<コラム>テンセントB2Bへシフトチェンジ、ブロックチェーン、金融でアリババの牙城へ挑戦

高野悠介    2020年11月3日(火) 16時(shí)30分

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テンセントは、SNSとゲームを中心に、アリババと並ぶ巨大プラットフォーマーに成長した。寫真はテンセント本社。

テンセントは、SNSとゲームを中心に、アリババと並ぶ巨大プラットフォーマーに成長した。今後の人口ボーナスを見込めない時(shí)代、テンセントの新しい選択はB2Bへのシフトだった。その中核は、金融とブロックチェーン技術(shù)であるという。ライバル、アリババグループをしのぐ戦略を、すでに練り上げているのだろうか。

■テンセントのブロックチェーン研究

テンセントは2015年、ブロックチェーン研究チームを発足させた。IT3巨頭BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)の中では最も早かった。同チームの自主研究技術(shù)をもとに2016年、金融チェーンクラウドサービスBaaSをスタート。翌2017年1月には、商業(yè)用途の金販売サイト“微黃金”をローンチした。同年、ブロックチェーン実用白書を発表、応用シーンの提案を行った。

そして実際に、電子チケット発行、サプライチェーン金融、銀行帳票、公的証明書、公益(慈善事業(yè))デジタルコンテンツ保護(hù)、産品トレーサビリティ、醫(yī)療などの分野で運(yùn)用が始まった。

その擔(dān)い手は、子會(huì)社の「微衆(zhòng)銀行」、BaaSプラットフォーム、騰訊雲(yún)(テンセント?クラウド)の3チームだ?,F(xiàn)在注目されているは以下のシーンである。

■3つの注目応用シーン

微黃金…オンライン黃金取引プラットフォーム

テンセント初のブロックチェーン応用シーンである。SNS?WeChatの莫大なユーザー數(shù)が、金取り引きへのハードルを下げ、売買効率を向上させた。中國最大の銀行、工商銀行など、多くの提攜先と協(xié)力、改ざん不能の新記帳方式をサポートした。すでに3000萬件以上の取引が記録され、ユーザー資産のセキュリティに貢獻(xiàn)している。

ブロックチェーン金融…「ブロックチェーン+サプライチェーン金融ソリューション」を発表。

目標(biāo)は、中核企業(yè)の資産側(cè)と金融機(jī)関の資本側(cè)を接続させることにある。簿記を拡大解釈することで、効果的なアドバイスを可能とする。現(xiàn)在はアンチ?マネーロンダリングが課題となっている。今後のブロックチェーン技術(shù)の主戦場となる。

ブロックチェーン+ゲーム…他のIT巨頭と一線を畫す得意分野

テンセントは6年連続ゲーム業(yè)界のトップ、ゲーム収入197億元(3090億円)で市場の15%を占める。2018年、初のブロックチェーンAR(拡張現(xiàn)実)ゲーム「一起來捉妖」により、ゲームとブロックチェーンとの適応性は明らかとなった。証明機(jī)能、記録機(jī)能が有用で、より透明な操作が可能だ。

■テンセントB2Bシフト鮮明

テンセントの馬化騰CEOは2018年、デジタルの主戦場は、今後産業(yè)インターネットになる、企業(yè)?政府へのサービス提供、効率化が大きな市場になると表明した。B2Bシフトを鮮明にしたのである。

その最大の戦場は金融部門だ。アリババ系アント?グループは派手な話題の金融商品を次々に成功させ、目前にせまったIPOでも話題を獨(dú)占している。

テンセントグループでは、優(yōu)良子會(huì)社?微衆(zhòng)銀行(We Bank)が頑張っている。これまでの1年半で、微衆(zhòng)銀行は150を超える有力企業(yè)と、サプライチェーン金融ビジネスパートナーシップを確立した。そして川上から川下までの中小企業(yè)に、300億元(4700億円)の融資を提供した。彼らの資金調(diào)達(dá)額は70%増加し、資金調(diào)達(dá)コストは15%下降したという。

微衆(zhòng)銀行は2020年4月、グループ新金融路線図を発表、サプライチェーンによる金融ソリューションが最重點(diǎn)業(yè)務(wù)と位置付け、発展3年計(jì)畫を示した。

テンセント本體では2020年9月、世界デジタル生態(tài)大會(huì)を開催、全産業(yè)にわたるブロックチェーン技術(shù)開発に今後5年5000億元の投資計(jì)畫を発表した。

■アリババVSテンセント戦はヒートアップ

しかしテンセントは、IPOにより、巨額の資金調(diào)達(dá)をするであろうアント?グループに、付いていけるのだろうか。アリババは、わざわざB2Bシフトを表明する必要はない。創(chuàng)業(yè)以來、中小企業(yè)のためのマッチングとソリューションを目指してきたからだ。有力なB2Bプラットフォームは、「1688網(wǎng)」「零售通」「淘工廠」「阿里巴巴國際站」「農(nóng)村淘寶」などいくつもある。

また2020年9月には、ブロックチェーン新貿(mào)易金融プラットフォーム「Trusple」を発表、中小企業(yè)の貿(mào)易金融をサポートしていく。またライブコマースにも力を入れ「阿里巴巴1688直播基地」を設(shè)立した。工場長や技術(shù)者を、ライバーとして育成するつもりである。こうしてアリババは、B2Bビジネスでは、今も最先端を走り続けている。クラウドコンピューティングでも「阿里雲(yún)」は「騰訊雲(yún)」に大差を付けている。

2018年にB2Bシフト宣言したばかりのテンセントが、追い付くのは並大抵のことではない。しかし、テンセントもまた本気モードだ。有力食品メーカー「娃哈哈」「旺旺集団」「正大集団」、ドイツの「シーメンス」醫(yī)療事業(yè)部など、大企業(yè)と提攜関係を結(jié)んだ。大企業(yè)を狙う戦略なのかも知れない。C端ビジネスをAlipay、WeChat Payで分け合ったように、B2Bでも共存を図るつもりだろうか。アリババVSテンセント戦は、一段とヒートアップしたようだ。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大學(xué)教育學(xué)部卒。ユニー株(現(xiàn)パンパシフィック)青島事務(wù)所長、上海事務(wù)所長を歴任、中國貿(mào)易の経験は四半世紀(jì)以上。現(xiàn)在は中國人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中國最新のB2Cビジネスと中國人家族について、ディ-プな情報(bào)を提供。著書:2001年「繊維王國上海」東京図書出版會(huì)、2004年「新?繊維王國青島」東京図書出版會(huì)、2007年「中國の人々の中で」新風(fēng)舎、2014年「中國の一族の中で」Amazon Kindle。

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