■■■■■2008年03月14日■■■■■

【その他の寫真】

中國女子サッカーでまた『內(nèi)紛』？　

次から次へと『お騒がせ』の続く中國サッカーで、またも“內(nèi)亂”…

今度はフランス人のエリザベス監(jiān)督が率いる女子サッカー代表で問題が起きたのだ。

ポルトガルで行われていたサッカーの女子國際トーナメント「アルガルヴェ杯」で、中國は史上ワースト2位の9位となった。だが、これはあくまで親善試合。米國、ノルウェーなど歐米の強豪國と戦うことで、北京五輪に向けたウォーミングアップする…あくまで、今大會の意味合いはそれでしかない。確かに、2月に開催された東アジアサッカー選手権の日本戦以來、連敗が続く、という不名譽な結(jié)果となったが、この成績で一喜一憂するような、そんな性質(zhì)の大會ではないのだ。

にもかかわらず、今大會がクローズアップされたのは、“例によって”監(jiān)督とフロントの內(nèi)紛であった。

3月8日、ノルウェーに1?3で敗れた試合後、エリザベス?ロイゼル監(jiān)督（フランス）は取材を一切拒否し、同時にチーム代表の張健強氏の解任を要求。はっきりと「張氏が解任されないならば、チームには殘れない」と発言し、これまで「誰もが知っている秘密」だった內(nèi)紛がはっきりと表沙汰になった。

エリザベス監(jiān)督については、かなり以前から、多くの批判が集まっていた。戦術(shù)や選手起用に関しても疑問の聲が大きかったし、選手とコミュニケーションを取ろうとせず、外國人スタッフとばかり食事をしている…などといった選手側(cè)の不満もメディアを通じて、度々伝わってきた。

有名なのは以前起きた「遅刻騒動」だ。中國?重慶での合宿期間中、練習(xí)場にエリザベス監(jiān)督が遅刻したという“事件”。これに対し、チーム代表の張健強氏が罰金の支払いを求めたものの、これを監(jiān)督が拒否した。

エリザベス監(jiān)督は當(dāng)時、病気の父親を見舞う電話をしていたのが理由だと、後で分かり、また、遅刻といっても、それほど練習(xí)に影響を與えるものではなかったのだが、これが報道されたことにより、選手、協(xié)會、そして監(jiān)督サイドの“疑心暗鬼”な狀態(tài)が明るみに出たのだ。

また、東アジア選手権にいたる數(shù)か月間で、『敗戦の責(zé)任を選手だけに押し付けている』、『中國人コーチをスタンドにおいやり、フランス人コーチだけで周りを固めようとしている』、『練習(xí)方法が合理的でない』などなど、數(shù)え上げれば切りがないほど、彼女に対する不満が噴出した。ここまで代表監(jiān)督に対する、しかも外國から招いた監(jiān)督に対する批判が公然と沸き起こるのはめずらしいし、しかも、それを選手サイドが堂々と口にしているところが『末期癥狀』を示しているというほかない。

その流れの中で、監(jiān)督とチーム代表の『內(nèi)紛』が明るみにでたというわけだ。これについては、何が原因なのか、さまざまな報道がなされているが、私には、本當(dāng)のところは分からない。

ただ、エリザベス監(jiān)督が「張健強氏とは協(xié)力できない」「彼がいる限り、まともな環(huán)境で仕事ができない」と記者団のいる場で公言しているのは事実。中でも聞き捨てならないのは、ノルウェー戦で、張健強代表がエリザベス氏を解任するため、選手たちに「わざと負けさせた」という発言である。

この真意は分からないが、少なくとも、現(xiàn)在の彼ら二人の関係はすでに互いの我慢の“限界點”まできていることは想像できる。

今後の方針については、來週月曜日17日の記者會見で明らかにされるということだが、あるスポーツメディアによると、人事を統(tǒng)括する國家體育総局の責(zé)任者はすでにエリザベス氏の更迭に同意しており、エリザベス氏本人も帰國の準備に入っているという。

中國女子サッカー代表の『內(nèi)紛』といえば、前監(jiān)督のドマンスキー氏が就任する前の馬良行監(jiān)督と李飛宇チーム代表の爭いが記憶に新しい。詳しくは以下のエントリーをご覧になって頂きたいが、両者がチームの指導(dǎo)方針をめぐって対立し、結(jié)局、監(jiān)督が解任されるという結(jié)末を迎えた。

http://www．plus-blog．sportsnavi．com/asa8043/article/39

その後、就任したドマンスキー氏はフロントの信頼もそれなりに得て、ある程度の成果が上がり、女子代表に“光明”が差したものの、W杯の不振の責(zé)任をとる形で退任。その後を受けて就任したエリザベス氏もご覧の通り…というわけだ。

私は、個人的には、一度、外國人指導(dǎo)者を信頼して招いた以上、全てを任せて、『まな板の鯉』にならないと、中國サッカーは変わっていけないと思っている。

目先の勝敗だけで監(jiān)督を闇雲(yún)に批判し、『木を見て森を見ず』をやってしまっては、中國サッカーの発展はない。だから、ここ數(shù)週間続いたエリザベス監(jiān)督に対する『中傷報道』にも私は批判的だった。

だが一方で、中國女子サッカーは構(gòu)造的に『內(nèi)紛』の運命にあるのかもしれない…とも思えてくる。

この現(xiàn)象が、たまたま、それぞれが持つ個性がぶつかり合った結(jié)果なのか、それとも何らかの構(gòu)造的な問題なのか、という疑問である。

この北京五輪の5か月前という時期…またも繰り返した『內(nèi)紛』。この理由は一體何なのだろう。

早くも次期監(jiān)督についての噂が聞こえてくる?！袱猡ν鈬吮O(jiān)督はこりごり」という聲もあり、また時間的にも差し迫っていることから、「中國サッカーを熟知しており、海外経験もある程度持っている」との條件を満たす「中國人」となる可能性が大きい。

しかし、はっきりいって、今からチームを引き受け、自分の色にチームを染め上げて、自信を持って北京五輪に臨めるだけの時間は、次期監(jiān)督には與えられない。さまざまな不安を抱えながら、本番になだれ込むことになるだろう。

だが、男子サッカーと同じく、中國サッカーにとって、五輪が全てではなく、何よりも「これから」が大切だ。その「これから」のために、『內(nèi)紛』を招く、この不可思議な構(gòu)造の原因がどこにあるのかを探る必要があるだろう。

＜注：この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです＞

■筆者プロフィール：朝倉浩之

奈良県出身。同志社大學(xué)卒業(yè)後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ?ニュース?ドキュメンタリー等の制作?取材に関わる?，F(xiàn)在は中國にわたり、中國スポーツの取材、執(zhí)筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中國國際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。