毎年、主に春先から5月ごろにかけて東アジア全域を襲う「黃砂現(xiàn)象」とは、中國內(nèi)陸部のゴビ砂漠、タクラマカン砂漠、黃土高原から偏西風(fēng)に乗って砂塵が主に東へ飛來する気象現(xiàn)象を指す。その飛來地域は中國(主に東部)、モンゴル、韓國、日本に及ぶ。年間で2?3億tの飛來があるとされ、北京や天津など、中國北東地區(qū)の都市部ではその被害が毎年のようにメディアを賑わせている。

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単なる砂塵の飛散とはいえ、その中國國內(nèi)での被害は日本で見られるものとは一線を畫し、甚大なものとなっている。吹きすさぶ砂塵で視界が著しく霞めば、自動車は徐行を余儀なくされ、道行く人もサングラスやスカーフで頭部を保護(hù)しなければ外を歩けないほどになる。また、遮光現(xiàn)象などによって農(nóng)作物の生育にも被害を及ぼすことがある。

一方、日本國內(nèi)では大気が霞む程度の被害にとどまっている。気象庁の定義によると、日本國內(nèi)における「黃砂現(xiàn)象」は「大陸性の土壌粒子によって、視程が10km以下になる現(xiàn)象」を指している。ただし、見過ごせないのが「環(huán)境汚染」としての一面。黃砂が大気中の汚染物質(zhì)を吸著すれば、ぜんそくや花粉癥の悪化など、健康面に悪影響を及ぼす。

年々深刻化しているといわれる黃砂だが、それも中國の砂漠化現(xiàn)象と無縁ではない。國土の18％が砂漠と化してしまった中國では、政府をあげて植林活動や遊牧民の定住化奨勵、適切な農(nóng)耕法の指導(dǎo)などに努力している。

東アジアの春を憂鬱にする黃砂現(xiàn)象だが、一方で、春の到來を伝える重要な風(fēng)物であることも忘れてはいけない。古來から「春霞」などとして歌などにも詠まれているのは、ほかでもない、黃砂現(xiàn)象のことなのである。(編集/愛玉)