<トランプ政権>移民排斥?保護主義など復古的政策は「高リスク」=北朝鮮対策を優(yōu)先、対中経済要求抑制続く―米S&P主任エコノミスト

八牧浩行    2017年5月11日(木) 5時20分

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シェアード米S&Pグローバル?チーフ?エコノミストが、「米國と世界の行方―ウォール街からみるトランプ政権評価」と題して講演。規(guī)制緩和や減稅、インフラ投資などは米経済界から支持れているとした一方で、移民排斥や保護主義などは「リスクが高い」と指摘した。

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2017年5月10日、米國金融界に詳しいポール?シェアード米S&Pグローバル?チーフ?エコノミストが、「米國と世界の行方―ウォール街からみるトランプ政権評価」と題して日本記者クラブで講演した?!敢?guī)制緩和や減稅、インフラ投資などは米経済界から支持されている」と評価した一方、移民排斥や保護主義など復古的な政策は「リスクが高い」との認識を示した。また米政権は北朝鮮対策で中國に圧力をかけてもらう見返りに、対中経済要求を抑制、今後も続くと述べた。

その他の寫真

規(guī)制緩和、減稅?稅制改革、インフラ投資などは経済界から支持されている。アベノミクスと同様の政策といえる。ところが「國境に壁をつくり移民を制限する」との保護主義的な主張は経済界から支持されない。また「貿(mào)易赤字対策」では、1980?90年代に交わされた非関稅障壁などの古い議論が再登場している。

トランプ氏が當初公約に掲げた「北米自由貿(mào)易協(xié)定(NAFTA)見直し」についても、より近代的な形のものに調(diào)整される方向だ。その場合環(huán)太平洋連攜協(xié)定(TPP)が近代化の手本になる。數(shù)年後に(米國の離脫で止まっている)TPPが違う形で復活するかもしれない。

米経済界はトランプ大統(tǒng)領の登場が「貿(mào)易戦爭」の前兆になると見ていた。地政學的なリスクでは、中東よりも北朝鮮問題の方が甚大なリスクになり、解決はかなりの難題になると言われていたが、まさにその通りとなった。當初トランプ氏は中國に対して貿(mào)易為替問題で圧力をかけるとしていたが、北朝鮮の核問題を解決するために、中國に中心的な役割を擔うよう要請。中國のリーダーシップが必要として対中経済要求が手控えられ、継続される。

トランプ政権の経済政策は全體を見れば整合性が取れていない。大幅経常赤字の理由は投資に比して貯蓄が足りないからだ。経常赤字を減らすためには貯蓄をもっと増やす必要がある。

3%の経済成長を持続的に目指すことを掲げているが、2010年度に景気回復が始まってから年平均2.1%にとどまっている。1?2%が適正で、3%は野心的だ。投資増と生産性向上で引き上げるしかない。生産性の伸びは0.5%であり、これを引き上げるのは並大抵ではできない。労働力増には移民の拡大が必要だが、トランプ氏が理解しているか疑問だ。

トランプ政策へのNYウォール街の期待は大きいが、保護主義、貿(mào)易戦爭など負の部分が交錯。マーケットの動きも要注意だ。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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