現(xiàn)実をテーマにした作品では視聴者を満足させることはできなくなった時(shí)、どのようにリアルでユーモアがある作品を作ればいいのだろう？（文：黃啓哲。文匯報(bào)掲載）

今、その答えとして「モキュメンタリー」を選ぶ製作者が増えている。例えば、日本では、テレビ?xùn)|京系にて俳優(yōu)?山田孝之主演のドキュメンタリー風(fēng)ドラマ「山田孝之のカンヌ映畫祭」が毎週金曜日深夜に放送されている。同ドラマでは、実力派俳優(yōu)である山田が現(xiàn)狀に満足することなく、カンヌ國際映畫祭に出品する映畫作品の製作を目指す様子が描かれている。

もう一つ、テレビ?xùn)|京系列のドラマ24枠で、ドラマ「バイプレイヤーズ?もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら?」が金曜日深夜に放送されている。同ドラマでは、俳優(yōu)の遠(yuǎn)藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進(jìn)、松重豊、光石研の6人が、「海外の動(dòng)畫サイトの大型ドラマのオファーを受け、その監(jiān)督の指示でシェアハウスで3カ月の同居生活を送ることになった」という「設(shè)定」で、各自が本人役として登場(chǎng)し、ストーリーが展開するという「モキュメンタリー」作品と言えるだろう。

中には「モキュメンタリー」の製作は、製作費(fèi)が限られるようになった結(jié)果という聲もある。しかし、1話30分の笑いに満ちたユニークなストーリーには、俳優(yōu)たちの「真の姿」が詰まっている。メロドラマであっても、自分が演じる役の気持ちをよく考えて、細(xì)やかな所にまで気を配った演技をしなければならない。すでに多くのファンを獲得していたとしても、世界のトップに立つという野心を忘れずに、努力して一歩一歩前に進(jìn)まなければならない。

上記2作品は、中國のドラマ?映畫製作者にとっては、一つの警告となっているかもしれない。中國では人気小説のドラマ化、映畫化がもてはやされ、億を超える興行収入ばかりが注目の的となっている。また、演技ではなく、役者の顔面偏差値ばかり重視し、映像技術(shù)などは低予算に抑えられ、面白みに欠ける映畫が多い。監(jiān)督や役者たちは、アーティストとしての心を忘れてしまっているのではないだろうか？

■「野心」抱く山田が「カンヌ賞」を取るまで

「山田孝之のカンヌ映畫祭」の冒頭では、山田孝之と山下敦弘監(jiān)督が革靴にスーツ姿で、カンヌのレッドカーペットの上で手を振っているシーンがある。そして、山田孝之があるコメディドラマに出演しているシーンに変わる。その強(qiáng)烈なギャップにより、「奇想天外」なドラマであるというメッセージが視聴者に伝えられている。

しかし、山田はすぐに、「いろんな作品にも出て、賞も取ったことがある。でも大きな賞を取ったことがない」と話し、どうせ取るなら一番大きな賞を目指すことを決意する。そして、プロデューサーに山下監(jiān)督、さらに12歳の子役スター?蘆田愛菜を呼び、カンヌ國際映畫祭に出品するサスペンス映畫を製作する。

映像プロダクションとして合同會(huì)社カンヌを設(shè)立したり、大學(xué)で映畫講座を聞いたり、サンプル作品を作って投資者を募集したり、カンヌに行ってポスターのサンプルを提出したりと、この「モキュメンタリー」を通して、視聴者は映畫を製作する流れやカンヌにノミネートされるまでの流れを知ることができる。また、プロの映畫人へのインタビューのシーンもあり、カンヌでは個(gè)性的な映畫、新鮮味ある表現(xiàn)手法などが特に重視されることを知ることもできる。

