前回は「人はソウルへ、馬は済州島（チェジュド）へ」というフレーズで慶尚北道（キョンサンブクド）など韓國(guó)の地理についてちょっと觸れた。今回はその延長(zhǎng)で韓國(guó)の地理についてもう少し書いてみようと思う。

ソウル市を取り囲むようにドーナツ型に広がっているのが京畿道（キョンギド）。この「畿」という字は、近畿地方の畿と同じで「都」という意味を持つ漢字である。京畿道は私が韓國(guó)に住み始めた1990年ごろから急速に都市化が進(jìn)み、水原（スウォン）、盆唐（ブンダン）、板橋（パンギョ）、龍仁（ヨンイン）といった大都市がぼこぼこと造成され、副都心的な存在として強(qiáng)く光を放っている。

京畿道と隣り合い東北側(cè)にあるのが江原道（カンウォンド）。雪が比較的多く、じゃがいも産地として有名だ。雪が多いといっても、真冬でも雨が降ったりしてどこのスキー場(chǎng)でも人工雪を作る機(jī)械を置いておかないといけないのが現(xiàn)狀だ。スキー場(chǎng)には1メートルくらいは自然の雪が降るが、雪の量としては日本の數(shù)分の一であろう。わがふるさと山形県米沢の吾妻山にしても6メートルくらいは降るし、山形と新潟の県境にある小國(guó)という村などは8メートルくらい積もる。

それでも韓國(guó)のスキー場(chǎng)には、中國(guó)や臺(tái)灣やタイ、ベトナムなどから毎年數(shù)多くのスキーヤーがスキーやスノーボードを楽しみにやって來(lái)る。時(shí)々、不思議なことに日本からやって來(lái)た団體客に出會(huì)うこともある。雪の質(zhì)といい量といい日本の方が斷然いいし、費(fèi)用なども最近では韓國(guó)の方が高いのではないかと思えるくらいなのだが。

江原道といえば雪嶽山（ソラクサン）を挙げないわけにはいかないだろう。春夏秋冬を通じ常に登山客、観光客が多い山がこの雪嶽山である。

京畿道の南側(cè)に接しているのが忠清南道（チュンチョンナムド）?北道（プクド）である。西寄りに私の住む天安（チョナン）市のある忠清南道、東寄りに忠清北道。忠清南道は西海（ソヘ。黃海）に面しているが、忠清北道は韓國(guó)では唯一、海を持たない道である。山深い里が忠清北道というわけだ。山深いとはいってもスキー場(chǎng)は多くなく、忠清北道の山は登山客の多い山といえようか。冬でも登山を楽しむ個(gè)人や団體が多い。

韓國(guó)の「奧地」といえば江原道と忠清北道が挙げられようが、私個(gè)人としては忠清北道の方を挙げたい。江原道は山も多いし奧地ではあるが、東は海に面しなんとなく開(kāi)けた感覚がある一方、忠清北道は周囲が完全に閉ざされていて、まさに奧地そのものといえるからだ。地域開(kāi)発が一番遅れているため、逆に最近は「帰農(nóng)（キヌン）」あるいは「帰村（キチョン）」ということで、忠清北道に都市部から移り住む人が増えているようだ。

同じ忠清道でも、筆者が住んでいる忠清南道はソウルへの通勤圏であるため、集合住宅（アパート?マンション）がハイピッチで造成されている。特にわが街?天安は忠清南道のナンバーワン都市の風(fēng)格を備えつつある。この30數(shù)年の間に人口が10萬(wàn)くらいから60萬(wàn)超まで増え、人口増加率が韓國(guó)でトップクラスである。

また忠清南道の燕岐（ヨンギ）郡という所はほとんど田んぼと畑だけの寒村だったのが、2012年7月1日から世宗（セジョン）特別自治市として出帆し政府庁舎の大部分がソウルから移転することになった。計(jì)畫から10年の歳月が流れたが、こうして実現(xiàn)したこと自體、奇跡と思えるくらいだ。途中で何度も御破算になりそうになりながらも実現(xiàn)したのは、忠清南道の人々、特に燕岐郡の住民らの強(qiáng)い意志のたまものである。出帆して5年がたちインフラの整備なども進(jìn)む中、これからの大きな飛躍が見(jiàn)込まれている街である。政府機(jī)能の分散化のモデルケースということで外國(guó)からも大きな注目を浴びているようだ。外國(guó)の自治體の訪問(wèn)が後を絶たないという。

■筆者プロフィール：木口政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。三星（サムスン）人力開(kāi)発院日本語(yǔ)科教授を経て白石大學(xué)校教授（2002年?現(xiàn)在）。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。

■筆者プロフィール：木口 政樹

イザベラ?バードが理想郷と呼んだ山形県?米沢市出身。1988年渡韓し慶州の女性と結(jié)婚。元三星（サムスン）人力開(kāi)発院日本語(yǔ)科教授、元白石大學(xué)校教授。趣味はサッカーボールのリフティング、クラシックギター、山歩きなど。著書に『おしょうしな韓國(guó)』、『アンニョンお隣さん』など。まぐまぐ大賞2016でコラム部門4位に選ばれた。

著書はこちら（amazon）

Twitterはこちら
※フォローの際はメッセージ付きでお願(yuàn)いいたします。