<連載コラム?東アジアの光と影(2)>膨張中國、世界一の生産?消費國家に=「中進國の罠」をクリア―軍事強國化に危うさ

八牧浩行    2018年1月2日(火) 5時0分

拡大

IMFによると、中國の國內総生産(GDP)は2014年に、実態(tài)に近い購買力平価(PPP)で米國を追い抜き、世界一位になった。多くの國にとって貿易相手國のトップを占める。軍事予算も急拡大、周辺諸國には相當な威圧感を與えることになる。寫真は北京?天安門。

國際通貨基金(IMF)によると、中國の國內総生産(GDP)は2014年に、実態(tài)に近い購買力平価(PPP)で米國を追い抜き、世界一位になった。15年以降も2位米國との差を拡げている。消費市場としても実質世界一であり、多くの國にとって貿易相手國のトップを占める。

 

世界銀行と中國國家発展改革委員會の共同研究報告書『中國2030―近代的で調和のある生き生きした高所得社會の構築』は、「最も重要な地球的メガトレンドは中國の臺頭であり、今後の20年間、中國以外の他のいかなる國も世界経済に大きな影響力を與える準備はできていない。世界最大の経済力を誇る國として米國を追い抜くだろう」と記した。

中國?習近平政権の有力ブレーンである胡鞍鋼?清華大學教授?國情研究センター長は、2035年には中國は世界最大の経済國家となり、名目GDPは世界の30%に達するとの見通しを明らかにした 。中國は10月の共産黨大會を経て、新たな時代と目標達成に向けて踏み出した。新ガイドライン(イノベーション、調和、グリーン、開放、安全など)に基づいて、構造改革と経済成長を両立させ、(1)絶対的貧困の撲滅、(2)環(huán)境汚染の解消、(3)技術革新―などを推進することになった。

同教授によると、中國は2035年までに1人當たりのGDPも急拡大、「中所得國の罠」(中進國が経済発展の限界に直面すること)をクリアする。研究開発投資額も米國を凌駕し、格差も著しく縮小。平均壽命も80歳程度に伸びる。CO2排出量は大幅に低減し、環(huán)境問題が解決する。経済社會の改革?革新が進展し、新興企業(yè)が急増して高い経済成長を維持する。

高速鉄道、高速道路も世界一

中國はやがて人口減少に転じ、高齢者人口(現(xiàn)在約2億2000萬人)が2040年には約4億人に達する。しかし中國の労働就業(yè)率は56%以上と総人口の半分以上の水準を維持するため、懸念することはない。労働生産率も高水準を保つので、労働人口が減っても経済成長を維持できる。2020年?2035年に5.7倍程度になる。米國の労働生産率の1.3倍程度と比較しても、高い水準維持し、優(yōu)位を保つことが可能になる。

交通網の整備も経済成長に寄與している。高速鉄道の総延長はすでに2萬2000キロ超。既に世界の他國のすべての高速鉄道を合計した距離を上回っている。11年の脫線事故で300キロに減速していた最高時速も昨秋350キロに戻した。高速鉄道のどの駅も空港のように巨大で驚かされる。地下鉄も全國主要都市で拡張。上海、北京の総延長はロンドン、ニューヨークを越え、世界一の水準だ。中國の高速道路の総延長は、現(xiàn)在約13萬キロと日本(約9000キロ)の十五倍の規(guī)模に。近年は年平均で約六千キロ以上の高速道路が建設され、計畫では米國も上回る勢いだ。

◆米國に代わって貿易秩序の主導者に?

