<現(xiàn)地ルポ「創(chuàng)新?中國」(下)>AI、ロボット、金融技術(shù)、醫(yī)療でも存在感=ビッグデータを駆使―起業(yè)家が集結(jié)する深セン、シリコンバレーを凌駕

八牧浩行    2017年10月22日(日) 9時0分

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世界に先駆けてキャッシュレス社會を?qū)g現(xiàn)させた中國だが、先端技術(shù)の分野でも今、アメリカに肩を並べる勢い。膨大なビッグデータを駆使して、中國発の先端技術(shù)を世界標(biāo)準(zhǔn)にすることを狙っている。寫真は深セン市內(nèi)。

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世界に先駆けてキャッシュレス社會を?qū)g現(xiàn)させた中國だが、先端技術(shù)の分野でも中國は今、アメリカに肩を並べる勢い。膨大なビッグデータを駆使して、中國発の先端技術(shù)を世界標(biāo)準(zhǔn)にすることを狙っている。

その他の寫真

人工知能(AI)やロボット、フィンテック(金融技術(shù))、醫(yī)療ヘルスケアなど世界的に注目を集める次世代産業(yè)で、中國の存在感が急激に増している。AI関連の特許出願數(shù)では、米國は首位を守っているが、伸び率では中國勢が凌駕、世界の主導(dǎo)権を握りつつある。

◆ビッグデータ武器に、グーグル、アップルと競う

世界の自動車メーカーやグーグル、アップルなどが覇を競う自動走行分野で、IT大手の百度(バイドゥ)は自動走行車のプラットフォームを、各國の大手自動車メーカーに公開。中國は世界最大の自動車市場で、規(guī)制緩和が進行しているため実証実験やテスト走行を行いやすい。世界中を走る自動車から走行データを吸い上げることで自社のAI開発を強化するのが狙い。

醫(yī)療ヘルスケア分野でも中國は世界の先を見據(jù)えている。中國ではすでにこの分野のベンチャー企業(yè)が100社以上誕生、その多くは醫(yī)療情報のビッグデータを利用したものだ。ウェアラブル端末では血圧や體溫、血糖値、睡眠時間などがクラウド上で共有され、スマホにフィードバックされる。また各患者のカルテや體內(nèi)検査CT?MRI畫像などをビッグデータ化し、治療に役立てるシステムも開発されている。

中國ネット企業(yè)は海外企業(yè)との本格的な競合にさらされなかったため、世界最大のオンライン市場をスタート期から急成長期まで思うままに活用することができた。中國のネット利用者數(shù)は2010年以降急増、現(xiàn)在9億人近くにに達している。中國は斷トツの世界最大の電子商取引(EC)市場で、全世界のオンライン販売の4割近くを占めている。アリババのプラットフォーム上の取引だけで昨年に総額5000億ドル(約57兆円)に達し、アマゾンと米イーベイの取引額合計を上回っている。

◆1日1萬6000人が起業(yè)、アジアの開発拠點へ

 

人口や市場規(guī)模が巨大な上に、お金を國外に持ち出せないため、國內(nèi)での投資規(guī)模が大きいことも見逃せない。優(yōu)秀な人材は起業(yè)を目指し、米國など海外に留學(xué)した人たちの間でも、現(xiàn)地のIT企業(yè)で働き、帰國してから起業(yè)するという流れが生まれている。

中國では1日1萬6千人が起業(yè)。中國の官民は産業(yè)構(gòu)造の「創(chuàng)新」を目標(biāo)に掲げ、政府は巨額の補助金を支給している。深センでは、ドローンや教育用ロボット、3Dプリンター などの世界先端企業(yè)が目白押し。深センは充実したサプライチェーン、人材、工場の集積などの強みを生かして、世界の工場からアジアの開発拠點へと変貌を遂げつつある。「アジアのシリコンバレー」と言われてきたが、起業(yè)家數(shù)やIT企業(yè)の集積數(shù)などで既に“本家”を凌駕したとされる。一方で、中國政府は、生産過剰にあえぐ重工業(yè)分野の國営企業(yè)改革を推進、余剰設(shè)備の廃棄を目指しており、光と影が交錯する。

深センにハードウェア系ベンチャー企業(yè)が増加している要因として(1)全國からの移住者を中心とした若くチャレンジ精神旺盛な人材の寶庫である(2)短時間での部品調(diào)達が容易なサプライチェーンが充実している(3)香港を通じたグローバルネットワークやシリコンバレーなど歐米のイノベーション拠點とのつながりがある―などが挙げられる。

マンガ?アニメをスマホで楽しむ

中國では高度経済成長が続いた結(jié)果、精神的な欲求を充足するエンターテインメントに目が向き、文化産業(yè)が勃興している。アリババが大手動畫配信サービス「優(yōu)酷土豆」を買収するなど中國アニメ市場が活発化。マンガやアニメを愛好する人口は約4億人に達し、若者人口が減少する日本の業(yè)界にとっては救世主となる。

日本の大手出版社集英社によると、中國の若者は、街角や地下鉄車內(nèi)で日本のマンガやアニメを、スマホで楽しんでいる。かつてはもっぱら単行本や雑誌の出版やテレビだったが、デジタル配信時代に突入してさらに開花した。

日本のマンガ?アニメを中國に配信している杭州翻翻動漫集団の沈浩社長は日本留學(xué)後の2009年にマンガ?アニメ関連會社「翻翻動漫集団」を創(chuàng)業(yè)。日本の大手出版社?集英社と提攜し、『ワンピース』『NARUTO』など同社の人気マンガの中國での出版、ネット配信を行っている。集英社の足立聡史ライツ事業(yè)部海外事業(yè)課長は「中國ではネット環(huán)境が日本より整っており、若者はネットを通じて漫畫を楽しんでいる」と言明、「以前は海賊版に悩まされたが、課金された正規(guī)版をスマホで読む人が急増。電子決済が後押ししている」と明かした?!竿笘|洋人なので、歐米のマンガやアニメより親近感があるようだ」とも語る。大手企業(yè)が正規(guī)品の権利を持つようになったら、海賊版が減少したという。

中國のマンガ?アニメ制作の質(zhì)も急速に向上。中國人の原作を日本でアニメ化して日中で配信するなど、新しい形態(tài)も生まれている。翻翻動漫集団が運営し、集英社がサポートするマンガコンクール「新星杯」(主催?浙江省杭州市)をきっかけにデビューした中國人マンガ家七人の作品が日本の雑誌やデジタル媒體に掲載され、うち一作品は最大発行部數(shù)の「週刊少年ジャンプ」(集英社)で初の海外作家オリジナル作品としてデビュー。「中國のトキワ荘(手塚治蟲、藤子不二雄、石森章太郎らが暮らした豊島區(qū)のアパート)」と呼ばれる「中國漫畫家村」が各地に出現(xiàn)、多くの志望者が切磋琢磨している?!感滦潜工现袊坤堡扦胜?、海外華人華僑向けにも募集を始めている。

中國からの訪日客が急増し、昨年600萬人を超え、今年は800萬人に達する勢い。筆者は最近9月から10月にかけて、中國との間を2回往復(fù)したが、搭乗した大型航空機は中國人の観光客やビジネス客でほぼ満席だった。各地を取材して、中國の急速な変貌と底知れぬパワーを見せつけられた。(八牧浩行

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務(wù)取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務(wù)めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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