今回の中國(guó)全國(guó)人民代表大會(huì)で発表された「2016年政府工作報(bào)告」の中で、水汚染処理整備政策を一段と進(jìn)めるとし重視度を高めた。都市の汚水処理施設(shè)（日本の下水浄化センターに相當(dāng)）の建設(shè)と改造を全面的に促進(jìn)し、加えて農(nóng)業(yè)分野の面源（汚染物質(zhì)の発生源が特定しにくい場(chǎng)所。農(nóng)地や市街地、森林など）汚染と流域水環(huán)境の総合整備強(qiáng)化も急ぐと言う。さらに工業(yè)汚染源処理や環(huán)境保護(hù)の監(jiān)視査察力も強(qiáng)めるらしい。

中國(guó)では近年、「浄化」、「健康」、「持続可能な水環(huán)境の維持」への関心が高まる中、特に「國(guó)民の飲用水安全保障」が最大の関心事となっている。

2013―2015年『中國(guó)環(huán)境狀況公報(bào)』(環(huán)境保護(hù)部発行)に、毎年各流域水系と飲用水源地の突発的な汚染事故事案が記載されている。昨年、全國(guó)1333カ所の飲用水水源地の水質(zhì)狀況を検査した結(jié)果、98カ所（7．35％）で水質(zhì)基準(zhǔn)値の超過が確認(rèn)され、「水の安全」は深刻な狀況にある事を示している。

実は中國(guó)にも1996年に公布した『生活飲用水衛(wèi)生監(jiān)督管理法』というものがあり、これを基に『生活飲用水衛(wèi)生基準(zhǔn)』が2007年7月1日に施行さている。一昨年4月に國(guó)務(wù)院が公布した『水質(zhì)汚染対策行動(dòng)計(jì)畫』には、2020年には全國(guó)の水環(huán)境質(zhì)量を段階的に改善し、深刻な汚染環(huán)境を大幅に減少させ、飲用水の安全保障レベルを引き上げるとしている。

「掛け聲」が多いのが中國(guó)政府だが、この様な飲用水汚染問題をどの様に解決しようとしているのか？現(xiàn)在中國(guó)政府や環(huán)境保護(hù)関係機(jī)関が自主知財(cái)権と新興産業(yè)として取り込もうとしている技術(shù)が「膜技術(shù)」を使った高度処理である。膜技術(shù)の出現(xiàn)は水処理技術(shù)の「革命」と言われ、膜表面の微孔を通し水中の有害物等を除去する?，F(xiàn)在市場(chǎng)では絶対多數(shù)の浄水製品に膜処理技術(shù)が使われている。割安でそこそこの品質(zhì)の中國(guó)製膜製品が急成長(zhǎng)しており、外國(guó)製品がやや押され気味なのは、「國(guó)産化政策」による國(guó)産製品の優(yōu)先使用が背景にあるのかも知れない。

この膜処理技術(shù)を使っても中國(guó)の水道水直飲みは可能ではない。日本人は直飲みをすると必ずお腹を壊す。中國(guó)の水道水質(zhì)は硬水であまり飲用には適さないため、中國(guó)國(guó)民もよくわかっていて決して直飲みはせず、沸かしてから飲んでいる。通常はペットボトル詰めや業(yè)務(wù)用ガロン詰めを飲用しているのが現(xiàn)実だ。

ちなみに、世界で水道水を直飲みできる國(guó)はたった15カ國(guó)だ。（平成16年版「日本の水資源（概要版）」）の國(guó)土交通省の発表によると、フィンランド、スウェーデン（ストックホルム）、アイスランド、アイルランド、ドイツ、オーストリア、日本、クロアチア、スロベニア、アラブ首長(zhǎng)國(guó)連邦、南アフリカ、モザンビーク、レソト、オーストラリア（シドニー）、ニュージーランドの15カ國(guó)だが、「直飲みは避けるべき」との注意書きが付いている。中國(guó)の水道水直飲みへの道のりはまだまだ遠(yuǎn)い！

■筆者プロフィール：內(nèi)藤 康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書館で「西遊記」を読後、中國(guó)に興味を持ち、臺(tái)灣で中國(guó)語を?qū)Wぶ。以來40年近く中國(guó)との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國(guó)の環(huán)境全般とそれに関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國(guó)環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。

■筆者プロフィール：內(nèi)藤 康行

1950年生まれ。橫浜在住。中學(xué)生時(shí)代、図書館で「西遊記」を読後、中國(guó)に興味を持ち、臺(tái)灣で中國(guó)語を?qū)Wぶ。以來40年近く中國(guó)との関わりを持ち現(xiàn)在に至る。中國(guó)の環(huán)境全般と環(huán)境（水、大気、土壌）に関わるビジネスを?qū)熼Tとするコンサルタント、中國(guó)環(huán)境事情リサーチャーとして情報(bào)を発信している。著書に「中國(guó)水ビジネス市場(chǎng)における水ビジネスメジャーの現(xiàn)狀」（用水と廃水2016?9）、「中國(guó)水ビジネス産業(yè)の現(xiàn)狀と今後の方向性」（用水と廃水2016?3）、「中國(guó)の農(nóng)村汚染の現(xiàn)狀と対策」（CWR定期レポ）など。