2010年、中國(guó)は國(guó)內(nèi)総生産（GDP）で日本を追い抜き、世界第2位の経済體の座を獲得した。それから7年、今や中國(guó)のGDPは日本の約2．5倍となる11兆3910億ドル（約1240兆円）に達(dá)している。マラソンに例えるならば、追い抜かれた後にみるみる差を付けられ、今や背中すら見(jiàn)えないといったところだろうか。

ところが日本ではいまだに現(xiàn)狀を理解していない人が少なくない?！钢袊?guó)のGDPは捏造（ねつぞう）だ」「中國(guó)経済は単なるバブルで間もなく崩壊する」「技術(shù)など底力ではまだまだ日本が上だ」などなど、根拠のない楽観論を聞くことが多い。中國(guó)の大小説家?魯迅は名著『阿Q正伝』において、「精神勝利法」なる思考法を描いている。どんな敗北を喫しようとも、都合良く取りつくろって自分の中では勝ったことにしてしまうという都合のいい発想だ。當(dāng)時(shí)の中國(guó)を風(fēng)刺したものだが、今の日本人も「精神勝利法」を身につけつつあるのかもしれない。

「日本は進(jìn)んでいる、中國(guó)は遅れている」という思い込みを捨て、まずは中國(guó)経済の現(xiàn)狀について冷靜に知ることが求められる時(shí)代になったのではないだろうか。

その意味では、先日出版された高口康太『現(xiàn)代中國(guó)経営者列伝』はうってつけの入門(mén)書(shū)だとうならされた。中國(guó)の怪物経営者8人の伝記を一冊(cè)にまとめた?jī)?nèi)容だが、彼らの人生を追っていくだけで改革開(kāi)放政策以來(lái)の中國(guó)経済の歴史が透けて見(jiàn)える構(gòu)造になっている。

筆者は、中國(guó)経済は改革開(kāi)放によって「明治維新と高度成長(zhǎng)が一緒にやってきた」?fàn)顟B(tài)になったと説く。つまり、日本では近代の2度に分割されていた高成長(zhǎng)が、1度に起きたとするのである。

確かに、本書(shū)で取りあげられている経営者たちも、不動(dòng)産（ワンダ?グループ）、食品（ワハハ）、白物家電（ハイアール）、パソコン（レノボ）、ECサイト（アリババ）、スマートフォン（シャオミ）、動(dòng)畫(huà)サイト（Youku）と多分野にわたり、あらゆる分野の発展が短期間に起きたことを象徴している。

日本では長(zhǎng)らく、松下幸之助や本田宗一郎などの伝説的経営者たちのマインドを?qū)Wぶための本が、ビジネスマンに読まれてきた歴史がある。しかし、近年では國(guó)內(nèi)にそういった大物経営者がめっきり減ってしまった。しかし、隣國(guó)の中國(guó)では、今まさに辣腕（らつわん）経営者たちが伝説を作り続けている。

勉強(qiáng)が苦手だった腕白少年（アリババの創(chuàng)業(yè)者?馬雲(yún)）が一念発起して英語(yǔ)を?qū)Wび、不屈の精神で世界一のECサイトを作り上げていくさまは、『三國(guó)志』や『水滸伝』の英傑のようで、読み物としても痛快である。

中國(guó)経済の急成長(zhǎng)を擔(dān)った立役者たち──彼らの伝記を通じ、中國(guó)経済史の流れが見(jiàn)えてくる。そして、今日よりも明日の生活がよくなる「成長(zhǎng)の時(shí)代」の熱狂も伝わってくる一冊(cè)だ。（記事/