■■■■■2008年5月19日 ■■■■■

【その他の寫(xiě)真】

北京五輪が閉幕後、ここでは引き続き、障害者のスポーツの祭典「パラリンピック」が行われる。五輪に大きな注目が集まるが、このパラリンピックを機(jī)に、中國(guó)の障害者スポーツがどう変化していくかも大きな注目點(diǎn)である。

そんな中、18日、北京市東城區(qū)で地域の「障害者スポーツ大會(huì)」が開(kāi)催された。

同區(qū)の「東四“社區(qū)”（都市の地域単位で、日本の“町”よりやや小さい）」が開(kāi)いたもので、200人の障害者が參加した。參加者は視覚?聴覚に障害を持つ人、肢體不自由な人、知的障害を持つ人など、障害の種類もさまざまだ。

大會(huì)は、地區(qū)の小學(xué)校の運(yùn)動(dòng)場(chǎng)が使われ、バスケットボールのドリブル競(jìng)爭(zhēng)、サッカーのPK戦、ボーリング、鉄アレイのリフティングなどそれぞれの障害に応じた8競(jìng)技が設(shè)けられた。選手たちは、団地ごとにチームを作り、近くの大學(xué)生が組織するボランティアに支えられながら、“熱戦”を展開(kāi)した。

進(jìn)行は非常に本格的だ。選手全員の入場(chǎng)のあと、きちんと“専門(mén)”の武裝警察官がやってきて、國(guó)歌が流れ、國(guó)旗が高々と揚(yáng)がった。続いて、會(huì)場(chǎng)となった小學(xué)校の児童らが組織するチアリーダーチームがダンスを披露。続いて、地域住民による中國(guó)伝統(tǒng)の踴りがあり、障害を持った方のグループによる「太極球（球を使った伝統(tǒng)のパフォーマンス）」も大きな拍手を浴びた。披露されるパフォーマンス、運(yùn)営、そして參加する人たちも全て地域住民。非常に手作り感のあるイベントだが、非常に溫かみのある活動(dòng)だった。

サッカーのPKゲームでは、知的障害を持った方は、體が思うように動(dòng)かず、うまくボールを蹴ることができない。それをボランティアが蹴り方を一生懸命説明して、何とか、ボールが前に転がる。住民らは、その周りを取り囲み、聲を限りに応援する。こういったイベントはえてして、嫌味っぽくなってしまうのだが、大會(huì)そのものの素樸さと住民の皆さんの一生懸命さで、そういった感じがまったくない。

蹴り終えた選手は、結(jié)果に不満足なのか、悔しそうにコートを去る。だが、見(jiàn)事に“任務(wù)”を果たした選手に、応援の住民らから大きな拍手が送られる。選手たちは本當(dāng)に一生懸命だし、うまくいったときの笑顔も素晴らしい。そして、これを作り上げている住民たちの情熱、熱気を感じた。

今回出場(chǎng)したのは、この地域在住で、障害者としての「認(rèn)定」を受けた人は1200人あまり。そのうち、車(chē)椅子もしくは歩行で、通常の運(yùn)動(dòng)ができる人がスポーツ大會(huì)に出場(chǎng)した。今回で3回目を迎え、初めて行われた2005年大會(huì)より參加者が倍に増えたという。

今回のイベント自體は、地域の運(yùn)動(dòng)會(huì)の「障害者」版というほどの規(guī)模のものである。

ただ、障害者行政がなかなか目に見(jiàn)えた形で出てこない中國(guó)の都市部で、地域単位でこういった取り組みを行っているということは非常に興味深い。

そして、こういった障害者の運(yùn)動(dòng)會(huì)が、去年以降、全國(guó)で300回行われているというのも驚きだ。北京では、五輪を前に、「全民健康（住民全員が健康に）」と題する活動(dòng)が行われており、その一環(huán)として、「障害を持った人たちも外に出ていこう」という呼びかけがなされている。その流れの中に、このスポーツ大會(huì)があるといえよう。

北京市のスポーツ擔(dān)當(dāng)者によると、去年からこれまで、地域規(guī)模の障害者スポーツ大會(huì)を全國(guó)で計(jì)1000回開(kāi)催することが目標(biāo)となっているという。これも五輪を前にした地域スポーツの変化といってもいいだろう。

大會(huì)責(zé)任者の孫さんは、こういった活動(dòng)を通じて「障害者に優(yōu)しいコミュニティ作り」をしていきたいと語(yǔ)る。都市のバリアフリー化を含めて、インフラ面ではまだまだという北京の障害者行政だが、まず障害者が積極的に外に出て行って、住民みんなでサポートしながら、一つのイベントを成功させるという取り組みは、「住民の意識(shí)」を向上させていく上で大きな意味合いを持つだろう。

中國(guó)での北京五輪に向けた活動(dòng)というと、國(guó)威発揚(yáng)を目的とした國(guó)家主導(dǎo)型の大型イベントばかりが目立つが、北京の街角では、こういった住民本位の草の根活動(dòng)が著々と動(dòng)いていることを忘れてはならないと思う。

＜注：この文章は筆者の承諾を得て個(gè)人ブログから転載したものです＞

■筆者プロフィール：朝倉(cāng)浩之

奈良県出身。同志社大學(xué)卒業(yè)後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ?ニュース?ドキュメンタリー等の制作?取材に関わる?，F(xiàn)在は中國(guó)にわたり、中國(guó)スポーツの取材、執(zhí)筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中國(guó)國(guó)際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。