國際政治経済に詳しい渡邊頼純?慶大教授は、トランプ大統(tǒng)領の通商政策は環(huán)太平洋連攜協(xié)定(TPP)からの離脫、世界貿易機関(WTO)の軽視など「多國間協(xié)定より二國間取り決め」であると指摘。このままでは中國が米國に代わって貿易秩序の主導者になる可能性がある」と予想。日本企業(yè)が東アジアで構築してきた生産ネットワークの維持強化のためには、中國、インド、東南アジア諸國などを含む東アジア包括経済連攜(RCEP)の推進が重要と提言している。

ところが日本の書籍、週刊誌や月刊誌、夕刊紙などは、この20年來、「中國崩壊の序章」「中國経済、破たんへ」…。中國経済の先行きについて「破たん」「崩壊」といった一方的な見通しを強調し、否定的な面だけをクローズアップしたりする傾向が鮮明である。

作家の石川好氏は「日本は中國に対し、1931年以來宣戦布告もせず、事変扱いにして中國國內で戦闘行為を行ってきた。中國を他者として認めてこなかったわけで、一段見下していた」と指摘?!溉毡兢扦长蝺A向は今でも続いており、中國が大きくなったことを認めたくない心情が働いている。日本で『中國崩壊本』や『嫌中本』ばかりが溢れるのは、現(xiàn)実を全く直視していない証拠である」と斷じている。

駐中國大使も務めた丹羽宇一郎日中友好協(xié)會會長(元伊藤忠商事會長)はレコードチャイナとのインタビューの中で、「中國は建國100年の2049年に「中華民族萬歳」を描いてやっている。中國経済は山谷があるが、あれだけの大きな市場で経済成長をあれだけの率で達成するのは相當なもの。今までにどの國も経験したことがないことをやっており、潰れることはない」と指摘。日本國內に溢れる「中國経済崩壊論」について「中國が潰れたら日本が一番影響を受ける。日本は強くなればいいが、日本人が今のように、心が狹いままでは経済も伸びない」と警告している。

◆「空母打撃群」も増強

中國の軍事力増強も凄まじい。17年5月中國海軍に引き渡される901型総合補給艦(排水量4萬?5萬トン)が2回目の試験航海を始めた。中國がウクライナから購入して整備した空母「遼寧」を中心とする艦隊が2016年12月に沖縄本島と宮古島の間の宮古水道を通過して太平洋に出て臺灣東沖を南下して海南島に到著した際には、901型より小さな満載排水量2萬3000トンの903A型補給艦を伴っていた。

「遼寧」が海南島に向かった程度の航海ならば補給艦は903A型程度で十分だが、南シナ海やインド洋に進出する場合には903A型補給艦は小さすぎる。901型補給艦は「遼寧」または4月17日に進水させた中國國産空母が遠洋に進出する際に重要な役割を果たすことになる。

空母は搭載機による強大な攻撃力を持つ半面、防御力に乏しいという問題がある。そのため、イージス艦や潛水艦、さらに艦隊全體の燃料や物資を運ぶための補給艦を伴って行動することが一般的だ。この艦隊を「空母打撃群」と呼ぶ。901型総合補給艦は中國海軍が空母打撃群を編成するために欠かせない艦ということになる。中國はすでに「中華版イージス艦」や原子力潛水艦を含めた潛水艦を多數(shù)保有している。超大型補給艦の建造を進めてきたことからも、遠洋に向けての出撃が可能な空母打撃群の実現(xiàn)を進めていると考えてよい。個別の艦船や搭載機は米海軍に比べればまだ相當見劣りするが、周辺諸國には相當な威圧感を與えることになる。

中國の軍事當局者は「経済力の増大に伴って防衛(wèi)力を増強するのは當然。あくまでも防衛(wèi)に徹するもの」と言うが、軍拡競爭に陥る懸念も。地域の平和と安全にとって危うさもつきまとう(八牧浩行

「<連載コラム?東アジアの光と影(3)>中國、IT?AI?醫(yī)療で米國に迫る=「超キャッシュレス社會」を実現(xiàn)―世界最大のビッグデータ活用」に続く

■筆者プロフィール:八牧浩行

1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、歐州、米國、アフリカ、中東、アジア諸國を取材。英國?サッチャー首相、中國?李鵬首相をはじめ多くの首脳と會見。東京都日中友好協(xié)會特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著?共著に「中國危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外國為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。

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