■■■■■2008年05月01日■■■■■

【その他の寫真】

地下鉄整備著々、30年ぶりに紙キップ廃止へ

今、北京の地下鉄を歩くと、少しとまどう事がある。

実は、駅の構(gòu)內(nèi)にはすでに真新しい自動(dòng)改札機(jī)と券売機(jī)がすでに設(shè)置してあるのだが、その向こうで、無表情な中年女性がいつものように紙のキップを売っているし、係員がギロリと睨んで立っている改札口がある。初めて北京を訪れた人なら、間違えて、その自動(dòng)改札口を通ってしまいそうになるくらい、すでに準(zhǔn)備萬端の狀況なのだが、一體いつから、これが稼動(dòng)するのだろうというのが私たちの疑問だった。

それらの設(shè)備がまもなく稼動(dòng)する。これにより、30年間、北京っ子に慣れ親しまれたペラペラの「紙のキップ」が廃止され、「電子キップ」に取って代わる。乗客は、自動(dòng)改札機(jī)に、その「電子キップ」をオシャレにサッとかざして、改札口を開き、列車に乗り込むことになるのだ。

ただ、各メディアで「5月17日始動(dòng)」と一斉に報(bào)道され、私もその気でいたのだが、後に擔(dān)當(dāng)者が「あれは誤報(bào)」と改めて否定するなど、いったいいつからシステムが稼動(dòng)するのか全く分からない。このあたりが「中國(guó)らしい」といえば、それまでで、この摩訶不思議さが北京生活の醍醐味？なのだ。

ただ、準(zhǔn)備のほうは順調(diào)で、先日、改札機(jī)と券売機(jī)がいずれも最終チェックを終え、あとは使用開始を待つばかりとなった。北京の1號(hào)線、2號(hào)線、5號(hào)線、13號(hào)線、8通線に加えて、6月に開通予定の10號(hào)線、空港線や五輪支線などにも全て、この“最新システム”が導(dǎo)入される。

この「いつ始まるか分からない」という疑問のほかにも、心配な點(diǎn)がある。

北京の人たちは基本的に「自動(dòng)販売機(jī)」に慣れてはいない。缶ジュースの自販機(jī)もたまに見かけるが、ほとんど「故障中」で使われていない。モノはお金を差し出して「人から買うもの」と決まっているのだ。そういう社會(huì)もそれなりに人間味があっていいと思うが、これで自動(dòng)販売機(jī)が導(dǎo)入されるとどうなるか…まず間違いなく、戸惑う人がほとんどだろう。そこで、當(dāng)分の間は機(jī)械の前に「指導(dǎo)係」がつくという。そうなれば、「合理化」を進(jìn)めたはずなのに、結(jié)局、必要な人手は同じ、ということになる。

ちなみに、現(xiàn)在は一般の北京市民はほぼ皆が交通ICカードを利用しており（これを持っていればバスが6割引となるため持たない手はない）、キップを窓口で買う必要はない。だから、キップを買う必要はないのだが、そのICカードのチャージも自動(dòng)販売機(jī)で行わなければならない。しばらくの間は、販売機(jī)の前が大混雑ということもありえそうだ。

また、それと関連するが、「合理化」によって「キップ販売」「改札係」の職を追われて、“過剰人員”となった人たちはどうなるのだろうか。最初は「指導(dǎo)係」になれるが、その後、地下鉄で働けるかどうかは分からない。

時(shí)には駅員が乗客より大勢(shì)いるという非合理な人員配置が何だか微笑ましくて、個(gè)人的には嫌いではなかった。だが、これからは窓口でキップを放り投げて渡すおばちゃんも、改札口で、キップをむしりとる様に取り上げるおばちゃんも、もういなくなる。いるときには、ものすごく腹の立つことが多かったが、それがなくなるとなると、何だか寂しいような気もしてくるから不思議だ。

＜注：この文章は筆者の承諾を得て個(gè)人ブログから転載したものです＞

■筆者プロフィール：朝倉(cāng)浩之

奈良県出身。同志社大學(xué)卒業(yè)後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ?ニュース?ドキュメンタリー等の制作?取材に関わる。現(xiàn)在は中國(guó)にわたり、中國(guó)スポーツの取材、執(zhí)筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中國(guó)國(guó)際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。