■■■■■2008年5月24日 ■■■■■

【その他の寫真】

今日の北京は日中の予想気溫が31度。だが、外は確実に35度前後の真夏の暑さとなった。これまでは、袖の長さを迷いながらだった街角のファッションも一気に夏モード。日傘を片手に汗を拭き吹き、歩く人たちの姿が目立った。

そんな中、熱い戦いが繰り広げられている陸上の北京五輪のテスト大會「中國オープン」。今日24日は大會3日目を迎えた。110m障害の劉翔が完全に主役を擔(dān)っている今大會だが、日本人選手もがんばっている。男子200メートル予選は日本記録保持者の末続慎吾(ミズノ)が総合トップの20秒92をマーク、また高平慎士(富士通)も同タイムで、ともに25日の準(zhǔn)決勝に進(jìn)出した。劉翔だけが目立つ今大會だが、日本の実力派のアスリート達(dá)の健闘にも期待したい。

さて今大會、実は劉翔と同じくらい、いやある意味、それ以上の大きな歓聲を受けながら競技をしている選手がいる。しかも一人や二人ではない。今大會に46人エントリーしている四川省の選手たちである。

今大會は、劉翔が出場し、また日本のトップレベルの選手が派遣されているものの、全體的には、中國の國內(nèi)大會的な雰囲気が強(qiáng)い。エントリーしているほとんどの選手が中國國內(nèi)の選手で、彼らは全て、「中國の」ではなく、所屬する省?市でコールされる。例えば、劉翔は「上海」所屬である。

そんな中、「來自四川 (四川省からきた)??」と選手名がコールされると、毎回、場內(nèi)に割れんばかりの拍手が起きる。

昨晩、女子100mで13秒22で優(yōu)勝した劉靜もその一人だ。また男子110m障害のイ靖(四川省)は、大會期間中に誕生日を迎えた。劉靜はそもそも人気選手で、陸上ファンにはお馴染みの選手なのだが、今大會、彼女に送られる聲援はまたいつもと異なる。いわずもがな、未曾有の大災(zāi)害を乗り越えてレースを戦う彼らへの「がんばれ！四川」という聲援である。

四川省の陸上代表 (中國では、各省?市ごとに代表チームを持つ)の合宿地は、今回の震災(zāi)の震源地であるブン川に程近いところにある。地震が発生した5月12日14時28分は、選手たちは、午前のトレーニングと食事を終えて、晝寢の時間だった。その瞬間、大きな音が遠(yuǎn)くから聞こえ、ある選手は「結(jié)婚式の禮砲」かと思ったそうだ。すぐに選手全員が外に逃げ出し、高跳びの選手が腿に軽いケガを負(fù)った以外は幸い、大事には至らなかった。その後、選手たちは室內(nèi)トレーニング場の中で、高跳び用のマットをベッドにして、2晩を明かした。だが、その後はすぐに、「中國オープン」に向け、練習(xí)を開始したという。合宿所は倒壊等はなく、少しヒビが入った程度だったそうだ。

こんな大きな大災(zāi)害を乗り越えて、國家體育場に姿を現(xiàn)した四川省の選手たち?？证椁⒋髸纬鰣訾饯韦猡韦颏嗓Δ工毪激à郡坤恧Δ?、ここで彼らが大歓聲を受けながら走る姿を見ていると、出場は決して間違いでなかったと思えてくる。

今大會はCCTV(中國中央テレビ)の五輪チャンネルを通じて、全國に中継されている。昨日の劉靜の100mももちろん、四川省に屆いている。400mハードルで優(yōu)勝した黃瀟瀟も四川省の選手だ?！附翊髸顺鰣訾筏郡韦?、四川省の人たちに希望を與え、諦めない気持ちを感じてもらうため」と語る。自分たちの走りが、少しでも被災(zāi)者の皆さんの心の慰めとなり、明日への希望を持つことが出來れば、ということだろう。

四川大地震の被害の全貌はいまだ完全には明らかになっておらず、まだ本格的な復(fù)興への道を口にするのは早いかもしれない。だが、震災(zāi)にもめげず、最高のパフォーマンスを大舞臺で披露する四川の選手たちの姿は、四川市民たちに大きな力を與えるに違いない。

＜注：この文章は筆者の承諾を得て個人ブログから転載したものです＞

■筆者プロフィール：朝倉浩之

奈良県出身。同志社大學(xué)卒業(yè)後、民放テレビ局に入社。スポーツをメインにキャスター、ディレクターとしてスポーツ?ニュース?ドキュメンタリー等の制作?取材に関わる?，F(xiàn)在は中國にわたり、中國スポーツの取材、執(zhí)筆を行いつつ、北京の「今」をレポートする中國國際放送などの各種ラジオ番組などにも出演している。