中國(guó)メディアの華商報(bào)は19日、陝西省西安市の病院で18日に32歳の女性が狂犬病で死亡したと報(bào)じた。女性は6月20日に野犬にかまれた直後から狂犬病のワクチン接種の治療を受けていた。そのため、ワクチンの有効性を不安視する聲が高まった。

狂犬病は犬だけでなく、哺乳類(lèi)全般に感染の可能性がある人獣共通感染癥だ。多くは感染した動(dòng)物にかまれ、傷からウイルスが侵入する。ウイルスは神経組織をゆっくりと進(jìn)み、脳神経組織に達(dá)すると発癥する。発癥までの期間はウイルスが侵入した傷が脳組織に近ければ2週間程度、遠(yuǎn)ければ數(shù)カ月からそれ以上とされる。ワクチンの接種で発癥を食い止めることが可能だが、いったん発癥すれば有効な治療法はなく、死亡率は100％に近いとされる。

西安市で死亡した女性は6月20日に左くるぶしを野犬にかまれ、すぐに病院で狂犬病用ワクチンの接種を受けた。さらに標(biāo)準(zhǔn)的な治療の手順どおり同月中に3回、ワクチンの接種を受けていた。しかし7月13日に左足のしびれやせき髄の違和感を覚え、16日には歩けなくなった。女性は入院したが18日午前4時(shí)ごろには意識(shí)が混濁し、同日午前6時(shí)50分に死亡した。

病院側(cè)は、使用したワクチンは省の関連機(jī)関から一括購(gòu)入したもので、溫度管理も規(guī)則通りで有効期間內(nèi)のものだったと、使用したワクチンにも治療法にも問(wèn)題はなかったと説明した。かまれた場(chǎng)合には5回のワクチン接種を行うが、女性は5回目の接種を行う前に死亡したとした。

女性が発癥?死亡したことについては、狂犬病は1回目のワクチン接種から28日後に患者の體內(nèi)に抗體が発生するが、女性をかんだ犬が多くのウイルスを持っており、発癥が早まった可能性があるとの見(jiàn)方を示した。

しかし中國(guó)では、ワクチンの有効性を不安視する聲が高まった。中國(guó)メディアの頭條新聞が同件を微博（ウェイボー、中國(guó)版ツイッター）に投稿すると、日本時(shí)間21日午前8時(shí)45分までに、2萬(wàn)3145件のコメントが寄せられたが、最も多い1萬(wàn)7144件の「いいね」を集めているのは「ワクチンを調(diào)査すべきだ」との書(shū)き込みだ。

ワクチンを疑問(wèn)視する聲が多いのは、正規(guī)の流通経路を経ずに販売され、抗力のないワクチンが出回るなどの事件が発生しているからだ。2017年2月には、醫(yī)科大學(xué)を卒業(yè)したが就職できなかった女性は薬剤師である母親と組んでワクチンの違法な「橫流し」をし、溫度管理をしなかったために効力を失ったワクチンが全國(guó)に出回っていた事件が発覚した。製薬會(huì)社9社が容疑者に対するワクチン販売に応じていたとされる。

最近でも、安徽省が7月になってからワクチンの取り扱いを調(diào)査し、違法行為には厳罰を適用すると発表したり、広東省広州市當(dāng)局が、取り締まりの結(jié)果押収した偽物および粗悪な食品とワクチンを含む薬品類(lèi)を処分する催しを行っている。有効性に問(wèn)題のあるワクチンなどは現(xiàn)在も相當(dāng)に出回っていると理解するのが自然だ。

また、微博に寄せられたワクチンの効力を疑問(wèn)視するコメントが多くの「いいね」を集めたことからも、中國(guó)ではワクチンの品質(zhì)に対する不信感が強(qiáng)いことが分かる。

なお、死亡した女性が犬にかまれた直後にワクチン接種したことは、狂犬病感染の危険性を理解していたからと考えられる。中國(guó)中央政府の國(guó)家衛(wèi)生和計(jì)劃生育委員會(huì)（衛(wèi)生と計(jì)畫(huà)出産委員會(huì)）によると、2016年に狂犬病で死亡した人は592人で、感染癥による死亡者では、エイズの1萬(wàn)4091人、肺結(jié)核の2465人に次いで多かった。17年6月にも、エイズ、肺結(jié)核に次ぐ56人が死亡している。（翻訳?編集/如月隼人）