浦上 早苗 2017年6月3日(土) 14時20分
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中國の大學(xué)の留學(xué)生寮に、30代半ばにして4年近く住んでいた私は、いつの間にか中國人寮父から「日本人の主」とみなされるようになり、學(xué)期の初めには新入りの日本人留學(xué)生がドアをノックしてあいさつに訪れるようになった。筆者撮影。
中國の大學(xué)の留學(xué)生寮に、30代半ばにして4年近く住んでいた私は、いつの間にか中國人寮父から「日本人の主」とみなされるようになり、學(xué)期の初めには新入りの日本人留學(xué)生がドアをノックしてあいさつに訪れるようになった。
數(shù)週間もすれば、彼らは同世代の日本人の友人を見つけ、すれ違っても會釈する程度になってしまうが、その段階に至るまでは、私は彼らの生活に関するさまざまな手助けをすることになる。インターネットの接続から日本料理店の紹介、語學(xué)の相互學(xué)習(xí)相手探し…中でも予期しなかった相談は、「溫水洗浄便座がないので、便秘になってしまって」というものだった。
私が初めてそれを見たのは、忘れもしない小1のときだ。當(dāng)時はほとんど普及していなかった溫水洗浄便座を外出先で見つけた私は、立った姿勢のまま「洗浄」ボタンを押して、“返り水”を浴びた。両親が興味を示さなかったこともあり、私はほんの2年ほど前まで、それを使うことは全くなかった。
なので、溫水洗浄便座がなくて便秘になるという留學(xué)生に、別世界の出來事のように驚いたが、それからまもなく、今度は日本の中小企業(yè)の社長から、こんな話を聞いた。「部下に海外出張行けと言ったら、溫水洗浄便座がない國には行きたくないと言うんだよね。面の皮じゃなく、尻の皮を厚くしろと説教した」。
もしかしたら私は、日本人として少數(shù)派なのか。思い返してみれば、日本で入るトイレには、ほとんど溫水洗浄便座がついている。そういえば自分が2005年に購入したマンションのトイレだってそうだった(一度も使ったことがないので存在を忘れていたが)。
そして2016年に受験した通訳案內(nèi)士試験の「一般常識」の科目では、「日本の溫水洗浄便座の普及率」を問う問題が出た。試験後、インターネット上では「溫水洗浄便座の普及率なんて、一般常識と言えるのか」と怒りの聲が噴出したが、「そういえば、どこにでもあるよなあ」と意識していた私は、その問題に正解することができた(ちなみに、正解は「75%」だった)。
そして私は最近、とあるきっかけで40代にして、溫水洗浄便座デビューを果たした。使ってみたら、その心地よさにすっかりはまってしまい、知り合いの肛門科醫(yī)に「あまり使いすぎると必要な皮脂まで流してしまうので、強(qiáng)さは弱にして、ちょろちょろと」とアドバイスを受けるまで、出力を最大にして意味もなく長時間使用したりもした。
5月に一週間、溫水洗浄便座が普及していない國に旅行したとき、ようやく、中國で便秘になった留學(xué)生の気持ちが分かった。私はそこまでにはならなかったが、一度使い慣れてしまうと、それがない生活を受け入れるには時間がかかる。中國に住んでいたころ、日本語のフリーペーパーに日航ホテルが「全室に溫水洗浄便座を設(shè)置」と広告を出したのを見た。今なら、その広告の価値も分かる。
日本で溫水洗浄便座を爆買いする中國人観光客が話題になっているが、その光景をバカにしてはいけない。あれは、溫水洗浄便座普及率75%の國に住む日本人にとって、中國が住みやすい國になるための一歩でもあるのだから。
■筆者プロフィール:浦上早苗
大卒後、地方新聞社に12年半勤務(wù)。國費(fèi)留學(xué)生として中國?大連に留學(xué)し、少數(shù)民族中心の大學(xué)で日本語講師に。並行して、中國語、英語のメディア?ニュース翻訳に従事。日本人役としての映畫出演やマナー講師の経験も持つ。
■筆者プロフィール:浦上 早苗
1974年生まれ、福岡市出身。早稲田大學(xué)政治経済學(xué)部卒業(yè)、九州大學(xué)大學(xué)院経済學(xué)府修了。大卒後、地方新聞社に12年半勤務(wù)。その後息子を連れ、國費(fèi)留學(xué)生として大連に博士課程留學(xué)…するも、修了の見通しが立たず、少數(shù)民族中心の大學(xué)で日本語講師に。並行して、中國語、英語のニュース翻訳に従事。頼まれて映畫に日本人役として出たり、マナー講師をしてみたり、中國人社會の中で、「日本人ならできるだろ」という無茶な依頼に、怒ったりあきれたりしながら付き合っています。マスコミ業(yè)界の片隅に身を置いている経験から、日米中のマスから見た中國社會と、私の小さな目から見たそれの違いを少しでもお伝えできれば幸いです。SNS:WeChat「sanadi37」、Facebookはこちら(※フォローの際はメッセージ付きでお願いいたします。)ブログはこちら
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