人民網(wǎng)日本語(yǔ)版 2017年10月23日(月) 11時(shí)40分
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カズオ?イシグロは、5歳で日本から渡英した移民の作家であるものの、その視野は「移民」には限られていない。
カズオ?イシグロは、5歳で日本から渡英した移民の作家であるものの、その視野は「移民」には限られていない。カズオ?イシグロは、自分の作品が身分や地域、人種などの壁を超え、いろんな文化に溶け込み、グローバルなテーマを反映することを願(yuàn)っている。(文:余靜遠(yuǎn)。北京日?qǐng)?bào)掲載)
これまでに、インド系英國(guó)人作家のV?S?ナイポールやルーマニア出身のドイツ語(yǔ)作家ヘルタ?ミュラーなど、ノーベル文學(xué)賞を受賞した移民作家は少なくない。それらの作家の創(chuàng)作活動(dòng)や受賞は、その移民としての立場(chǎng)や経験と密接な関係がある。今年も、ノーベル文學(xué)賞は移民作家である日系英國(guó)人作家のカズオ?イシグロ(63)が受賞した。しかし、多くの移民作家とは異なり、カズオ?イシグロはその作品を通して、これまでの移民作家が築いてきた伝統(tǒng)を覆し、自分の作品を「グローバル化」させることを試みており、少なくとも「日本化」はしていない。
カズオ?イシグロは、V?S?ナイポール、サー?サルマーン?ルシュディーと並んで、英國(guó)文學(xué)界の三大移民作家と呼ばれている。2001年にノーベル文學(xué)賞を受賞したV?S?ナイポールの作品の多くは、異質(zhì)文化の衝突や移民が直面する困難など、ポストコロニアル時(shí)代に第三世界が直面した問(wèn)題をテーマにしている。また、インド出身の作家のサー?サルマーン?ルシュディーは、虛構(gòu)と幻想を現(xiàn)実に織り交ぜるルシュディーの物語(yǔ)手法で、母國(guó)の政治や文化を表現(xiàn)している。端的に言えば、二人は移民問(wèn)題に関心を寄せる移民作家なのだ。
一方、カズオ?イシグロはこの二人とは異なり、自身のアイデンティティについて「國(guó)際的な作家」と語(yǔ)っている。そして、インタビューで何度も、「國(guó)際的な小説を書く作家になりたい。國(guó)際的な小説とは、世界のさまざまな文化背景の人々みんなに対して大切な意味がある生活をテーマにした作品。ジェット機(jī)に乗って、世界各地を飛び回っているにもかかわらず、小さな地域で落ち著いてじっくり楽しむ人物が登場(chǎng)するような作品だ。今の世界が日に日にグローバル化が進(jìn)んでいるのは紛れもない事実。これまでも、どんな政治、ビジネス、社會(huì)の変革スタイル、文蕓分野の課題などについても、ハイレベルな論議を行うことができたし、國(guó)際的な要素を參考にする必要もなかった。しかし、そのような歴史の段階はすでに超えてしまった。小説が重要な文學(xué)ツールとして次の時(shí)代に入るためには、作家が小説を、人を納得させる國(guó)際化した文學(xué)ツールにしなければならない。私はそのために貢獻(xiàn)することを志にしている」と語(yǔ)ってきた。
文學(xué)に対してそのような観念を抱いているため、カズオ?イシグロの作品は、身分や人種、地域の枠を超え、人類が共通して経験している困難や道徳面の問(wèn)題に目を向けて、人々に深く考える機(jī)會(huì)を與えている。スウェーデン?アカデミーは、ノーベル文學(xué)賞をカズオ?イシグロに授與したことについて、彼の作品は「過(guò)去の記憶や時(shí)間、そして自己欺瞞に觸れている」と評(píng)価し、「力強(qiáng)い感情の小説により世界とつながっているという幻想的な感覚にひそむ深淵をあらわにしている」と受賞理由を説明した。
彼の作品に登場(chǎng)する人物はいつでも記憶の中で、歴史、過(guò)去、現(xiàn)在の生活を理解できるよう模索している。過(guò)去と現(xiàn)在、自分と社會(huì)、真実と幻覚の狹間の中で、存在の虛しさ、無(wú)常な命を際立たせている。そのような世界、深淵において、我々は無(wú)力であることを身に染みて感じさせられる。小説家であるカズオ?イシグロは、世界と人間性の微妙な部分を感じることに長(zhǎng)け、命のはかなさ、虛しさを勇気を持って認(rèn)めている。彼は、そのようにして初めて、命がミステリアスで、重く、危機(jī)に満ちているにもかかわらず、大きな希望を抱くこともできることを知っているのだ。
