戦にまでアルカイダの一味とともに反アサド勢(shì)力のサポーターとして加わっていった。この中からISは生まれた。この過(guò)程で米國(guó)は「反アサドであれば」と後押しをしてきたのだから、中東における米國(guó)の権威は地に落ちてしまったのである。

さらにサウジ出身のウサーマ?ビン?ラ?ディンがアメリカ同時(shí)多発テロ事件をはじめとする數(shù)々のテロの首謀者であったことや、核兵器開(kāi)発の停止と引き換えにした米國(guó)の対イラン経済制裁の解除、米國(guó)のシェール石油、ガス生産の急拡大による米國(guó)エネルギーのサウジ、中東依存の急低下、サウジの國(guó)內(nèi)民主化の停滯等から米國(guó)とサウジアラビアの関係は抜き差しならないものとなっている。

このように中東情勢(shì)は緊迫している。どのようにしたら収まるかの展望もない。このためトルコやヨーロッパへの難民急増をもたらし、これらの國(guó)は國(guó)境を閉ざして難民を抑え込もうとしている。フランス、トルコではテロも頻発している。難民の中にISメンバーやシンパが潛んでいると言われている。各國(guó)とも「人道上難民を受け入れる」という政策の続行は國(guó)內(nèi)政治上かなり難しくなっている。

このような狀況下で、英國(guó)はEU離脫を決斷した。ポーランド等東ヨーロッパからの移民によって経済成長(zhǎng)を維持してきた英國(guó)であるが、EU諸國(guó)からの人の往來(lái)を自由にしておくことに脅威を感じていることによる決斷である。そのためには物やお金の自由な出入りに支障が出てもやむを得ないということのようだ。

◆長(zhǎng)い日中友好の歴史に學(xué)べ

第三に、アジア情勢(shì)も不穏である。かつて中國(guó)の周恩來(lái)は訪中した財(cái)界人に対し「日中間には2千年とも5千年ともいわれる交流の歴史があるが、その間に戦火を交えたのは日清戦爭(zhēng)から日中戦爭(zhēng)、第二次世界大戦までの約50年である。この50年を除くと両國(guó)関係は極めて平和であった。世界の歴史の中で隣國(guó)関係がこのように長(zhǎng)い間平和であった例はない。」と述べている。

私も同感である。これに加えたいのはわれわれが使っている日本語(yǔ)のことだ。

われわれ日本人は自分たちの固有の言葉を仮名と稱した。ひら仮名とカタ仮名の二つだ。しかし中國(guó)から取り入れた漢字は真名(真字)と呼んでいる。なんと隣の國(guó)から受け入れた字を真実の字と位置付けているのである。ベトナムはとうの昔に漢字を捨てた。韓國(guó)は漢字の使用をやめて半世紀(jì)になる。日本のように隣の國(guó)の言葉を大事に使用し、守り続けているケースは世界の歴史上極めて珍しい。

宗教もそうである。仏教は中國(guó)を通じて入ってきた。これをやめようとしたのは明治維新後の薩長(zhǎng)土肥のテロ政権がやった廃仏毀釈のみである。奈良の興福寺等の二千體余に上る國(guó)寶級(jí)仏像が破壊された。いま中東で起こっているISの遺跡破壊行為となんら変わらないことが我が國(guó)でも起こっていたのである。この破壊された仏像の修復(fù)に努めたのが岡倉(cāng)天心である。そして今我々は中國(guó)伝來(lái)の仏教を信じ、奈良や京都の寺院を観光資源として活用している。

ところが今、日中関係は最も難しい時(shí)期に戻ってしまった。日中ともに世代が替わったことが大きい。日本から被害を受けた第一世代の人たちは、日本を恨みつつその偉大さ、恐ろしさを理解していた。だから実利本位に日本と仲良くする國(guó)家戦略をとった。日本の側(cè)も日中戦爭(zhēng)でどういうことをしてきたかを知っていたから、それ（ギルティ?コンシャスネス＝罪の意識(shí)）を全部乗り越えて國(guó)交正?；虽瞍?、未來(lái)志向で行こうということになった。

◆日中の若い世代の過(guò)激論調(diào)に厳しく対峙を

しかし、世代が替わり日本では「いつまで謝ればいいんだ」という人たちが臺(tái)頭。中國(guó)は経済力をつけ、日本は逆に右肩下がり。中國(guó)は日本を「小日本」とよび、偉大なる中華の復(fù)活を目論む。日中友好も安倍晉三も習(xí)近平も戦爭(zhēng)を知らない。自國(guó)の國(guó)益優(yōu)先の主張をしているうちに、それに輪をかけた國(guó)民の右傾化論調(diào)の深みに引きずられつつある。かつて明治維新後政府の西郷隆盛批判に一斉に同調(diào)した新聞に対し、福沢諭吉は「新聞は権力の犬になったのか」と批判した。共産黨の一黨獨(dú)裁の下で、表現(xiàn)の自由を認(rèn)められていない現(xiàn)中國(guó)のみならず、我が國(guó)のマスコミも「犬」と化した。民主主義の選挙結(jié)果が作り出した動(dòng)きとはいえ、ナチスのケースもあるから若い世代の無(wú)謀な論調(diào)には厳しく対峙していく必要があろう。

◆まず日中韓の和解から

対韓國(guó)でも心配は盡きない。慰安婦問(wèn)題や竹島問(wèn)題だけではない。われわれ日本人はどうしても韓國(guó)を見(jiàn)下げる風(fēng)土を持ち続けているようだ。だからヘィトスピーチが後を絶たない。裁判だけでなく政治がしっかりとこれを受け止め絶対に許さないと明確に打ち出さないといけないと思う。われわれはいつも親しき仲にも禮儀あり、としてせっかく仲間になっても、相手との間に「間」を設(shè)ける?！搁g」がないと「間抜け」という。しかし韓國(guó)はもちろん世界の國(guó)々では親しくなると、「間」を設(shè)けずハグをするのだ。最近日本人もハグにはハグで応えるようになってきたが、どういうわけか韓國(guó)人に対してだけはハグをしないと威圧しているようだと、先方の人は感じているという。

我が國(guó)は人口減少が続く中、経済が萎みかねない危機(jī)の中にある。だからこそ世界の中で最もグローバル化を必要としているのだ。人、物、金が行き來(lái)すればそこには所得が生まれ経済を支えてくれる。

とくに近年のインバウンド増加は大事にしていきたい。そのために隣同士がお互いを理解し、尊重するという「撲滅隣病」対策が緊要であろう。

●安斎隆（あんざい?たかし）氏　略歴

1963年?yáng)|北大學(xué)法學(xué)部卒業(yè)、日本銀行入行。香港駐在、新潟支店長(zhǎng)のほか、電算情報(bào)局、経営管理局、考査局の各局長(zhǎng)を経て、94年理事に就任。98年11月日本長(zhǎng)期信用銀行頭取就任。01年4月アイワイバンク銀行（現(xiàn)?セブン銀行）社長(zhǎng)に就任。10年6月代表取締役會(huì)長(zhǎng)に就任。福島県出身。