<羅針盤>「握手」で読み取る、首脳會談の成否―立石信雄オムロン元會長

立石信雄    2017年7月23日(日) 5時0分

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「握手」はお互いの好意を示すために古來から行われている。友好親善へその効用は計り知れない。多くの國際経営會議などに出席したが、握手によって、相手との距離が縮まったことを覚えている。虛実が錯綜する政治家の握手となると、事情は異なるようだ。

「握手」はお互いの好意を示すために古來から行われている。友好親善へその効用は計り知れない。多くの國際経営會議などに出席したが、握手によって、相手との距離が縮まったことを覚えている。虛実が錯綜する政治家の握手となると、事情は異なるようだ。

7月初旬にドイツのハンブルクで開催された主要20カ國?地域首脳會議(G20サミット)では、ホスト役のメルケル獨首相が、初參加のトランプ米大統(tǒng)領(lǐng)、マクロン仏大統(tǒng)領(lǐng)のほか、習(xí)近平中國國家主席、プーチン露大統(tǒng)領(lǐng)らを迎えた。安倍晉三首相もこれら首脳に交じって友好親善に努めた。

主要國間では2國間の首脳會談も個別に開催されたが、ここで目についたのが握手。テレビ映像で観察すると興味深い。

トランプ大統(tǒng)領(lǐng)は、3月に米國でのメルケル首相との初會談に臨んだときには握手を促されても応じなかった?!缸試榨々`スト?保護主義」や地球溫暖化などの問題で苦言を呈されたメルケル首相に反発したと見られているが、今回、トランプ氏は従來と打って変わって親愛的な表情で自ら握手をしてみせた。もともと実業(yè)家で政治の世界では素人なので、感情が先に出てしまったのではないか。この“変身”の裏にはドイツに近い舊ユーゴスラビア出身のメラニア夫人のアドバイスがあったからこそと言われる。歐米にも“內(nèi)助の功”が生きているようだ。

 

安倍首相とトランプ大統(tǒng)領(lǐng)の會談後の記者會見での両者の握手は、3秒足らずで終わった。以前は、20秒近くに及ぶ長い握手だったが、日本から流れてくる國會での森友、加計などのニュースで多少嫌気がさして、日米首脳関係が少し冷え込んできているように感じられるのが心配である。

注目されたのはトランプ大統(tǒng)領(lǐng)とプーチン露大統(tǒng)領(lǐng)との初會談。トランプ氏周辺とロシアとの不透明な関係を巡る疑惑「ロシアゲート」やロシアと親密なシリアへのミサイル攻撃で米ロ関係が悪化するなか、トランプ氏はプーチン氏との協(xié)議が「非常にうまくいくと思う」と會談の冒頭に語った。プーチン氏と力強く握手したトランプ氏は「多くの進展を期待している」と表明。プーチン氏は「會えてうれしい。前向きな成果を期待する」と応じた。會談は當(dāng)初30分程度の予定だったが、1時間以上に延びている。ここでも最初の握手によって硬かった表情がほぐれたようだ。

トランプ氏が地球溫暖化対策の國際的な枠組み「パリ協(xié)定」からの離脫を表明した直後、マクロン大統(tǒng)領(lǐng)が溫暖化対策は世界的な課題だと訴えた。5月の北大西洋條約機構(gòu)(NATO)の首脳會議では、マクロン氏が他の首脳に向かって歩いて行く場面があった。マクロン氏の正面にいたトランプ氏がハグするしぐさを示すと、マクロン氏は心持ち右に方向を変え、トランプ氏は肩透かしを食らった格好。まずメルケル獨首相に歩み寄って握手し、トランプ氏は後回しとなった。この仕草も「アメリカ?ファースト」「パリ條約破棄」を主張するトランプ大統(tǒng)領(lǐng)への反発からではないだろうか。

7月の米仏首脳會談では、マクロン氏はトランプ氏の手を強く握り返した上に離さず、トランプ氏は困惑した表情を見せた。もともとトランプ氏は相手の手を強く握ることで知られる。マクロン氏はトランプ流を逆手にとり、「自國ファースト主義」に屈しない姿勢を示したのではないか。

會談が成功したのか、それとも失敗したのかは、握手を巡る首脳たちの表情からも読み取れて興味深い。

立石信雄(たていし?しのぶお)1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。公益財団法人?藤原歌劇団?日本オペラ振興會常務(wù)理事。エッセイスト。

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現(xiàn)オムロン株式會社)取締役。1995年代表取締役會長。2003年相談役。 日本経団連?國際労働委員長、海外事業(yè)活動関連協(xié)議會(CBCC)會長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名譽文化博士。中國?北京大、南開大、上海交通大、復(fù)旦大などの顧問教授や顧問を務(wù)めている。SAM(日本経営近代化協(xié)會)名譽會長。エッセイスト。

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