同ドラマで山田は、「カンヌで賞を取ることが目的なんて、利益のためだけに映畫を作っている」と非難する聲にも直面する。カンヌで何度も賞を獲得している河瀬直美監(jiān)督は、「作品を作る時(shí)に、賞を取ることを考えて作ったことはない」と率直に話す。同ドラマで、山田は投資者の不足や腳本の準(zhǔn)備不足、映畫製作の面での経験不足などの問題に直面し、熱い気持ちだけでは不十分である様子が描かれている。

製作過程では「うまくいくとき」と「うまくいかないとき」があるという不安定な狀況で、この作品が本當(dāng)にカンヌで賞を取れるかは分からないが、山田が一生懸命、純粋に映畫製作に向かう姿は見る人の心を打つ。河瀬監(jiān)督の作品の撮影終了後、山田は狹い校內(nèi)の天文観測(cè)室に靜かにこもり、自分を出し切って役を演じたことを振り返って涙を流す。河瀬監(jiān)督の「映畫が私の魂にまで入ってこそ、私の人生はもっとリアルになる」という言葉の通りだ。

■プライドを持って役作りをするベテラン名脇役

「バイプレイヤーズ」とはどういう意味なのだろう？中國の多くのドラマと同じく、人気の日本ドラマでも若い役者が主役を演じている一方、その両親や上司、ライバルなどは、「顔はおなじみでも名前は知らない」ということが多い脇役の役者演じている?！弗啸ぅ抓欹ぅ洎`ズ?もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら?」では、「中國の動(dòng)畫配信サイト“友中”が中國映畫界の巨匠?張蕓謀監(jiān)督にメガホンを取ってもらって『七人の侍』のリメイク版を制作る予定で出演して欲しい」と6人にオファーが來る。そして、「クランクインするまで、絆を深めるためにシェアハウスで3カ月間共同生活を送ること」を出演條件として提示される。しかし、6人全員が実名で出演している以外は、ストーリーや人物関係などはフィクションだ。それでも、演技の競(jìng)い合い、役どころの取り合い、視聴率の低迷によるブーイング、浮気発覚による役者人生の危機(jī)など、同ドラマで登場(chǎng)する話題は、蕓能界から毎日のように聞こえてくるものだ。

若くてさわやかなイケメン俳優(yōu)は出演していないものの、同ドラマでは、50代の抜群の演技を見せるしぶどころの6人が「俳優(yōu)魂」を披露しており、今クールのドラマのダークホースとなっている。6人とも笑えるほどのこだわりを持っているが、そこからそれぞれが役者としてのプライドを貫いていることがわかる。

一番年上の大杉漣を通して、名前は知らないけどおなじみの役者には特有の魂がこもっていることを知ることができる。遠(yuǎn)藤憲一は、いかつい風(fēng)貌であるものの、その心はとても繊細(xì)で、ネットで人気ワードとなっている「命の演技」を?qū)g踐している。寺島進(jìn)が悪役を演じる時(shí)は、動(dòng)作や振る舞いに至るまで役作りをし、まさに「神っている」?！赣钪嫒恕工扦ⅳ辍ⅰ柑觳拧工扦猡ⅳ胩锟讠去猊恁颏?、外見はおとなしく見えるが、メラメラ燃える闘志の持ち主だ。光石研は、「僕には個(gè)性がない」と謙遜するものの、実際には悪役を演じる時(shí)も、良い役を演じる時(shí)も、新鮮な気持ちで演じるプロの役者だ。松重豊は、一度は役者をあきらめたことがあるものの、「孤獨(dú)のグルメ」で復(fù)帰し、大ブレークした。

名脇役6人が集まったその姿は、視聴者に感動(dòng)を與えている。そして、中國のネットユーザーたちはすぐに、「金士傑、呉孟達(dá)、倪大紅、王慶祥、孫淳、馮遠(yuǎn)征の6人がシェアハウスで暮らす様子を想像できるだろうか？」と想像を膨らませている。

現(xiàn)実の世界とフィクションの世界の間を歩くモキュメンタリーに笑いと涙が詰まっているのは、そこに役者魂が詰まっているからだろう。（提供/人民網(wǎng)日本語版?編集KN）