<コラム>日本とは逆、就活成功のために大學院進學を目指す中國人

浦上 早苗    2018年4月14日(土) 21時10分

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中國の大學生から、「日本は成績がいい大學生は就職するって本當ですか?」と聞かれたことがある。寫真は中國の大學生。

中國の大學生から、「日本は成績がいい大學生は就職するって本當ですか?」と聞かれたことがある。

中國では、學業(yè)成績がいい大學生は大學院を目指すのが當たり前で、就職するのは、成績か経済力がない學生というイメージがある。だからと言って大學院進學者の大半は、研究者になりたいというわけではなく、中國では文系、理系を問わず大學院卒の方が就職に有利と言われているため、みな、就職のために大學院を目指すのだ。大學院入試も大學受験並みに競爭が激しく、詰め込みの勉強が必要になる。

日本の狀況は全く異なる。特に文系の場合、大學院に行くのは研究者志向の人か、希望の就職先に內(nèi)定が出なかったか、或いは単に働きたくない人か…というイメージだろう。

日本は今、空前の売り手市場だ。さらに、人手不足に加えてインバウンドブームで、外國語で接客できる人材のニーズはこれまでになく高まっている。日本で正社員として働きたい外國人にとっては、大きなチャンスだ。

それでも、日本の大學に學部留學、交換留學している中國人はだいたい、就活より進學を選ぶ。中國で教えていた學生たちからは、しばしば日本の大學院進學について質(zhì)問のメッセージが來る。

「早稲田大學に行きたい場合、どの専攻が合格しやすいですか?」

「就職しやすい大學院はどこですか」

氷河期世代の私は、その度に、「日本の就活はね、基本若い方が選択肢多いし、もっと言えば學歴より景気。景気悪くなれば、大手でも採用がゼロになることもあるからね」と答えてきた。

1年前の3月には、「明治大學と神戸大學の大學院に合格したけど、どちらがいいですか?」と質(zhì)問を受けた。大學院の場合は偏差値という基準もあいまいだし、何しろ進學者が少ないため、私も役に立つ情報を持たない?!钢笇?dǎo)教授や大學院の雰囲気で選べばいいんじゃない?」と答えた。

そして今年の3月、別の教え子、朱さん(仮名)から「明治大學と名古屋大學の大學院に合格したけど、どちらがいいですか」とメッセージが來た。1年前のデジャブかとくらくらしながら、1年前と同じように「指導(dǎo)教授や雰囲気で選んだら」と答えた。

しかし朱さんは食い下がる?!袱嗓沥椁畏饯吐殼筏浃工い扦工??」私もやや苛立ちながら、「日本の大學院は、研究をするところなの。就職したいなら、なんで大學に行くの?」「日本は今年、ものすごく就職しやすいんだよ。2年後はどうなっているか分からないよ。就職が目的なら、進學やめて就活した方がいいよ」と返事した。

翌日、また朱さんからメッセージが入っていた。「名古屋大學の指導(dǎo)教授は中國人の先生です。明治大學の指導(dǎo)教授は日本人の先生です。どちらがいいですか?」「國籍聞いても分からないよ。先生の良しあしは、専門が何かとか、學生の面倒見がどうかとかでしょ」「明治大學の指導(dǎo)教授は、中小企業(yè)を研究しています。私は銀行に入りたいけど、大丈夫でしょうか」「そんなの分からないよ…」。

次の質(zhì)問は、「名古屋大學は東京にないので、東京の企業(yè)を受けるときには不利でしょうか」「名古屋大學は企業(yè)にとって地味でしょうか」だった。この質(zhì)問は昨年、明治大學と神戸大學を天秤にかけた學生からも受けた。私は仕事を中斷して、メッセージを連打した。

「日本は、大學院の多くが定員割れしていて、入ること自體は難しくないの。企業(yè)の採用擔當者だってそれくらい分かっているから、あなたが思っているほど大學院の名前に価値はない」。朱さんは、「ありがとうございました。よく分かりました」とメッセージを送ってきた。何を分かったのかはよく分からない。

朱さんは日中両方の大學から學位を得られる「2+2」というプログラムを利用して、2年間日本に留學していた。留學期間が1年弱しかない交換留學生に比べると、日本の事情を?qū)Wぶ機會は多いはずだ。

少子化が進み、私立大の多くが定員割れ危機にある中、日本の大學は、就職支援やキャリア教育に非常に力を入れていると言われる。けれど、朱さんの価値観は中國時代そのままで、キャリア教育を受けた形跡はない。彼女が留學した日本の大學にとって、留學生は定員割れを防ぐための數(shù)合わせの道具に過ぎないのだろうかと思ってしまう。

先日は、地方の國立大學の教授から、「大學院の定員が埋まらなくて、『留學生でも何でもいいから引っ張ってこい』とはっぱをかけられている」というため息を聞いた。

「いい會社に就職するために、大學院に進學する」という中國人留學生に、「日本の大學院は研究するところで、就活に有利になることはない」と誰も教えてあげないのは、すでに留學生にかなり依存している大學?大學院にとって、本當のことを言うのは自殺行為に等しいからではないかと、うがった見方をせずにはいられないのだった。

■筆者プロフィール:浦上早苗

大卒後、地方新聞社に12年半勤務(wù)。國費留學生として中國?大連に留學し、少數(shù)民族中心の大學で日本語講師に。並行して、中國語、英語のメディア?ニュース翻訳に従事。日本人役としての映畫出演やマナー講師の経験も持つ。

■筆者プロフィール:浦上 早苗

1974年生まれ、福岡市出身。早稲田大學政治経済學部卒業(yè)、九州大學大學院経済學府修了。大卒後、地方新聞社に12年半勤務(wù)。その後息子を連れ、國費留學生として大連に博士課程留學…するも、修了の見通しが立たず、少數(shù)民族中心の大學で日本語講師に。並行して、中國語、英語のニュース翻訳に従事。頼まれて映畫に日本人役として出たり、マナー講師をしてみたり、中國人社會の中で、「日本人ならできるだろ」という無茶な依頼に、怒ったりあきれたりしながら付き合っています。マスコミ業(yè)界の片隅に身を置いている経験から、日米中のマスから見た中國社會と、私の小さな目から見たそれの違いを少しでもお伝えできれば幸いです。

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