上海在住の王さん（仮名）は2016年6月、両親と妻、子どもを連れて海外旅行に向かった。目的地は日本だ。両親にとっては初の海外となるため、王さんは移動(dòng)時(shí)間、食事、利便性などさまざまな要素を検討し、最終的に「一番行きやすい」と考えた日本に決めた。上海から東京まで約2時(shí)間で移動(dòng)することができる。日本料理には生で食べる海産物も多いが、少なくとも主食はお米だ。日本は公共交通機(jī)関が発達(dá)していて、高速道路は各地に広がっている。仕事の関係で日本に行った時(shí)は地下鉄を利用した王さんだが、今回はレンタカーを借りることにした。公共の乗り物は便利だが、高齢の親と幼い子どもを連れて行くことを考えるとレンタカーの方が楽と判斷したからだ。

【その他の寫(xiě)真】

王さんがインターネットで調(diào)べてみたところ、日本はジュネーブ條約締結(jié)國(guó)の國(guó)際運(yùn)転免許証（IDP）だけ認(rèn)めていることが分かった。同條約に中國(guó)は參加しておらず、中國(guó)はIDPを発給することができない。ショックを受けた王さんだが、大手通販サイトで偶然見(jiàn)つけた広告に目が釘付けになった。ある業(yè)者が「ジュネーブ條約締結(jié)國(guó)の免許証取得、現(xiàn)地のIDP申請(qǐng)をサポートします」とPRしていたのだ。

「日本ドライブ旅行」というキーワードで検索してみた王さんが目にしたのは、數(shù)多くの業(yè)者が同様のサービスを提供しているという驚きの結(jié)果だった。このサービスを利用して取得したIDPを使えば日本でレンタカーを借りることができる。各業(yè)者の料金は100?3000元（約1700?5萬(wàn)円）と幅が広く、そのほとんどが香港に隣接する広東省に拠點(diǎn)を開(kāi)設(shè)していた。その中から王さんが選んだのは最も高い評(píng)価を獲得している業(yè)者だ。この業(yè)者は経営年數(shù)が6年で、「皇冠」マークが付いている。業(yè)者が利用者と取り引きを行った際、良い評(píng)価を得た場(chǎng)合はプラス1ポイント、悪い評(píng)価の場(chǎng)合はマイナス1ポイントとなり、1萬(wàn)ポイントに達(dá)した業(yè)者には信用度の高さを示すこのマークが付與されるのだ。

この業(yè)者が主に扱っているのはフィリピンの運(yùn)転免許証とIDPで、料金は全部合わせて2850元（取材時(shí)は2250元強(qiáng)。約3萬(wàn)6000円）ほど。これまで50人以上がフィリピンのIDPを取得したという実績(jī)があり、過(guò)去の利用者が投稿したコメントには業(yè)者に感謝を示す內(nèi)容のものが多數(shù)あった。中には「日本で無(wú)事、レンタカーを借りました」と寫(xiě)真を寄せる人もおり、王さんはこれにも心を動(dòng)かされた。

ただ、フィリピンの運(yùn)転免許の有効期限は3年、IDPはわずか1年で、更新にはお金がかかる。王さんは「頻繁に海外で車(chē)を借りる機(jī)會(huì)はないし…」とやや躊躇（ちゅうちょ）したものの、3世代で行く初の海外旅行のために申し込みを決意した。自身のパスポート、運(yùn)転免許証、寫(xiě)真といった資料や身長(zhǎng)、體重などのデータを相手に送信し、ネット決済サービスを使って代金を送金。手続き終了から1週間後に王さんのもとに屆いたのはフィリピンの運(yùn)転免許証と現(xiàn)地で発行されたIDP、フィリピン當(dāng)局の領(lǐng)収書(shū)だ。印刷の粗さが目立ったが、王さんはこれを使って日本でレンタカーを借りることに成功した。

フィリピンはジュネーブ條約締結(jié)國(guó)だから、フィリピンのIDPがあれば日本で運(yùn)転ができる。しかし、中國(guó)國(guó)籍でフィリピン滯在歴のない人物がフィリピンのIDPを使い、日本でレンタカーを借りることは果たして可能なのだろうか。われわれは王さんが利用したレンタカー會(huì)社に問(wèn)い合わせることにした。

編集部：中國(guó)國(guó)籍です。フィリピンの國(guó)際免許証でレンタカーできますか？

擔(dān)當(dāng)者：免許証は手元にありますか？

編集部：はい。

擔(dān)當(dāng)者：免許証の寫(xiě)真の橫に1949という數(shù)字はありますか？

編集部：はい。あります。

擔(dān)當(dāng)者：これはジュネーブ條約に基づいて発行された國(guó)際免許なので、これがあれば弊社でレンタカーできます。

編集部：レンタカーする際、國(guó)際免許証だけで大丈夫でしょうか？

擔(dān)當(dāng)者：いいえ、パスポートも必要です。

編集部：中國(guó)國(guó)籍なので、中國(guó)のパスポートとフィリピンの國(guó)際免許証で大丈夫でしょうか？

擔(dān)當(dāng)者：はい、これがあれば大丈夫です。

われわれは東京、沖縄、北海道の計(jì)6社に同じ質(zhì)問(wèn)をしてみたが、そのうちの5社は「ジュネーブ條約に基づいて発行されたIDPであれば問(wèn)題ない」と回答、沖縄の1社だけが「中國(guó)國(guó)籍の方の利用は斷っている」という答えだった。その理由として告げられたのが、「過(guò)去に中國(guó)人に貸した際、中國(guó)はジュネーブ條約に參加しておらず、日本での運(yùn)転資格を持たないため、無(wú)免許扱いになるという問(wèn)題が起きた」という事情。擔(dān)當(dāng)者によると、この會(huì)社は現(xiàn)在、同條約に基づいて発給されるIDPのほか、條約に參加している國(guó)?地域のパスポートを所持しているかどうかまでチェックしているそうだ。日本のレンタカー會(huì)社はそれぞれの判斷基準(zhǔn)で営業(yè)しており、會(huì)社によって対応が違うということが理解できた。

では、日本レンタカー協(xié)會(huì)に統(tǒng)一ルールはあるのだろうか。確認(rèn)したところ、「外國(guó)人に貸す、貸さないの判斷はジュネーブ條約に基づいており、協(xié)會(huì)が個(gè)別に決めたルールはない。仮に同條約に加盟していない國(guó)の人でも所持しているIDPが條約に基づいて発給されたものなら基本的には貸す。ただ、レンタカー業(yè)者が『?jiǎn)栴}あり』と判斷した場(chǎng)合は貸さないこともある」とのことだ。

普通に考えると、中國(guó)人がフィリピンのIDPを持つということは、この人物はフィリピンで生活しているか、少なくともフィリピンに出入國(guó)した経験を持っているはずだ。なぜ、王さんのようにフィリピンに一度も行ったことがない人でも現(xiàn)地のIDPを取得することが可能となるのか。日本のレンタカー業(yè)者もこの人物のパスポートを確認(rèn)すれば、IDP発行國(guó)での滯在歴がすぐに分かるはず。一部業(yè)者がそれをチェックしないのはなぜか。こうした疑問(wèn)を持ったわれわれは、ネット経由で中國(guó)の業(yè)者に話を聞いてみた。（続く）（取材?編集/レコードチャイナ編集部）