それでも、カズオ?イシグロが移民の問(wèn)題に全く関心がないわけではない。実際には、カズオ?イシグロの作品の中で、移民や文化の違いは、物語(yǔ)の中心にはなっていないものの、國(guó)際化の大切な意義が反映され、際立っている。カズオ?イシグロの作品について、批評(píng)家のバリー? ルイス氏は、「彼は移民問(wèn)題の『違い』に注目している」と分析している。その「違い」は、地理的なものだけでなく、文化や価値観における「違い」も含まれる。日に日にグローバル化が進(jìn)む世界において、そのような文化や価値観の違いは、誰(shuí)もが向き合い克服しなければならないものだ。そして、「この世界において、小さな自分が努力し、自分らしくあり、愛を探し求める。そして、小さな自分が大きな世界に觸れ、そこに溶け込んでいく?!盒·丹首苑帧护摔?、『大きな自分』にも注目し、自分の作品は人と人の関係、人と世界の関係にも注目する」というのが、カズオ?イシグロの創(chuàng)作の目標(biāo)でもある。
カズオ?イシグロは、世界中の人々を?qū)澫螭诵≌hを書いている。そのテーマは普遍性を追求し、さらに、誰(shuí)でも受け入れやすい簡(jiǎn)単な言葉で書いている。それも、彼の各作品が売れ続けている原因だ。そのもう一つの原因は、面白い內(nèi)容と大衆(zhòng)文化をうまく組み合わせている點(diǎn)だ。彼はプロの小説家としての技巧と庶民の気持ちをうまくコラボさせている。小説以外に、彼は音楽も好きで、ヒットした映畫やドラマの腳本を手掛けたこともあるという。多くの事柄を包括しているグローバルな作品で、彼は多くの庶民に愛されると同時(shí)に、學(xué)術(shù)界の間でも好評(píng)を博している。
カズオ?イシグロの作品は、西洋の現(xiàn)実主義の伝統(tǒng)を受け継ぐと同時(shí)に、東洋の美的センスの要素も取り入れている。スウェーデン?アカデミーのサラ?ダニウス事務(wù)局長(zhǎng)は、「彼の作品は、ジェーン?オースティンと、マルセル?プルースト、そしてフランツ?カフカが少しずつ混ざったようなところがある。これらの要素をたくさんではなく、少しずつ混ぜ合わせると、簡(jiǎn)単に言えばイシグロになる」と話した。
これはとても適切な分析で、カズオ?イシグロの寓言法を用いた作品には、究極の疑問(wèn)に対する熟考が含まれており、言葉遣いは物寂しく鑑賞的であるものの、英國(guó)式のユーモアも失っていない。彼の文體のスタイルからは日本獨(dú)特の美意識(shí)も感じられる。特に、日本を背景にした初めの二作「遠(yuǎn)い山なみの光」(1982年)と「浮世の畫家」(86年)には、日本特有の美的理念「もののあはれ」や伝統(tǒng)文化「浮世絵」などの痕跡がはっきり見える。彼の言葉遣いはさっぱりとしていながら、細(xì)やかさがあり、感情をうまく抑え、含みがあり、往往にして複雑かつ繊細(xì)で、會(huì)得するのが難しく、言葉で言い表せない所では、読者がじっくりと時(shí)間をかけて消化し、熟考できるようになっている。
移民作家でありながらグローバルな作品を創(chuàng)作する面で最も模範(fàn)的なカズオ?イシグロが大きな成功を収めていることに疑いの余地はない。グローバルな作品を書き続けているのは、彼が文學(xué)の力、文學(xué)が世界を変える力を信じているからで、彼はこの世界に対して強(qiáng)い使命感を抱いている。ノーベル文學(xué)賞を受賞した際、カズオ?イシグロは、「受賞できて本當(dāng)に光栄。ノーベル賞が永続する力になることを願(yuàn)っている。今は世界がとても不安定な時(shí)代。全てのノーベル賞が今のように、世界においてポジティブな力になることを願(yuàn)っている。今年、僕がある意味潮流の一部になることができ、とても不安定な時(shí)期にポジティブな雰囲気を作り出すことができるのであれば、本當(dāng)にうれしい」と語(yǔ)った。(提供/人民網(wǎng)日本語(yǔ)版?編集KN)
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