<このごろチャイナ?アート&A>中國音畫「清明上河図」と二つの故宮―中國?コラム

Record China    2008年5月24日(土) 14時49分

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「このごろチャイナ?アート&A」は最近の中華圏における「アートそしてアーキオロジー(考古學(xué))」に関する動きを、レコードチャイナの寫真ニュースを軸にして紹介。不定期配信。第3回は中國音畫「清明上河図」と二つの故宮。寫真は北京の故宮博物院。

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中國の胡錦濤國家主席は來日した6日、「日中青少年友好交流年」を記念して行われた「日中?春の祭典」のメインイベントである中國音畫「清明上河図」を鑑賞した。會場の東京?新國立劇場近くでは、右翼の街宣車などに備えて警察による警戒が行われる中で、中國國內(nèi)も含め世界初演という貴重な「中國音畫」の試みが披露された。短期間でのチケット販売という無理がたたり、中劇場の小じんまりしたホールながら空席が目に付き一抹のさびしさもあったが、第一部で、日中の児童合唱団が青少年交流を深め、北京を中心に活躍するシンガポール出身のピアニストのパメラ?ニコルソンと、ヴァイオリニストのヴァスコ?ヴァッシレフによる北京オリンピックに捧げる曲が華やかに披露されたのと合わせて、日中及び世界レベルの豪華な顔合わせでの熱演は見ごたえ、聴き応えのあるものだった。

その他の寫真

「中國音畫」というのは耳慣れない言葉だが、今後、「北京五輪、上海萬博でも重要な公演作品として発表される」という。中國音畫「清明上河図」は絵を題材にして音楽を重ね、そこに中國を代表する二人のダンサーの踴りと映像が投影された情緒あふれる実験的な作品にでき上がっている。

「清明上河図」は、中國の北宋時代に流行した畫題で、この時代の「清明節(jié)」(掃墓節(jié)=墓を清める日)の街の様子を描いたもの。特定の絵畫の固有名詞ではなく、現(xiàn)在、北京のほか、臺北の故宮博物院、日本(2點)も含め世界に同様の絵が約70點現(xiàn)存するという。

 

◇二つの故宮

「清明上河図」は世界に複數(shù)あり、これを所蔵する「故宮博物院」も北京と臺北の2か所に同じ名前で存在する。どちらが優(yōu)れたものという比較は難しいが、二つの博物院には以下のような歴史がある。

亂暴な言い方をすると、國共內(nèi)戦の結(jié)果、共産黨政権に追われて臺灣に移った國民黨政権は、當(dāng)時北京の「故宮」にあった財寶を根こそぎ抱えて逃避した。俗に、「持てるものはすべて持ち去った」と理解されており、その後臺北に造営された「故宮」には中國宮廷に集められていた最高水準(zhǔn)の絵畫、書、工蕓作品等が集められている。

北京の「清明上河図」は橫に長い巻物で、公演のステージで披露された模寫は縦24.8cm橫528cmと3人がかりで橫に広げる大作だが、所詮巻物であり持ち出せない大きさではない。臺灣に持ち出された作品が當(dāng)時存在した中から精選された最高作であった可能性は高い。戦亂のドサクサであり流出した財寶も多かろうが、いずれにせよ、北京など大陸に殘った作品群は、そこから外れており、怒られるかもしれないが、必ずしも「中華民族の粋を集めた蕓術(shù)作品だ」とは言い切れない。一方で、北京の故宮の建物など巨大な作品は持ち去れなかったわけで、それがいまは本家本元としてユネスコ世界遺産にもなっているが、もし「二つの故宮」を合體させるとちょうどバランスのとれた最高峰の展示が実現(xiàn)することに議論の余地はなかろう。

中國では最近、経済成長による財力を背景として博物館施設(shè)の無料公開が始まっているが、臺灣の故宮でも夜間、臺灣市民の一部について無料化を試みている。無料開放自體は英國で行われている以外はそれほど世界的に主流のやり方とはなっていないため、こんなところで中臺の歩調(diào)が一致したのは興味深い。

さて、臺灣の馬英九新政権は、懸案であった中國大陸からのパンダ受け入れにも前向きと伝えられるなど、総じて対中関係の改善に向かうとみられている。臺灣側(cè)から出てくる話はこれまでのところ、中國からの観光客の受け入れや対中投資の緩和など臺灣側(cè)が利益を得る話が目に付く?;{というキーワードが中臺関係にも適用されるとすれば、こうした「民族の精華」ともいえる美術(shù)作品や博物館の交流などがいつの日か選択肢になってもおかしくなかろう。

もっとも、所有権の問題で雙方の主張がすれ違うことは火を見るよりも明らかだし、臺灣側(cè)には、所蔵品の対中返還による完全獨立を主張する突出した獨立勢力もいるらしいから、共同での展示は簡単な課題ではない。

最後に、今回世界初演が行われた中國音畫「清明上河図」は、「中國が威信をかけて」製作したという辺りに政治的な臭さはあるが、これはかつての文革時代の労働劇とは異質(zhì)な、歐米先進(jìn)國を軸とした「國際社會」との間で、蕓術(shù)に対する意識?価値観を共有しようとする試みに見受けられる。近年、海外に進(jìn)出しつつある前衛(wèi)的な中國蕓術(shù)の中には、日本のオタク文化に觸発されたような映像作品まであって、趣味が合わないと難しさを感じるが、中國の蕓術(shù)観も西側(cè)型の価値観に明らかに近づいているのではなかろうか。

古くからの美術(shù)作品のジャンルを越えた多方面への活用は、日本でも建設(shè)當(dāng)時の色彩豊かな最新デジタル畫像の再生を試みた宇治の平等院鳳凰堂など各分野で進(jìn)んでいる?!钢袊舢嫛工衔枧_蕓術(shù)の分野での試みのひとつだ。最新の中國事情に近い方には言うまでもないが、チベット抑圧政策や中國株ばかりが中國の現(xiàn)狀ではない。なお両故宮ともに日本語サイトを持ち日本人観光客を歓迎している。

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追記:12日に発生した四川大地震は多くの被災(zāi)者と文化財への被害をもたらした。幸い「二つの故宮」は震源地からは遠(yuǎn)く離れており影響がなかったが、中國全體にとってはとてつもない悲しい出來事となった。以前、歌手のアグネス?チャンが混亂を極めた北京五輪の聖火リレーに関連して「困っている子供たちを救うには平和でないと」と熱く語っていたが、戦爭だけでなく天災(zāi)も人類に課せられた大きな試練だ。子供をはじめ弱者に手を差し伸べるためにも、アートを気持ちよく鑑賞するためにも、つまらない爭いをしている余裕はない。犠牲者のご冥福を心より祈ります。

(文章:Kinta)

プロフィール Kinta:大學(xué)で「中國」を?qū)煿ァ?990年代、香港に4年間駐在。2006年、アジアアートに関する大英博物館とロンドン大學(xué)のコラボによるpostgraduateコース(1年間)を修了。

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